2021/11/25
11.28 KNOCK OUT 2021 vol.6|小磯哲史 インタビュー公開!
「48歳最年長? 俺が一番若々しい試合をするから、見てろって!」
11・28『KNOCK OUT 2021 vol.6』の「KNOCK OUT-RED スーパーライト級/3分3R・延長1R」で、庄司啓馬と対戦する小磯哲史。キャリア20年以上、今回で通算50戦になる大ベテランが、『KNOCK OUT』初出場だ。年齢、キャリアでは圧倒的に差のある相手との試合だが、小磯は「俺の方が若々しい試合をする」という。その言葉を裏付ける自信とは一体!?
-- 小磯選手は過去に『REBELS』には出られていましたが、『KNOCK OUT』には初出場ですね。『KNOCK OUT』にはどんな印象を持たれていますか?
小磯 キックボクシングはいろんな団体があるけど、ヒジありでやっている中ではトップというイメージがあったし、いつか上がりたいなって思ってたよね。
-- 今回、庄司啓馬選手との一戦ですが、プロフィールを確認したら、24歳と48歳でちょうど年齢が倍なんですね。
小磯 いきなり歳の話かよ(笑)。たぶん、キックは彼が生まれる前からやってたんじゃないかな(笑)。でも逆に言うと、ここ最近そういう試合ばっかりだから、俺としては別に普通のことだよ。関係者からもよく言われてて、いつも言い返してるんだけど、歳とかキャリアなんてリングに上がったら全然関係ないって!それこそ最近は10代で、10戦もしないうちにチャンピオンになっちゃう子もいるし、俺はその正反対で、40代になってやっと勝てるようになったんだよね。その差っていうのは、若いからどうとか、歳だからどうじゃなく個人の問題なんで、あまり関係ないんだよ。まあ、見てる人には面白がってもらえればいいし、簡単に言えば40代でも別に20代に勝てるよってとこを見せてやるって話だよ。
-- 48歳というと、通常のスポーツ年齢から言っても高い方だと思います。その中でコンスタントに現役を続けられている理由というと?
小磯 そんなもん、ずっとコツコツ練習してきて、サボってないからだって!だけど逆に言うとこれも才能かもよ。10代で負け知らずで、若くしてチャンプになるのも天才だし、逆に40代になって強くなるっていうのも、それはそれで天才じゃねえのって。もし今回いい形で勝てば、それの証明になるし、逆の意味の天才ってことだよ。
-- それはそれで、人と違うということですよね。肉体的に、年齢から来る影響はないですか?
小磯 いや…ないと言えばウソになるよね。ただ、実は練習ではそんなに感じなかったりもするんだけど、単純に……老眼になってきて近くのものがちょっと見えにくいとか、立ち上がるときに「ヨイショ」って感じじゃないと億劫だなとか、そういうのはすごく感じるよ。でも、いざ動き出して、追い込みやって、試合になるとそういうのは吹っ飛んじゃうんだ。
-- だからこそ続けられているということですよね。で、今回の相手の庄司選手なんですが、情報とか対策の材料はどれぐらい入っていますか?
小磯 試合映像が1試合だけ上がってたから、それは見たよ。印象は……「特にない」っていうか、「普通の選手」かなって。相手のことを悪く言うつもりは全くないし、変に受け止めてほしくはないんだけど、特にこれといって怖いものはないなって。
-- 逆に、どう戦ってどう勝とうと?
小磯 普通なら「若い選手に対して、20年培ってきたテクニックでうまくいなして、若い子の勢いを殺して」みたいなことをイメージされるんだろうけど、俺はそんなことは言わない。逆に、彼より全然若々しくてアグレッシブなファイトをしたい……いや「したい」じゃないな、たぶんそうなるんだよ。俺はそういう試合しかできないし。なので、そこを見てもらえると、面白いんじゃないかなって。「どっちが20代?」みたいな感じになると思うよ、実際。
-- 最後はヒジで勝ちたいところですか?
小磯 その「ベテランはヒジ」って固定観念も覆したいって思いもあるよね。もちろん倒す技としてひとつの選択肢には入ってるけど、特にヒジにこだわりはないよ。パンチ、ヒジ、蹴り、何でもありがキックボクシングなわけでさ。とにかく判定までは行きたくないし、行かないだろうね。
-- これまでさまざまな大会に出られていますが、ここで『KNOCK OUT』に初出場して、ここからの展望というと?
