2022/09/09

9.23 KNOCK OUT 2022 vol.5|渡部太基 インタビュー公開!

 

 

 

「今回の原動力は良太郎へのムカつき。久々に牙が生え替わりました」

 

9・23『KNOCK OUT 2022 vol.5』の「初代KNOCK OUT-BLACKウェルター級王座決定戦/3分3R・延長1R」で良太郎と対戦する渡部太基。ちょうど2ヵ月前の前戦では、1Rにダウン寸前まで攻め込みながら、良太郎の首相撲の前に逆転判定負け。その試合内容と一夜明け会見での良太郎から感じた「ムカつき」の正体とは?

 

 

 

-- まず7月の良太郎戦を、改めて振り返ると? 前半はうまくいっていたように見えましたが。

 

渡部 まあ、そうですね。もう倒せると思っていたんですけど、2Rから組まれて。正直、KNOCK OUT-BLACKのルールであそこまで首相撲が長くできるということを知らなかったんですよね。それまでの2戦ではそんなに長くなる展開もなかったので、あまり意識もしてなくて。だから「こんなに首相撲があるんだ」というところで面食らった感じでしたね。

 

-- BLACKはヒジ禁止ですが、首相撲は攻撃が続いている限りは無制限ですからね。

 

渡部 まあでもそういうルールなので、負けは負けですけどね。そこは理解したので、次は大丈夫です。

 

-- 2Rからは確かに組み中心の展開になりました。そこからの打開は難しかったですか。

 

渡部 そうですね。殴るにもずっと組みつかれていたので。合間を縫って殴ってはいたんですけど、なかなか倒すまではいかなかったなと。

 

-- 首相撲で消耗させられた部分はあったんですか?

 

渡部 ありましたね。突き放すのにも疲れたし、ずっと組みなしでやっていたので、首相撲が久しぶりすぎて。

 

-- やりながら、かなりフラストレーションが溜まる試合だったのでは?

 

渡部 いや、ホントそうですね。「離れろよ!」と思ってましたけど、相手はそれしかないので、それでくるだろうというのしかなかったし。試合前は向こうも「バチバチで」って言ってたのに結局これかよ、っていうのも思いましたけど、まあ、正直者が馬鹿を見ることになったのかなという感じですね。

 

-- その結果をどう受け止めたんでしょうか。

 

渡部 落ち込んだというか……正直、試合した感じが全然なかったんです。やられた気もしないし、もちろん勝ったとも思ってないですけど。つまんない試合をしちゃってファンにも申し訳ないし、もうこのルールでは戦っていけないなということも、頭をよぎったりはしました。

 

-- 試合直後はそういう気持ちだったということですね。その後、8月2日に渡部選手の「良太郎選手をぶっ飛ばしたくて仕方ないのですが、どうしたらいいですか?」というツイートから、事態が急展開しました。

 

渡部 相手の一夜明け会見を見て、気持ちが爆発したんですよね。

 

-- あ、見たんですね。

 

渡部 周りから「会見見た?」って言われたんですよ。俺自身はムカつくから見てなかったんですけど、「すげえ上からもの言ってたよ。『階級もルールも越えて勝った』ってすげえ勝ち誇ってたし、再戦してやってもいいぐらいのことを上から言ってたよ」って言われたんで、見たんですよね。「あの試合で、そんなに勝ち誇ってんだ。喧嘩もできねえくせに」と思って、それでムカつきが増して。俺は試合後、負けを認めずに噛みついたりとかはしないんですよ。試合は終わったんだから、「ありがとうございました」ぐらいでいいじゃないですか。俺も「ルールで負けたんだからしょうがねえな」と納得してたのに、「もう一回やってやってもいい」とか言ってるからさすがにムカついてきて。再戦とかいうより、とりあえずぶっ飛ばしたくてどうしよう、みたいな。

 

-- それでツイートしたら、良太郎選手本人から反応があったと。

 

渡部 「その喧嘩買います」って来たんですよね。「喧嘩できねえくせによう言うわ」とは思いましたけど。

 

-- そしたら、再戦が決定しただけじゃなくてタイトルも懸かったわけですよね。その流れについては?

 

渡部 まあ正直、7月の試合をクリアして9月にタイトルマッチということだったら、すごく理想的ではあったんですけど、負けて……まさかの展開ではありましたよね。ただ、再戦するならそういうことになってもいいのかなと。ただワンマッチでやっても、周りが見てあまり面白くないのかなというのもあったので。

 

 

 

 

-- ただ、あの試合から2ヵ月しか経っていません。同じ展開になるということはないんでしょうか?

