「相手がナメくさってるみたいなんで、ボコボコにぶん殴りますよ」

 

 

 

6・23『KNOCK OUT CARNIVAL 2024 SUPER BOUT “BLAZE”』の「KNOCK OUT-BLACKウェルター級/3分3R・延長1R」で小川悠太と対戦する渡部太基。ラストイヤー3戦目、いよいよギアを上げようという渡部だが、記者会見で対戦相手の小川にカチンときたという。その胸の内は？

 

 

 

 

 

──　5月9日のカード発表会見では対戦相手の小川悠太選手とも顔を合わせましたが、どう感じましたか？

 

渡部　何か、小生意気な感じだなと思いましたね。ちょっと絡みづらいというか（笑）。

 

──　小川選手のことはオファーが来て初めて知った感じですか。

 

渡部　そうですね。試合の動画もちょっとだけ見た程度で。4月の試合の祝勝会が続いてたので、まだ切り替えられてなかったんですよ。太らないように、ちょっとだけ節制しながらゆっくりしてたという感じ。動画は1試合だけ見て、パンチでKOした試合だったかな。でもまあ、相手のレベルも全然分からないですけど、数字だけ見たらKO率が高いので、一発があるのかなというイメージだけですね。

 

──　祝勝会の中が続いていたということですが、4月大会の勝利には、やはりそれだけの喜びがありましたか。

 

渡部　僕ももちろんうれしかったですけど、周りのみんなが「太基が帰ってきたよ！」みたいな応援団の熱というか、そういう声がすごく多くて、「やっぱりみんなこれを求めてんだよな」というのを再確認させられたというか、やっぱこうじゃなきゃなという気持ちになりましたね。

 

──　周りの反応が思い出させてくれたというか。

 

渡部　そうなんですよね。勝った時に自分の応援団の方を見たらみんな立ち上がってて、「うん。そうだ、これだ！」みたいな。

 

──　ご自分の動きとか試合内容自体はどうでしたか？

 

渡部　相手が変更になって契約体重が変わって、水抜きがなかった分、何というか……けっこう普段通りな感じというか、練習に行くぐらいの感覚でやれました。体調もよかったですし。水抜きで計量をパスして戻した時は、「ちょっと重いな」とかいろいろ感じるところがあるんですけど、今回は「いつも通りスパーリング、ぶっ飛ばせばいいか」みたいな、そのぐらいの感覚でした。アップもめちゃくちゃ調子良くて、だから「71.5kg級、いいな。違うか……」みたいな（笑）。

 

──　そんなわがままな階級はないですよね。

 

渡部　だからしばらくは増えないように意識してたんですけど、やっぱり水抜きの影響ってけっこうあったんだなと思いましたね。ずっとそれでやってたので。それでもいい時はよかったんですけど、やっぱり年とともに、水を抜くだけキツいのかなと。リカバリーも難しいなというのはすごく体感したので、ラスト1年はちょっとスマートにいようかなと思ってます。日頃の体重調整をは少し意識していけば、もっともっとパフォーマンスは上がると思いますし、今は2ヵ月おきのスパンでやってて、怠けるヒマがないというか、ちょっと休んだらすぐ練習という感じですからね。ケガもないので、全然いい感じです。昔は2～3ヵ月に1回なんて当たり前でしたけど、「この年でそれやっちゃダメだろう」って思ってたんですよね。でも意外と、やってみたら調子いいな、みたいな。

 

──　このキャリアになっても、やってみて分かることってあるんですね。

 

渡部　全然ありますね。昔なんてもう、ワケ分かんない減量の仕方してましたからね。全然知識もなかったし、とにかく飲まず食わずで走りまくって、唾吐いて、とりあえず計量クリアした、OK！　って何でも好きなもの飲んだり食ったりして「おっしゃ、いったれー！」みたいな感じだったんで。でもちょっとずつ年とともに経験を重ねて、いろんな人に相談したりいろんなところから話を聞いて、こういうのがいいんだ！とかこれもダメなんだ！とか、毎回毎回、経験とともに真面目になってきました（笑）。

 

──　でも今回の試合は、別に真面目なところを見せたいわけではないですよね（笑）。

 

渡部　試合内容はいつも真面目じゃないんで。でも本当、ナメくさってるならばボコボコにしてやろうかなという感覚ですね。

 

──　相手の態度で、火がついたとこがありますか。

 

渡部　そうですね。何か、「お前なんて興味ねえよ」ぐらいな感じだったじゃないですか。「何だお前？」みたいな。でも会見でいろいろ言うのは、ちょっともういい年なので我慢して。「テメー！」と思いましたけど、当日ボコボコにしてやるからなという感覚で。

