
2025/06/19
THE KNOCK OUT|祖根寿麻インタビュー公開!
「えっ、その話、するんですか?」
6・22「THE KNOCK OUT」の[KNOCK OUT-UNLIMITED -63.0kg契約/3分3R]で大沢文也と対戦する祖根寿麻。修斗やRIZINで活躍し、2022年に引退していた祖根だが、今回は「一夜限定復帰」。そのきっかけは何だったのか、そして大沢とのUNLIMITED戦で何を見せたいのか。さらに、沖縄での●●伝説についても聞いてみた!
──カードが発表された時には驚きの声が多く上がっていました。改めてですが、今回は「1試合限定復帰」なんですか?
祖根 そうですね。今のところは1試合でしか考えていないです。引退してすぐの頃は、いろんな試合のオファーがあったんですよ。でも僕は「もうトップ戦線には戻れない」と思っていたし、最後の試合の時も脊椎に菌が入る病気にかかっていたんです。それでもう、同じモチベーションに持っていくのは難しいということでお断りしてたんですね。でも今回のオファーをいただいた時はいろいろ考えて。ジムもうまく行っててビジネスも大きくなってきてて、下の人間が増えてきたんですね。そこに対してもう一度、「これが頑張るということだよ」というのを見せてあげたくて、今回オファーを受けました。
──ただそのオファーが、MMAでもなく、2試合経験しているキックルールでもなく、初めてのUNLIMITEDというルールだったわけですよね。そこには抵抗はなかったですか?
祖根 僕って、昔からグラップリングが穴だったんです。それに対して打撃はある程度できるという自負があって。だから今回のこのルールは自分にとって利点しかないなと。それに相手がキックボクサーの大沢文也選手ということで、僕にも勝つ可能性はあるなと。そういうところですかね。僕が現役の時にこのルールがあったら、絶対やりたかったなと思うぐらいで。
──そのUNLIMITEDで大沢選手と戦うということについては?
祖根 正直、寝かせちゃえばどうにかなるよね、とは思ってます。パウンド、ヒジ、ヒザ、サッカーボールキック。大沢選手はそういうのには絶対対応できないと思うので。大沢選手は、アウトボクシング的な、ポイントを取りに行く格闘技がすごくうまいですよね。僕はそこをどうかいくぐってテイクダウンしていくか。もちろん打撃も当てるつもりではあるんですけど、イメージとしてはグラウンドのヒジかヒザかサッカーボールで決めたいと思っています。
──そこに持っていく過程は、祖根選手にとってはMMAに近いものがありますか?
祖根 はい、全然MMAに近いですね。その上で、UNLIMITEDというルールを最大限使って倒しに行きたいと思っています。
──この試合で、勝てばうれしいと思うでしょうし、負ければ悔しくなるかと思います。どっちになっても、「もう一丁!」はない?
祖根 そもそも負けることを考えることは一切ないですけど、勝っても正直、じゃあこれからナニを目指していくのかというのは見えないですよね。僕はビジネスとしても先がないと厳しいと思うし、周りに見せられる何かがなかったら、その選択はないなと思います。
──今大会では別の階級で、初めてUNLIMITEDの王座も作られます。そういう意味での「先」ではない?
祖根 KNOCK OUT的にはそうですよね。とりあえず今の1勝しか見ていないです。その先はかなり考えないと難しいと思うので。
──5月のカード発表会見では大沢選手とのやりとりもいろいろありましたが、お二人はそんなに仲がいいんですね。
祖根 まあ、そうですね。沖縄で一緒に遊んだこともあるし、東京でもポーカーのお店に遊びに行ったりとか、名古屋でも「飲もうよ、飲もうよ」っていうのがメッチャある感じです。
──そういう仲でも、試合は普通にやれるものなんですか?
祖根 まあ、友達といっても、仕事は仕事ですからね。だってみんながみんな知らない同士で、「殺したい」という気持ちでやってるわけじゃないですよね? それって、「仕事」だからだと思うので。それはそれで、しっかりとやらないとやられるという気持ちでやらなきゃいけないと思ってますね。
──そして、その会見で大沢選手からは「祖根選手が昔、沖縄ですごく悪かった」という話もありましたよね。実際、どんな感じだったんですか?
