
2025/06/05
THE KNOCK OUT|壱・センチャイジムインタビュー公開!
「早い段階でどっちかが倒れます。でも最後は絶対ぶっ倒す!」
6・22「THE KNOCK OUT」の[KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分3R・延長1R]で森岡悠樹と対戦する壱・センチャイジム。昨年末の横浜武道館大会ではトーナメント決勝で対戦し、壮絶なダウンの応酬の末にKO負け。今回は王者として森岡と4度目の対決を迎える壱の心境とは?
──半年ぶりの再戦で、4回目の対戦。なかなかないこととは思うんですが、今回は4回目だろうがやらなきゃいけない試合という感じですか?
壱 そうですね。最初2回やって2回勝ったから、もうやることはないだろうなと思ってたんですけど、12月はトーナメント決勝だったので、やらざるを得ないじゃないですか。でもそこで負けちゃったので、4回目でもやらないとなという感じです。
──BLACKかREDかという話もありましたが、最終的にはREDに落ち着きました。ご自身としてはそこはいかがですか?
壱 僕としては、最初はREDで希望を出していて、でも森岡君がBLACKと言うならそれでもいいかなと思ってたんです。でも最終的にREDになって、僕がこれまで戦ってきたのは42戦中41戦がヒジありなので、それでいいのかなと思っています。
──前回、12月の森岡戦を今振り返ると? 壮絶な試合でしたが。
壱 周りの方からは「いい試合だった」と言われるんですけど、僕はシンプルに「何でああいう試合をしちゃったんだろうな」と思いますね。1回ダウンした後、ディフェンスも何もなくメチャクチャに打ち合いにいくって、やってることが40戦やってる選手の試合ないようじゃないなと思って。自分はテンションが上がっちゃうと、「殴られてもいいから殴りにいく」みたいになっちゃって、見てくれた人にはいいものをお届けできたかなと思うんですけど、客観的に自分を見ると、「40戦目にして情けない、ヘタクソな試合だな」と思いました。
──ただ、多くの団体からチャンピオンが集まったトーナメントの決勝戦で、横浜武道館というビッグマッチでもあり、ダウンを取ったからといって守りに入ればいいという考えもなかったでしょう?
壱 それはそうですね。守りに入るつもりは一切なかったんですけど、僕はテンションが上がっちゃうと攻撃10、ディフェンス0になっちゃうので。もっとうまくいろいろできただろうし、練習でもいろいろやってるのに、どうしてそんなことをしちゃったんだろうと思って。自分に落ち込みましたね、あの時は。
──やはりそれは性格?
壱 やっぱりそうですね。「自称・お祭り男」なので。今はこう言ってますけど、たぶん一生治らないと思うんですよね(笑)。そこは自分とうまく付き合いながらやっていこうと思っています。
──では、今回4回目の戦いは、どう戦おうと思っているんですか?
壱 作戦はしっかり立てていて、具体的には言えないですけど、基本的には「ぶっ倒す」。「ぶっ倒されてもぶっ倒す」という感じです。変な話ですけど、僕も森岡君も、ダウンした後に逆襲できるタイプなんですよ。俺はダウンしてもぶっ倒せると思うし、森岡君がダウンしても気が抜けないし、本当に終了のゴングが鳴るまで分からない試合になるだろうなと思っています。
──カード発表会見では「倒されても逆転できると思ってしまっている」と話していましたよね。
壱 そうなんですよね(笑)。僕は森岡戦の後、タイ人、中国人、タイ人と3試合やって、1試合は負けちゃったんですけど、勝った試合は2試合とも失神KOで終わらせたので、そこで自信がつきすぎたというのもあるんですよね。「俺のパンチが当たれば絶対みんな倒れるだろ」みたいに思ってたんですけど、直近にやったタイ人がすごくガードが固くて自分が先に倒れちゃって、「あー、やらかしちゃったなあ」と思いましたね。
──過信になってしまったわけですよね。気をつけるべきはそこ?
