2024/12/11

12.30 K.O CLIMAX 2024| 渡部太基インタビュー公開!

 

 

「こんな完璧な話があるかよって(笑)。それを自分の勝利で完結させます!」

 

 

12・30「K.O CLIMAX 2024」の[KNOCK OUT-BLACK ウェルター級王座決定トーナメント決勝戦/3分3R・延長1R]で、中島玲と対戦する渡部太基。勝っても負けても最後と決意して臨んだこのトーナメントで、準決勝ではまさにらしさ満点のKO勝利を飾った渡部。いよいよ現役ラストマッチとなるこの一戦、メインで王座も懸かったこの試合で、渡部が見せるものとは?

 

 

 

 

 

──まず10月大会の準決勝、西川康平戦を今振り返ると?

 

渡部 1Rで倒し切れてよかったですね。正直、先に2回ダウンを取って、終わると思ったんですよ。そこで「行くぞ」と思ったら、まさかの自分がダウンするという(笑)。でもダメージはなくて、2回目はスリップだったんですけど、「やべえ、2対2だ!」と思ったし、2Rに行ったらダウン回数がチャラになっちゃうじゃないですか。だからここで行かないとと思って、どうにか倒そうという気持ちでしたね。

 

──先にダウンを取った時の感触として、確実に効かせているという実感はあった?

 

渡部 最初のダウンは「あ、倒れた」という感じだったんですけど、2回目はけっこう手応えがあったんですよ。だから「終わったな」と思ったんですけど、西川選手が立ってきたから「おお、やるか」という感じでした(笑)。

 

──結果的に、後楽園でのラストマッチを勝利で終われましたが。

 

渡部 そこは単純にうれしいですね。僕はデビュー戦が後楽園で、負けてスタートしてるんですよ。だからそういう意味でも「最後は勝ちたいな」という思いが強かったし、ましてトーナメントで、負けたら全てを失うみたいな状況でプレッシャーもありましたけど、「やってやろう」という感じでした。

 

──もう一つの準決勝、漁鬼vs中島玲は、当日は自分の試合のひとつ前でしたね。

 

渡部 はい。通路でスタンバイしている状況だったんですけど、すごくお客さんが沸いていたので、「いい試合してるのかな」と思いました。あとで見ると、ホントに向こうもいい試合してましたね(笑)。倒し倒されで。

 

──改めて中島選手の強さを感じた?

 

渡部 そうですね。先にダウンを食らったじゃないですか。けっこうすごいひっくり返り方をしていたので、効いてるのかなと思ったんですけど、そこから盛り返して、打たれ強いというか……気持ちが強いのかなと思いました。普通の選手だったらシュンとして、そのままやられちゃうような場面だと思うので。

 

──まあ、その状況は渡部選手も同じだったわけですが(笑)。そういう点でも、最高の相手なのでは?

 

渡部 本当にそう思います。いろんな選手がいますけど、トーナメントに選ばれたのはみんな激闘派で、そこから勝ち上がったこの2人が決勝で横浜武道館のメインというのは、なかなか感慨深いなと思います。

 

──当日はワンデー・トーナメントが2つあるし、他にも豪華なカードが並ぶ中でのメインです。その決定に至るまでには準決勝2試合の盛り上がりが大きかったし、「この試合なら間違いない」ということも大きいと思います。

 

渡部 そう思ってもらえたことはすごくうれしいですね。この大きな大会のメインを任されたというのは、責任重大ですから。やっぱりメインが締まらないとダメだと思うので、そこを任されたというのは、ファイターとしてすごくうれしいです。

 

──ラストマッチがメインに来る選手って、そもそも少ないと思います。しかも、トーナメントを勝ち上がっての決勝戦なわけで。

 

渡部 そうなんですよね。このタイミングは偶然ではあるんですけど、これも必然なんだなと思いますね。

 

──後楽園ホールで負けて始まったプロキックボクサーとしてのキャリアが、横浜武道館のメインで終わろうとしているわけですよね。あとは勝ってベルトを巻くだけと。

 

渡部 そんな完璧な話があるかよって思いますけどね(笑)。完璧すぎだろって。まあ、そうさせますけど。

 

──その完璧なストーリーが完璧に完結するのは、渡部選手の力によるわけで。

 

渡部 やるだけですね。舞台は本当に整ったので。

 

──先ほど、後楽園ラストマッチの時はプレッシャーがあったということでしたが、今回はどうですか?