祖根 その話ですか(笑)。僕は、「悪かった」というわけではないんですよ。ただ、中学生の時なんですけど、ケンカがあると呼ばれるというぐらいの感じです。
──自分からケンカを起こすタイプではないと。
祖根 そうです。「●●がやられてるから、ちょっと来てくれ」みたいな。中学の時はけっこうそういうのが多かったですね。文也が仲良くしてる僕の沖縄のツレがいるんですけど、ソイツがいらんことを言って、話が大きくなってるんだと思います(笑)。
──なるほど。武勇伝というわけではないですが、そういうトピックはありますか? よく聞くような「5人を相手にした」とか。
祖根 正直、5人ぐらいは当たり前だったんですよ。
──ほう(笑)。
祖根 相手が3人とか5人とかは普通のことで、10人とかになると「ちょっとヤバいな」と。一回、1vs20という時があって、「これはやられるわ」と思ったんですけど、やっぱりボコボコにされて、起きたら病院で寝かされてました。その後はソイツらを一人一人、●しに行きました。何人かは謝ってきたんで、全員はやれなかったんですけど。
──十分じゃないですか(笑)。
祖根 だから今流行ってるイベントで、「30人相手にして全員倒しました!」とか言ってるヤツがいるじゃないですか。それは無理ですよ。武器を使われて抑えつけられたら、絶対勝てないですから。
──まあ、そうですよね。最大何人なら勝てたんですか?
祖根 6人ぐらいだったらいけましたね。それぐらいの人数だったら、とりあえずトイレに入って、壁を背負って一人ずつ倒していけるんで。
──なるほど! 背中を見せないことが大事なんですね。『ザ・ファブル』(漫画)の殺し屋みたいじゃないですか!
祖根 ああ、あの作品でやってることは、僕の中では普通でした。背中が空いてると複数で襲いかかられることになりますけど、一面だけだったら対応できるので。
──一人ずつにさせちゃうわけですね。すごく勉強になりました!(笑) しかし、本当にケンカに明け暮れてたんですね。
祖根 明け暮れてたってわけじゃないですけど、数が多かったのは確かですね。沖縄って言うのもあったし、僕らの世代もあったし。昔、30vs30っていうのが一回あって、それはすごかったですよ。本当にドラマみたいな感じでした。
──『なにわ友あれ』で見ましたよ! 同じ作者ですが(笑)。実際にあるんですね!
祖根 そこまでのことは、僕らの時代がギリギリじゃないですかね。
──その30vs30の時は勝ったんですか?
祖根 勝てそうになってたんですけど、警察が来たので川の中を走って逃げました(笑)。
──全てが不良漫画の世界ですね! 祖根選手にとっては現実だったんでしょうけど。
祖根 でも、あの頃は楽しかったですよ。
──リングでも1vs3とかやれそうじゃないですか?
祖根 格闘家だったら無理に決まってるじゃないですか! でも僕は昔から格闘技的な感覚があったから、勝てた部分はあったと思いますけど。
──そのケンカの経験が、格闘技に生きたことはあるんですか?
祖根 当て勘というのは、その頃からあったんじゃないかと思いますね。ケンカで、一発で倒すことってまあないじゃないですか。
──そんな気はします。
祖根 僕はそれがやれてたなっていうのは、格闘技的な感覚が生きてたからだろうし、格闘技にもつながってたんだろうなって思います。昔は1vs1のケンカで、先輩が空き缶を投げて、それが地面に落ちたらスタートとか、そういうのをやってたんですよ。そこでも、右一発で倒したりはできてたんですよね。
──ホントに漫画みたいだ!(笑) カッコいい!
祖根 思うんですけど、人を殴る行為って、普通はできないことじゃないですか。
──少なくとも僕はやりません(笑)。
祖根 ジムでも一般クラスで、「じゃあマススパーをやりましょう」となった時に、他人のことをいきなり本気で殴れるヤツっていうのがいるんですよね。そういうヤツは「持ってんな」と思うんですよね。テクニックとかじゃなくて、本能みたいなものというか。
──祖根選手自身が、それを持っていたというわけですね。
祖根 そうなんですけど……この会話、恥ずかしいっすね(笑)。
──それで言うと、UNLIMITEDはケンカに近いものがあるのでは?
祖根 そうですね。近いものはあるとは思いますけど……言うても、文也との試合は格闘技ですからね。そこにMMAのテクニックがいかに入ってくるかとか、パンチのスキルとかローキックとかも見せたいですね。ケンカと思ってはいるんですけど、本当のケンカではないので、結局は技術ですから。
──すみません、生意気言いました! では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
祖根 全部見てほしいですね。「ここ」とかじゃなく、本当に全部を見てほしいです。
──分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
祖根 寿麻
所属:ZOOMER
生年月日:1988年2月11日生
出身:沖縄県
身長:167cm
キックボクシング戦績:2戦1勝1敗 MMA戦績:44戦23勝21敗
修斗第7代環太平洋バンタム級チャンピオン