
2025/01/28
2.9 KNOCK OUT 2025 vol.1|折戸アトム インタビュー公開!
「サラリーマン代表として、勇気が出るような試合をします!」
2・9「KNOCK OUT 2025 vol.1」の[KNOCK OUT-RED -63.5kg契約/3分3R・延長1R]で髙橋亨汰と対戦する折戸アトム。39歳でデビューし、現在42歳の折戸は、サラリーマンとして働きながらプロのリングでも好成績を上げている。今回は髙橋戦という大チャンスに、どう意気込んでいるのか?
──『KNOCK OUT』参戦は2023年11月のプレリミナリーで勝利して以来となります。今回は本戦で髙橋亨汰選手との試合ですが、オファーを聞いた時はどう思いましたか?
折戸 正直なところ、すごくビックリしました。髙橋選手は有名な選手で、新日本キックのチャンピオンと世界王者にもなっていますので、逆に私でいいのかなっていうのが、率直な感想でした。
──オファーはすぐに受けたんですか?
折戸 はい、「私でよければぜひ」と、お願いしました。ああいった強い選手と、私みたいな普通の会社員のおじさんが戦える機会っていうのはもうないと思うので(笑)。
──逆に髙橋選手は折戸選手の印象を、その年齢ですごくうまいと。デビューが遅かったはずなのに、試合運びがうまいと評価していたんですよ。
折戸 それは光栄ですね。私は2021年6月に、39歳でデビューしてました。だからその評価はちゃんと見ていただいてるということでありがたいです。
──39歳は確かに遅いデビューですが、そもそもキックを始めた時期とその理由というのは?
折戸 キックを始めたのは1998年、高校2年生の頃ですね。当時、K-1のヘビー級が流行っていて、アンディ・フグとかジェロム・レ・バンナとかの選手をテレビで見て憧れて、「こういう風になりたいな」と思って始めたんですけど、それまで運動経験がなかったものですから、もう全然練習がつらくて続かなくてですね。すぐにジムから足が遠のいて、半年ぐらいですぐ辞めてしまって。
──ブームの頃はそういう人も多かったんでしょうね。
折戸 その後、大学に入ったらキックボクシング部があったので、そこでキックボクシングをもう1回始めて、新人戦で1試合やったんですが、つらすぎてまたすぐにやめちゃって。その後、社会人になって30歳である程度仕事が落ち着いてきたので今のPHOENIX GYMに入ったんですが……私、国内のメーカーで海外関係の仕事をしてまして、36歳までインドに赴任になってしまったんです。帰国して、高校生の時の夢だったキックボクサーになろうと本格的に頑張ったんです。
──かねてから念願の。
折戸 インドに赴任する前から思ってはいたんですけど、赴任が重なってしまって、なかなか夢が叶えられなかったんですね。そこからアマチュアの試合を経て、3年でプロデビューという流れですね。
──最初に憧れてから断続的でブランクが長いんですね。
折戸 そうですね。一番最初に始めた瞬間から今日までは、もう27年経ってるんですかね。髙橋亨汰選手の年齢と一緒ですね(笑)。
──確かに!(笑) しかし、よくその間ずっと意欲を持ち続けられましたね。
折戸 意欲を持ち続けられたのは、その間にキックボクシングで活躍している選手たちの姿がカッコよくて。高校生の頃はK-1、その後は全日本キックの大月晴明さんとか小林聡さんとか、新日本キックの深津飛成さん、武田幸三さん。社会人になってからは2016年の『KNOCK OUT』で、ジムの先輩の梅野源治さん、それから那須川天心選手も出てましたし。あと勝次選手とか、前口太尊選手も出てましたし。そういう選手たちが、自分のどのライフステージでもいつも輝いて見えたので、それがすごく励みになって続けてこれました。
──その後、ずっと憧れていたリングにプロとして足を踏み入れてからはどうでしたか?
折戸 一戦一戦、必死に仕事をこなしながらやっているので、毎回ちょっと非現実的というか。モチベーションも練習も大変ですし、試合に至るまでの過程っていうのは苦しいんですけど、何というか達観してるような、自分じゃないような感じがしていますね。ここまで7戦して6勝で自分ではもうあの出来過ぎぐらいの戦績を上げているので、本当にちょっと現実味がないというか。
──6勝(1KO)1敗と勝ってこれている理由は、自分では何だと思っていますか?
