2022/01/13
1.22 KNOCK OUT 2022 vol.1|吉野友規 インタビュー公開!
「敗戦とコロナ感染を経て、一から自分を見つめ直しました」
1・22『KNOCK OUT 2022 vol.1』の「スーパーファイト/KNOCK OUT-BLACK スーパーミドル級/3分3R・延長1R」で、斗吾と対戦する吉野友規。昨年3月、スーパーミドル級王座決定トーナメント1回戦で田村聖に敗れ、プロ初黒星。8月に予定された再起戦はコロナの影響で中止と、昨年は不本意な1年となったが、そこから吉野はどのように復活しようとしているのか?
-- 8月に組まれていた再起戦がコロナの影響で中止となり、ようやく復帰となりました。少し時間が空きましたね。
吉野 率直に言うとコロナに感染して、体がヤバいことになりました。中等症までは行かなかったんですけど、味覚障害、嗅覚障害が出て、あと体重が落ちて。
-- そうだったんですか。
吉野 それでも10日ぐらいで治ったんですけど、筋肉が落ちたりもあって気持ちも上がらなくて。それでちょっと空いてしまいました。
-- 吉野選手ぐらい鍛えていても、そうなってしまうんですね。
吉野 こんな感じで体調が下がってしまうというのは、今まで体験したことがなかったので、僕自身も驚きました。
-- では、しっかりと練習を再開できたのはいつぐらいからだったんですか?
吉野 11月ぐらいですかね。そこまでは、なかなか気持ちが入らないというのもありましたし、動いてもただ疲れるという感じになっていたので、まずはゆっくりと調子を上げていくことに専念しました。正直、今も元通りに万全というわけではないんですけど、これ以上は戻らないのかなというのもあって。筋トレしてもデカくならなくなりましたし。
-- 3月のプロ初黒星を経て、8月の試合に向けて「もう一度やっていこう」と気持ちを作っていた段階のお話も聞かせていただいていました。その気持ちもいったんリセットになってしまった感じでしたか?
吉野 正直言うと、あまりいろいろ考えられなくなりました。まさか自分が感染するとは思っていなかったですし。コロナになって、職場や家族の方もちょっとゴタゴタしてしまったので、「まずはしっかり治さないとな」というのが一番大きかったですし。
-- とは言え、今はリングに向かう気持ちになれたということですよね。試合に向けてはどのような心境ですか?
吉野 頑張りたいですね。この間も家族をはじめ、支えてくれた方もいますし、応援してくれた方もいますから。一緒になって「残念だね」って心配してくれた方もいたので、気持ちが切れて「もういいや」という状態にはならなかったですね。僕自身も、こんな状態で終わりたくはなかったですし、キックボクシングがすごく好きだなということも再確認できたので、そういう気持ちで頑張りたいなと思いました。
-- 今回の相手は斗吾選手です。まず印象は?
吉野 僕の4戦目、ロッキー川村戦の時(2019年8月)に斗吾選手も出場していて、メチャクチャ強いなと思っていたんですよね。今回、斗吾選手との対戦が来るとは思っていなかったので、すごい強い方が来たなと思って「ああ……」となりました(笑)。対策とかそういうことではなくて、気を抜かない練習をしています。映像とかを見させていただいて、勉強させていただくような選手で、うまく自分の距離で試合をされる選手なので。もちろんパワーもあるし、何しろ新日本キックのミドル級チャンピオンですから、実績も申し分ないですしね。本当に尊敬できる方なんです。だから本当に、斗吾さんとの対戦と言われた時に、普通なら僕みたいな、次が8戦目という選手が対戦できるような方ではないので、僕のキックボクシング人生っていうのは、逆にこういう戦いができる場所にいさせていただいてるんだなと感謝の気持ちが大きかったですね。
-- なるほど。
吉野 なので、本当に挑戦者という気持ちで挑ませていただくというのが、今の素直な気持ちです。
-- この間に改善できた部分というと?
吉野 正直、そこはあんまり言いたくないですね(笑)。僕は基本的なところができていない選手なので、パンチをぶん回すクセがすごく強いんですよね。ガードも下がりますし。今までは、ガードも関係なしにぶっ飛ばしてやろうという感じで、たまたま勝てた試合もありましたけど、それはもう通用しなくなってると思うんですよ。前回のトーナメントでの田村聖戦でも、僕からは一枚、二枚、壁があるところにいる選手だと思うんですよね。それは松倉選手も同じですし、その一角には斗吾選手も入っているんですよ。そういう選手がどういう試合をするかとか、どういうところを打ってくるのかとか、そういうレベルの高い選手が試合をするとどういう点で決着がつくのかとか、そういうことを考えながらやっていかなきゃいけなくて。僕はどうしてもガードが下がって打たれてしまうとか、体が流れてしまうという明らかな欠点があるので、そういうところをまた一からやるようにしています。
-- 以前は、「1試合でも負けたら終わりにするつもりで」ということを言われていました。そこにも変化はありましたか?
吉野 僕は格闘技一本で生活できていないので、どうしても二足のわらじ状態なんですね。なので長期でお休みをいただいたりして、職場にも、すごく迷惑をかけたんですよ。応援してくれる方もたくさんいるんですが、それでもいろいろあって。だから両方をやるということに限界を感じていた部分もあったんですが、やっぱりキックボクシングがすごく好きだし、家族も僕のやりたい放題の人生に力を貸してくれているんですよね。僕のために旅行に行きたくても行けないとかもあっても背中を押してくれているので、僕がそこで弱音を吐いてちゃしょうがないなとも思って。なので、できる環境でできることを頑張って、それで出た結果はしょうがないのかなと思えるようになりました。
-- そこに気づけたということですね。
吉野 はい。心から応援してくれる仲間もいるし、「この状態でやめてほしくない」という声も聞いて、自分自身の中で見つめ直して、「できるところまで頑張らせてくれ」と頭も下げて、改めてやっているところです。
-- では心機一転という感じですか。
吉野 今年はとりあえず頑張ってみようと思っています。ダラダラと続けてはいけない立場だと思うので、一戦一戦、大事に戦っていきたいです。この状況で出場させていただけるというのも当たり前ではないですからね。その意味でも山口代表、宮田プロデューサーをはじめ『KNOCK OUT』関係者の方にもものすごく感謝してます。
-- 昨年は不本意な結果になったと思いますが、今年はどういう年にしたいですか?
吉野 下を向く年にはしたくないですね。キックボクシングの勝負であったり、何か残せるような、気持ちが上がる年にしたいです。自分の中で何かをしっかりと残せるように。
-- ではこの試合で、一番注目してほしいポイントはどこですか?
吉野 今まではただ我武者羅に戦っていたんですが、そこに集中力が加わったと思っているんですよ。集中して戦うという試合運びをしようと思っているので、そこに注目してほしいと思っています。それをやれば、しっかりと相手にも自分にも向き合って戦えるかなと思っています。
-- 分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
吉野友規(よしの・ともき)
所属:STURGIS新宿
生年月日:1986年5月30日
出身:埼玉県比企郡
身長:186cm
戦績:7戦6勝(4KO)1敗
獲得タイトル:第6回K-1アマチュア全日本大会重量級優勝(2018年)