2025/06/09

【格闘メディア企画 ーこの試合に何を想う-】 重森陽太 vs ゴンナパー・ウィラサクレック

 

6・22国立代々木競技場第二体育館
「打撃格闘技の最高峰を体現する」KNOCK OUTのビッグマッチ『THE KNOCK OUT』

 

4大タイトルマッチを含む超注目試合をより楽しんでいただくため
名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、
第3弾はTOKYO HEADLINE 本吉英人氏のコラムを公開!

 

本吉英人氏には
KNOCK OUT-REDライト級級タイトルマッチ
「重森陽太 vs ゴンナパー・ウィラサクレック」がどう映るのか。是非ご覧ください。

 

 

 

 

 

 

重森陽太に見せてほしい高度な「帳尻合わせの勝利」

 

 

 

 

昨今、選手は「盛り上げる」とか「面白い試合をする」という言い方をよくするのだが、それはいったいどういう試合なのか?1Rで1分もかからないうちに秒殺KOする試合なのだろうか。10試合ある興行でそんな試合が2~3試合もあったらお腹いっぱいなのではないだろうか。全試合1RKOで終わる大会があってもいい。しかしそれはあくまで「たまに」でいい。逆にそんな試合ばかりを楽しむ観客が増えたら、キックボクシングに未来はあるのだろうか。

 

何が言いたいかというと、じっくりとテクニックを見せる試合も必要ということ。むしろ一つの興行の中にさまざまな種類の試合が混合することでメリハリがついてより楽しさが増す。

 

今大会では4つのタイトル戦が行われるのだが、重森陽太とゴンナパー・ウィラサクレックの試合は最も通好みのカードといっても過言ではないだろう。

 

 

 

重森はKNOCK OUT王者、ゴンナパーは今でこそ無冠ではあるが、K-1のライト級王座に長く君臨。K-1ライト級は与座優貴の王座返上で空位ということを考えるとKNOCK OUT vs K-1の団体の看板を背負った者同士の戦いでもある。そういう図式で考えるとベルトの他団体流出という事態を回避するには自身の最も得意とする戦い方を選択するのがベストなのだが、KNOCK OUTでは今年から判定基準が変わり倒しに行く姿勢に重点が置かれ、今回の柔の重森と剛のゴンナパーという組み合わせは重森にとっては極めて不利な状況となった。重森もそこは心得ており、カード発表会見では「適応できなければ自分は落ちていくだけ」と覚悟の坊主頭で登場した。

 

 

しかしだ。「倒しに行く姿勢」はもちろん大事なのだが、テクニックを見せる試合というのもまた大切なのではないか。誤解のないように断っておくと、むろん、今回の判定基準の変更はテクニックをないがしろにしたものではない。ONE Championshipのオープンフィンガーグローブでのムエタイの出現で超戦闘的なムエタイというトレンドがあるのも分かるが、それを踏まえたうえで、その戦闘的なスタイルを凌駕するテクニックを見せてほしいということなのだ。

なので重森には3Rの2分までテクニックを存分に見せたうえでゴンナパーにダメージを蓄積させ、残り1分で倒しに行き、3R2分50秒くらいでKO勝ちという、高度な帳尻合わせの試合を見せてもらいたい。そして「面白い試合」「盛り上がる試合」に対するアンチテーゼを格闘技界に投げかけてほしい。

 

 

一方、ゴンナパーにはそういった重森のテクニックをすべて受け切ったうえで、それを越えるパワーでKOしてほしい。「相手の強さをすべて引き出したうえでそれを上回って勝つ」というのがアントニオ猪木が唱えた「風車の理論」。多分、ゴンナパーは知らないと思うが…。どちらが勝つにしても2人には技術とパワーの両面で「ザ・キックボクシング」な試合を見せてほしい限りだ。

 

 

あと最後に一つだけ気になっているのが煽りVでは多分「覚悟の坊主」というフレーズが使われると思うのだが、花道に登場した重森がオシャレ坊主になっていたらどうしようということだ。別にそれはそれでいいのだが…。

 

 

執筆
TOKYO HEADLINE

本吉 英人