壱 ですね。今回は落ち着いて戦おうと思います。こう言うとみんな「ゆっくりしたペースで戦うのか」と勘違いするんですけど、僕はテンションが上がっちゃう病気なので、そうなっても作戦を実行できるように戦いたいということですね。たぶん今回も、早い段階でどちらかがダウンすると読んでるんですよ。それはどっちか分からないですけど、そこからの展開はその場で決めようと思っていて。だから「作戦は決まってる」って言いましたけど、その日のテンションと、リングに上がった時の感覚と相談して決めようという感じですね。だから両方用意してるんですよ。僕が先にダウンした場合と、先にダウンを奪った場合とで。どう転んでも勝てるように、いろいろ組み立てています。
──途中の経過はなりゆき次第だけど、最終的にぶっ倒すという目的地は同じだと。
壱 はい。早い段階でどっちかが倒れるので、そこからどうするか。「俺のパンチで絶対倒れるっしょ」という過信をなくして、今回はダウンした後のことも考えて臨みます。
──森岡選手とは4回目だから、お互い知り尽くしているはずですが、そういう感じじゃないですよね(笑)。
壱 ここまでは2勝1敗で、1回目と2回目は僕が判定で勝ってるんですね。普通はその後ってつまんなくなっていきそうですけど、3回目であんな試合して森岡君がKO勝ちしてるので、こんなことないだろうなと。あと、今度の4戦目が初めてオープンフィンガーグローブ(OFG)というのもポイントですよね。僕はOFGの試合でのダウン奪取率がけっこう高いんですよ。4試合中3試合でダウンを取っているので、僕のパンチはボクシンググローブよりもOFGでダウンを取りやすいタイプなのかなと思います。
──そうなんですね。
壱 ボクシンググローブだと、意識ごと断つような重い衝撃じゃないと倒せないですけど、OFGだと回転力が速ければ、ガードしててもスコン!スコン!スコン!と入って、それで倒せるんですよ。僕はそっち系のパンチなので、「あ、倒れた!」となりやすいですね。逆にボクシンググローブだと、自分的に「入った!」と思っても相手がケロッとしてることもけっこう多いので。
──そんなに違うんですね。
壱 OFGだとシャープなパンチの方が倒れやすいらしくて。だから僕はOFGの方が倒しやすいんですけど、逆に倒されやすくもあるから、早い段階でどっちかが倒れるだろうと。あと、僕は個人的に森岡君のことがメッチャ好きなんですよ。
──ほう。
壱 僕は対戦相手はみんなキライなんですけど、森岡君は熱くて好きですね。だからアイツとだけは敬意を持って戦えます。
──ただ、さすがにもう今回で終わりにしたいのでは?
壱 いや、どうせまたやることになると思ってますよ。
──そうですか(笑)。
壱 瑛ちゃん(小笠原瑛作)がフェザー級に上げてから、この3年ほどのスーパーバンタム級はBLACKとRED合わせて、僕と森岡君と古村光選手と古木誠也選手、この4人が回してきたと思うんです。その中の古村君と古木君が階級を上げちゃったので、また僕と森岡君の時代になっちゃったんですよね。だからここで勝負がついたとて、どうせまた巡り巡ってやることになるんだろうなとは思っています。
──だからといって「もうウンザリ」という感じではないと。
壱 そうですね、森岡君が気持ちいいヤツなので。あと森岡君は今31歳で僕とは3歳離れていて、普通ならもう落ちてくる頃かと思うんですけど、年齢を重ねるごとに脂が乗ってきて、最近が一番強いんですよね。だから森岡君が強い時代はまだまだ続くと思っているし、僕も今がこれからまだ強くなるだろうと思っているから、2人の因縁はまだまだ続くんじゃないかなと思っています。
──今回はもう、あとはぶっ倒すだけと。
壱 はい。「どっちがぶっ倒れるか分かんないけど、やろうぜ!」という気持ちですね。
──ところで、ずっと言っていた「ロマンチック」は止まったんですか?
壱 僕は『Romanticが止まらない』と『星空のディスタンス』、どっちの入場曲も僕は好きなんですけど、年末の横浜武道館大会から『星空のディスタンス』に戻したんです。ただ、生き方がロマンチックなのは変わらないので。僕が戦い続ける以上、ロマンチックは止まりませんから。
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
壱 もうね、妻に「お父さんになったんだから『顔』なんて言ってたら恥ずかしいよ」って言われちゃったんですよ。だから今回はどうしようかなあ……そう言われちゃったらなあ……そう言われたんですけど……やっぱり「顔」で。
──結局変わんないじゃないですか!(笑)
壱 いや、僕思うんですけど、年齢を重ねて実力も上がってくるとともに、顔も仕上がってきてるんですよね。僕はけっこう「しわフェチ」で、目尻のしわとかほうれい線とかがカッコいいなと思っちゃう方なんですけど、最近は自分もそこに近づいてきてるなと思ってて。ジムの会員さんにも「最近、大人の顔になったね」って言われますしね。今まではチャラチャラしたイケメンという感じだったと思うんですけど、“イクメン顔”に注目してもらえればと思います。背負うものが増えた、戦う男の「顔」に注目してください!
──分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
壱・センチャイジム
所属:センチャイムエタイジム
生年月日:1997年8月15日生
出身:沖縄県那覇市
身長:173cm
戦績:40戦29勝(10KO)10敗1分
獲得タイトル:第4代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者
第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者
元ルンピニージャパン・バンタム級王者