 

──　前回の感覚、勢いでいきたいですよね。さらにプラス、大会場でのビッグマッチでもあります。

 

渡部　はい。もちろん気合は入りますけど、いろんな会場でやらせてもらってきたので、特にデカい会場だからどうこうというのは、あんまりなくなりましたね。いい試合をして盛り上げたいというのは、常にどこの会場であろうと思ってるので。

 

──　さらに、トーナメントを目指してというところはもちろん変わらないですよね。

 

渡部　もちろん。ただ、前回も今回も相手が現役チャンピオンなので、もうこれで勝ったらベルトくれよって思いますよね（笑）。別に急いでるわけじゃないですけど、もうこれトーナメントでいいじゃん、ぐらい思ってましたけどね。1回戦でいいじゃん、とか。

 

──　ただ、やればやるほど、本来目指しているベルトへの思いも強くなってるんじゃないですか？

 

渡部　俺が現役チャンピオンを倒し続けてから巻いたら価値も高まりますし、どんどん現役のチャンピオンを倒して、最後に欲しいベルトを巻けたら、一番ベストですからね。

 

 

 

 

──　キャリアの中でも、終わりを本当に見据えてというのも初めてなわけじゃないですか。そこで思うことは？

 

渡部　やっぱり、ラスト1年だからあと一歩頑張ろうみたいな、毎日がそういう自分との戦いだなというのはけっこう思いますね。普段の練習の中でも、残り試合数を考えたら「こんなに追い込めるのもあと何回なんだろう」とか思うと、「キツいから今日はいいや」とか言ってらんないなと。もちろんちょっとオーバーワークで休む時もありますけど、でもやるときは本当に集中して、自分に鞭打ってやってます。

 

──　いろんなものが、より大事に感じられると。

 

渡部　今までも別に手を抜いて試合してたわけじゃないですけど、やっぱ練習への取り組み方とかも……中途半端やって試合も中途半端だったら、一番悔いが残ると思うので。勝敗は分かんないですけど、とにかく練習で自分を作り上げるということを意識して、今やってますね。

 

──　リミットが決まっているだけに、最終的に実を結ばせなきゃいけないわけですよね。

 

渡部　そうですね。「負けちゃった。また頑張ろう」じゃ済まないですからね。もうラスト1年って決めてるので。だから結果は分かんないですけど、本当にいつもよりも1試合1試合が大事だなというのはすごく感じてますね。

 

──　今回は「小生意気な相手」に、最後どう勝ちたいですか？

 

渡部　いやあ……ぶん殴りたいっすね（笑）。うん、思いっきりぶん殴りたいですね。結局それなんですよ。KOしたいですよね。判定で勝つのもうれしいんですけど、やっぱりKOって、「降参」じゃないですか、相手からしたら。それが一番気持ちいいですよね。立てない、戦えない、もう降参という。やっぱりそこまで叩きのめしたいですよね。俺も判定で勝ったり負けたりもいっぱいありますけど、判定って他人が決めるわけじゃないですか。決着ついてないと思うんで。やっぱり決着付けるにはKOかなと。

 

──　そういえば、4月の試合後は解説席に五味さんがいたから、マイクで「判定？　ダメだよ。KNOCK OUTじゃなきゃ！」というセリフもありましたね。

 

渡部　あんまり誰も気づいてくれなかったんですよね（笑）。世代とかファン層が違うのかなと思って。格闘技好きな人たちは「あれ、五味さんの言葉だよね」って言ってくれたんですけど、「何か珍しく吠えてたね」みたいな反応もあって（笑）。いやいや、五味さんが解説にいてくれたから、「KNOCK OUT、ウェルカムです！」みたいな感じで言わせてもらったんですけど、誰も拾ってくれなくて（笑）。

 

──　そして次は、そのKOを大きな会場でできるわけで。

 

渡部　まあ、常にそう思ってますからね。KOじゃないと、見に来てるみんなも分かんないですから。倒し切りたいです。

 

──　では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう？

 

渡部　渡部太基ラストイヤー第3戦、とにかく安定とか狙ってないんで、マジで倒しに行くんで、見てくださいという感じですね。

 

──　分かりました。ありがとうございました！

 

 

 

プロフィール　　

渡部太基
所属：TEAM TEPPEN
生年月日：1987年12月12日生
出身：東京都葛飾区出身
身長：174cm 
戦績：57戦25勝(14KO)30敗2分
第4代Krushウェルター級王者
元WPMF日本ウェルター級王者