小磯 もちろん出るからには、もしくは現役でいるからには、トップに行きたい、ど真ん中に行きたいって気持ちは持ってるよ。ここでいい試合、いい勝ち方をして、次につなげたい。今後も『KNOCK OUT』さんに使っていただけるような試合をしてみせますよ。
-- ここでいい形になれば来年につながると思うんですが、来年はご自身の「TESSAI GYM」が設立10周年という節目の年になりますね。
小磯 ……今それを言われて気づいたよ。さすがだね記者さん(笑)。自分ではそんなに意識してなかったけど、ここでひと旗挙げられたら、確かにすごくいいかなって思ったよ、まさに今(笑)。
-- 現役を20年以上続けて、なおかつ自分でジムを開いて10年というのは、かなり大きなことだと思います。単純に、ジムの仕事も増えるし、考えなきゃいけないことも増えて、負担が大きくなるのでは?
小磯 そのあたりだけど、俺としてはジムを開いてからの方がすごく練習環境もよくなって、実は楽になってるんだよ。昔、他の仕事をしながらキックをやっていた頃は、10年間、1回も勝てなかった時期があって。
-- 10年間!
小磯 28~29歳の頃から38~39ぐらいまで、10年間負け続けたよ。その時は別の仕事をしていて、帰ってきて練習に行って、練習時間もほとんど取れなくてって状況で、すごく苦しかった。それを思うと、今はジムが職場なわけだから、仕事を終えてからでも、その前でも、いつでも練習ができる環境にあるし、仲間もいるし。そういった意味では、この10年というのは俺にとっては大変というよりは、自分の練習もできるし、会員さんに教えることも含めてすごく充実した10年で、全然大変じゃなかったよ。
-- だからこそ、選手としても充実できたと。
小磯 そうだね。逆にジムを作ってなけりゃ、現役選手としても、もう終わってたかもなって。
-- 勝てなかった10年間というのは、何を思って続けてこられたんですか?
小磯 とにかく「1回でもいいから勝ちたい」という気持ち。その10年の前に1、2回勝った試合もあったんだけど、そこから勝てなくなり始めて、仕事で時間がない、でもとにかく「次こそは勝ちたい」「次こそ勝ちたい」と思い続けた10年だったな。だからその時は「チャンピオンになってやる」とかそういう気持ちは全くなかったよ。
-- どこかで気持ちが折れるということもなかったということですよね?
小磯 不思議と、それはなかったね。折れそうになって、「やめちまおうか」って迷いが出たときもあったけど、やっぱり勝ちたい気持ちの方が上回っていたってことだろうな。
-- それを経て今があるというのは強いですよね。さて今回の試合に話を戻しますが、今回のテーマは何でしょう?
小磯 初めての『KNOCK OUT』で、相手より若い試合をしたい……俺としては、デビュー戦のイメージかな。
-- デビュー戦?
小磯 『KNOCK OUT』でのデビュー戦だから、今回はデビュー戦のイメージで行く。ちょうど第1試合だし、まっさらな気持ちっていうのが本音だね。
-- なるほど。ところで全くの余談なんですが……昔は長髪でメタルバンドをやられていたという情報を小耳に挟んだんですが……。
小磯 おいおい、それどこで聞いたんだ、まいったな(笑)。高校時代とかの話だよ(笑)。メタルとかパンクとかが好きでさ、メタリカのコピーとかやっていたよ。今でも聞いたりしてるよ。
-- いえ、小磯選手は坊主頭のイメージが強くて、意外だったもので(笑)。
小磯 高校時代は髪を伸ばしててさ、パンクも好きだったし……。あと、パンテラっていうメタルバンドのフィリップ・アンセルモっていうボーカルが坊主にしてるのを見て「カッコいい! 俺も坊主にしよう!」みたいな…って、まさかこんな話させられるとは思ってなかったって(笑)。
-- そこからつながっているんですね。さて、今回特に初参戦ということもあって、当日の試合でここに一番注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
小磯 さっきも話したけど、大会の中で一番若々しい試合を俺がやってやるっていうか、絶対そうなるから。ちゃんとそこを見てろって。「見てください」じゃなくて、ちゃ~んと「見てろ」って書いとけよな。
プロフィール
小磯 哲史(こいそ・てつし)
所属:TESSAI GYM
生年月日:1973年8月8日
出身:神奈川県川崎市
身長:173cm
戦績:49戦16勝(6KO)28敗5分
タイトル:元J-NETWORKライト級王者/元蹴拳スーパーフェザー級王者