折戸 単純に運がよかったのかなと。あとはPHOENIXにウアン先生という先生がいるんですけど、この先生の言うことをとにかく聞いてやってたら結果が出てきたっていう感じですね。
──これだけ勝ってくると、何かと欲が出てくるのではと思うんですが。
折戸 いや、私は本当にただの会社員のおじさんなので、欲というとアレですけど、ただ今回の試合に関しましては、髙橋亨汰選手というすごい選手とやらせていただくので、ここはいいパフォーマンスをして、最低限勝たないといけないなと思っています。
──その髙橋選手ですが、どういう印象ですか?
折戸 若くて速くて強くて、スタミナもあって勝つテクニックもある。正直言って、たぶん勝てることって一つもないんじゃないかなと思ってますね。
──でも勝たなきゃいけないわけで。
折戸 はい。髙橋選手は私に負けるところが一つもないから、たぶん普段通りの練習をしてくると思うんです。私は勝てるところがないので、そこはいろいろ作戦を練らないといけないと。この状態があるので、私は勝てると思ってます。
──それだけ綿密な作戦を立てて臨んでいる?
折戸 綿密な作戦というとアレですけど、常に髙橋選手のことを意識して練習してますね。
──それだけモチベーションも高いと。
折戸 そうですね。本当に髙橋選手の一戦という貴重な時間をいただくので、本当にモチベーションは高いですね。
──最終的にはどう勝ちたいと思っていますか?
折戸 「KOで!とか言った方がいいと思うんですけど、私は最低限、どんな形でもいいので勝ちたいです。ただ会社の同僚、部下や上司もみんな応援に来てくれるので、みんなを楽しませたいとは思ってますが。
──そこはプレッシャーにはならないですか?
折戸 あんまりそういうプレッシャーとかは感じない方ですね。試合はもちろん若干感じるんですけど、始まってしまうと、周りのことはあんまり気にしないですし、緊張もほとんどしないですね。会社で大きなプレゼンをする時の方がだいぶ緊張するので、それに比べると、全然大丈夫です。
──その先、『KNOCK OUT』でだったり、何か考えていますか?
折戸 具体的に、ベルトだとかそういう話ももちろん興味なくはないんですが、どちらかというと、私みたいな社会人が戦うことで、私と同世代だったり、もっと上の世代だったり、中高年の皆さんの励みになればなと思ってます。会社員の皆さんは、とんでもない長い時間を苦労して、仕事に捧げているので、そんなサラリーマンでもいいですし、何をやってもある程度うまくいくというところを、皆さんに見せられればと思っています。
──もちろん折戸選手自身も、仕事との両立をされているわけですが、何か特に気をつけていたり、工夫しているところというのは?
折戸 やっぱり、どちらもないがしろにしない姿勢を見せることですね。仕事の時には「キックに行かないといけないから」っていう空気を出さないようにしてますし、一方でキックでは、仕事を言い訳にしないようにと。もちろん仕事の影響で練習に行けないこともありますし、試合前でも仕事が立て込む時もあるんですが、行ってしまったらもうそこに集中して、ジムに来たら一切仕事を忘れて100%打ち込むというところは心がけています。
──あとリングネームなんですが、PHOENIXではオーナーの方がリングネームをつけられるというお話を伺っています。「アトム」もそれなんですか?
折戸 そうですね。私の時には、「名字か名前かどっちを残したい?」と言われて、私は名字がいいと言ったんですが、オーナーは名前を残したかったらしくて。その時の候補も聞いたんですけど、ちょっとそれは勘弁してほしかったので、折戸の方を残したら、「お前は顔が人造人間みたいだからアトムで」って言われまして。
──そういうことだったんですか!(笑)
折戸 でも「折戸アトム」って、若干、本名っぽいじゃないですか。時々「本名なの?」って聞かれるのはちょっと恥ずかしいんですが(笑)。今は慣れて、気に入ってますけどね。
──では最後に、今回の試合で、特にここに注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
折戸 多くのお客さんと全く同じ会社員で、同じように好きなことをやって頑張ってる姿というのを見てほしいですね。皆さんの勇気が出るような試合をしたいと思いますし、サラリーマンの皆さんを勝手に代表してお見せしようと思いますので、そこに注目いただきたいです。
──分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
折戸アトム
所属:PHOENIX
生年月日:1982年3月1日生
出身:新潟県新潟市出身
身長:178cm
戦績:6戦5勝(1KO)1敗