 

渡部 まあプレッシャーはもちろんありますけど、さんざんやってきたことだし、大事なところでいっぱい負けてもきたので、「負けたらどうしよう」とかあんまり考えちゃうと“らしさ”が出ないなと思って。最後だし、気楽にというわけではないけど、楽しんで最後を迎えたいなという気持ちが一番大きいですね。

 

 

──そのための日々がまさに今だと思うんですが、どういう気持ちで過ごしていますか?

 

渡部 あんまり深くは考えないようにしてるんですよ。しみじみ「最後かぁ……」とか思うと、張り切りすぎてしまうので。練習の中でも「ラストだから頑張ろう」という思いはもちろんあるんですけど、いつもと違うことをやるのはちょっと違うかなと思うので。なるべくいつも通りに生活するようにはしていますね。

 

──必要以上には気負わないという感じですか。

 

渡部 そうですね。「最後だからやんなきゃ」と思ってましたけど、それは逆効果だなと、動いてて思ったので。

 

──『KNOCK OUT』で復帰してからも、うまくいかなかった試合、“らしさ”が出なかった試合もありました。でもその中で、前回も“らしさ”全開でしたし、今度の試合もそうできそうな相手との舞台です。最後にそれができてきたというのは、自分ではどういう部分がよかったと思いますか?

 

渡部 やっぱり相手ありきですからね。テクニックでくる選手とは噛み合わなかったりもするので、本気で倒しにきてくれる相手とはいい試合ができますよね。自分はいつもガンガン出ていくので、それに乗ってきてくれたからハマったというのはありますよね。

 

──そういう選手が集まった今回のトーナメントはまさに最高の花道だったんですが、渡部選手次第では、10月の後楽園で終わっていたかもしれないわけで。

 

渡部 本当にそうなんですよ! そう思うと、「勝ってよかったな」と思います(笑)。後楽園の前は「負けたら終わりか……」と思っていたので、そっちの方がプレッシャーが大きかったですからね。

 

──それも、乗り越えた今だから言えるわけで(笑)。

 

渡部 本当に(笑)。マジで「どうしよう……」ってなってましたから。

 

──今回は、最後に全力を尽くすのみという感じですか。

 

渡部 はい、「今できることをやる」というだけですね。もちろん絶対勝ちたいですけど、勝負なので勝ちか負けかしかないので、そこはやってみないと分からないですから。それが「勝ち」になるように全力を尽くします。

 

──通常のラストマッチ、引退試合前のインタビューだと、「現役生活を振り返っていかがでしたか?」みたいな質問をするところですが、それはまたの機会にした方がよさそうですね(笑)。

 

渡部 今は振り返ってシンミリしてる場合じゃないですからね(笑)。とりあえず試合しなきゃなので。

 

──あとは当日を最高の状態で迎えるだけですね。コンディションなどの面ではどうですか?

 

渡部 今のコンディションはよくも悪くも、普通です。一番怖いのは、寒いので風邪を引くことですね。子供もいっぱいいるので、保育園とかからいろいろもらってこないように(笑)。

 

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

渡部 今までやってきた生き様を見せたいですよね。自分の格闘技人生を全うする、そういう試合を見せたいと思います。

 

──分かりました。ありがとうございました!

 

プロフィール  

渡部 太基

所属:TEAM TEPPEN

生年月日:1987年12月12日生

出身:東京都葛飾区出身

身長:174cm

戦績:59戦26勝(15KO)31敗2分

第4代Krushウェルター級王者
元WPMF日本ウェルター級王者