 

渡部 ハハハ。大丈夫ですよ、もう。同じことにはならないですから。

 

-- 大きく分けて「首相撲対策をする」と「首相撲の展開にさせない」という2つが考えられると思うんですが、そこは?

 

渡部 まあそこは、試合を見てのお楽しみということで。

 

-- 分かりました。今回の試合の原動力は「ムカつき」ですか?

 

渡部 ムカつきでしかないですね。初めての感覚なんですよ。俺が喧嘩売ったみたいになってますけど、きっかけを作ったのは向こうなんで。

 

-- ということは、モチベーションの一番は「タイトル」ではない?

 

渡部 もちろんベルトはほしいですけど、まず「やり返したい」という思いが一番強くて、そこにベルトがついてくるなら最高ですよね。

 

-- もともと『KNOCK OUT』参戦にあたってはベルトが一番のモチベーションでしたよね。そこに割って入られた感じですか?

 

渡部 まあ、そうですね。向こうからしたらメチャメチャ棚ボタだし、俺がひとつひとつ積み上げてきたものを奪い去るみたいな感じになってますけど、俺からしたら「そうはさせねえよ」って感じですよね。

 

-- ムカついて試合するのは初めてかもしれませんが、これほど相手に対して熱くなるのは久しぶりなのでは?

 

渡部 そうかもしれません。俺もいい年なんで、ちゃんと対戦相手には敬意を持ってやってきてましたけど、今回は年齢も近いというのもあるし、そういうバチバチ感は自分の中でありますね。

 

-- そういう気持ちだったり、先ほどの展開のことを含めて考えると、今回は「自分の試合にしたい」という思いが強そうですね。

 

渡部 もちろんそうですけど、前回ルールに負けたんで言い訳になっちゃうんですけど、あとは結局、お客さんに見せるプロの格闘家として、本当にヒザをぶち込まれてアバラとか折られて動けなくされたら「完敗です」ってなりますよね。でも、首を掴んでただ足を上げてただけの場面も何回かあったじゃないですか。それとか、ちょっとどうなの?というか。お客さんから見てもそうじゃないですか。「足上げてただけじゃん。それで勝ったんだ」みたいな。そういうことするヤツだったんだ、って感じですよね、こっちからすると。もうちょっと男気あるヤツだと思ってたんで。

 

-- そうすると、相手が打ち合ってくれるとは思ってないという前提ですね。

 

渡部 組みでしかこないでしょう。それは分かってますから。その上でどうするかって話です。

 

-- 久々に、「本当に怖い渡部太基」が見られそうですね。最近はやっぱり、試合に向かう気持ちも以前と比べると丸くなっていた部分もあったのでは?

 

渡部 それはありましたね。でも今回は、久しぶりに牙が生え替わったというか。「ナメてんな、コイツ」って本当に思ってるんで。向こうは開き直って組みに徹してくるでしょうけど、そうなっちゃったらお客さんに申し訳ないんでね。マジつまんないでしょうから。

 

-- そして、発表された通り10月1日から地上波でのレギュラー番組も始まります。放送開始直前の大会なので、いい材料になりそうですが。

 

渡部 本当に、いいタイミングで試合できるんだなって思いますね。でも、盛り上げるだけ盛り上げて負けてたら意味ないんで、ここはキッチリ結果を出して地上波に、という気持ちです。

 

-- 勝てばいよいよチャンピオンですし。ただ、今回重要なのは「牙」ですね。

 

渡部 はい。まあ、熱くなりすぎないように気をつけますよ(笑)。ブチ切れると、自分でも自分を止められないんで、そうならないように気をつけたいと思います。

 

-- では最後ですが、改めて、今回の試合で一番注目してほしい点は?

 

渡部 殺気ですかね。前回の試合を含めて、フラストレーションが溜まってますから。スカッとするものをファンのみんなに見せたいなと思います。前回は応援団も葬式みたいになってましたからね。「何なの、あの試合!」って。俺自身がスカッとする勝ち方をして、みんなにもスカッとしてもらいたいと思います。

 

-- 分かりました。ありがとうございました!

 

 

 

プロフィール

渡部 太基(わたべ・だいき)
所属:TEAM TEPPEN
生年月日:1987年12月12日
出身:東京都葛飾区
身長:174cm
戦績:53戦24勝(13KO)27敗2分
獲得タイトル:元Krushウェルター級王者、元WPMF日本ウェルター級王者