2023/04/17

4.22 MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.1|ぱんちゃん璃奈 インタビュー公開!

 

 

 

「『頭がおかしいかもしれないけど、強い』ということを打ち出していきます」

 

 

4・22『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.1』の「KNOCK OUT-BLACK女子 -49.5kg契約/3分3R・延長1R」でワン・チンロンと対戦するぱんちゃん璃奈。ぱんちゃんは昨年春のヒザの負傷と手術、年末の逮捕(その後、不起訴処分に)を経て、3・5代々木第二でのエキシビションで復帰。今回の試合が正式な復帰戦となる。そのような状況の中で、彼女はこのリングで何を見せようとしているのか。そしてその先については何を考えているのか。完全復活を前にした、彼女の本音とは?

 

 

 

 

 

──3月5日の代々木第二体育館大会では、エキシビションで約1年ぶりにリングに立ちました。あのエキシビションをやって得られたものはどういうものでしたか?

 

ぱんちゃん 12月5日に私がやってしまったことが報道されて、それ以後はファンの皆さんの前に立つということがなかったので、あのエキシビションは本当に重要な機会だったなと思ってます。花道に出てきた瞬間に頭を下げることと、もう一度リングに復帰しますという意味でリングに立って、いろんな気持ちがありました。

 

──謝罪会見からエキシビションにかけて、批判的な反応もたくさんありましたよね。それが予想された中で人前に立つことに、怖さはなかったですか?

 

ぱんちゃん 去年までは、人前に出ちゃダメだと思ってましたし、自分のメンタル的にも人前に出るのは無理だとも思ってました。その頃は出るつもりもなくて、「このまま消えるのが一番だな」と考えていました。その中で、それまで携わってくださった20社近いスポンサーの方々とか、トレーナーさんとか友達とかから毎日のように連絡が来て、いろんな方と毎日お話ししてたんですよ。こんな状況の中でも皆さん「助けるよ」とか「力を貸すよ」と言ってくださって、皆さんの優しさに号泣しながら。その言葉を聞いていると、そう言ってくれる人たちがいるのに逃げ出すのはもっと最低だなと思うようになったんです。罪を犯して自分だけ逃げるというわけにはいかないと。それで、まずはこの周りの方々のためだけでも、もう一度リングに立ちたいと思うようになりました。助けてくださった数十人の方々のためだけでも、リングに上がりたい。そう思って練習を再開して、SNSで発信するようになると、ファンの方でも応援してくださる方が本当にたくさんいるなと気づいて、今度はファンの方のためにも……と、どんどんその対象が増えていった感じでした。

 

──そうなんですね。

 

ぱんちゃん それに、やっぱり練習が本当に楽しくて、新しいジムに行って新しいトレーナーさんに出会って、戦う姿を見せたいと思う人がどんどん増えていってる感じですね。だから「怖い」というよりも、こんなに応援してくれる人たちがいるんだと考えて、その人たちに見せたいという気持ちの方が勝ちました。

 

──代々木第二大会の当日は、激しいブーイングが起きたりするということも想定されたと思うんですが、実際にはそういうこともなかったし、温かい拍手も起きました。

 

ぱんちゃん そうですね。ブーイングとか野次はあるだろうなと思って覚悟していたんですが、本当にそういうことはなくて、大会後の会場周辺でもたくさんの人が「写真撮ってください」とか「応援してます」って声をかけてくださったんですよ。ネットでは厳しい声が多かったですけど、実際に会ったら応援してくださる人たちもたくさんいるんだなと思いました。

 

 

──エキシビションでは、久しぶりにリングで動いたわけですが、その点についてはどうでしたか?

 

ぱんちゃん 全てに力んじゃいましたね。練習でやっていたことが何も出せませんでした。やっぱり、リングに上がってみないと分からないことってあるんですよね。どんなに練習していても、力みが出ると何もできないんだと分かったので、あの後からは力を抜いて打つ練習をひたすら徹底しています。次の試合は、力を抜いてもっといいパフォーマンスが出せるんじゃないかと思ってます。

 

──当初、復帰戦は5月か6月あたりと言われていました。それが4月になったのは、エキシビションでいろいろなことが分かったから、という感じですか?

 

ぱんちゃん 自分はもっと経験を積まなきゃいけないと感じて「早くリングに上がりたい」と思ったのがまず一つです。それと、足はまだ100%じゃないんですけど、他の部分が伸びているので大丈夫だなと思えたことも一つ。あとは、エキシビションと公式戦は全然違うので、早くファイターとして正式に復活したいと思ったんですね。そこも大きな理由です。

 

──その復帰戦の相手が、台湾のワン・チンロン選手に決まりました。改めて、相手の印象は?

 

ぱんちゃん 正直、印象はそんなにないです。宮田プロデューサーに「相手は誰でもいいです」と伝えて探してもらったんですが、正直、そんなに強いとも思っていません。ただ、身長も高くてリーチも長くて、やりにくい相手ではあるのかなとは思いました。

 

──そういう相手に対して、どういう試合、どういう勝ち方をしようと思っていますか?

 

ぱんちゃん 今回は、とにかく蹴りを使いたいです。1年間蹴ることができなかったんですけど、やっぱり私はキックボクサーなので、蹴りを出して効かせるところを見せたいです。

 

──先ほど、「足はまだ100%じゃない」という言葉がありました。それでも問題はない?

 

ぱんちゃん 100%じゃないというのは、蹴り自体はしっかりできているんですけど、少しつっぱりが残っているということなんです。蹴れないというわけじゃなくて、ちょっと違和感が残っているというか。ただ、1年ぶりなのでどこまで戻っているかというのは、やってみないと何とも言えないんですけど。強く蹴るのは問題ないんですけど、たまに蹴ってる時に自分のヒザじゃないような感覚があって、そこが100%じゃないというのは事実です。

 

──それは時間によって解消されるのを待つしかないということですか。

 

ぱんちゃん まだ手術から1年経っていないので、もうちょっとしたらどんどんよくなっていくと思います。だから時間が解決してくれるだろうし、いっぱい動けば動くほどよくなっていくだろうとも思っています。動くことが一番のリハビリなのかなと。

 

──今の練習環境はどんな感じなんですか? SNSを拝見するとウィラサクレック・フェアテックスジム、team AKATSUKIなどで練習されているようですが。

 

ぱんちゃん ウィラサクレックジムがメインで、週4回ぐらい行ってます。team AKATSUKIには週1回、スパーリングをやらせてもらいに行ってます。あとは渡辺華奈さんのFIGHTER’S FLOWにも行かせていただいていて、定期的に行っているのはこの3ヵ所です。あとはフリーなので、スパーリングをしたい時に行かせていただけるジムが何ヵ所かあります。それと別に、週1回はフィジカルの秘密トレーニングに通ってるんですが、その効果はかなり実感できているので、それも試合で出せるのが楽しみです。

 

──ボクシングについては?

 

ぱんちゃん ボクシングは今は行っていません。時間がないのと、体力がもうちょっと回復したら大丈夫かなと思うんですが。

 

──先日は石井和義館長にも教わったそうですね。

 

ぱんちゃん たくさん教えていただきました。宮田さんの紹介で大阪に行って、館長と湊谷トレーナーのお2人に見ていただきました。贅沢なんですけど(笑)。

 

──それは確かに豪華ですね。

 

ぱんちゃん ありがたかったですね。館長は「必ず強くなって、証明していけばいいんだよ」と言ってくださって。

 

──館長もご自身のSNSで、「フォームや力みを修正した」と書かれていましたね。

 

ぱんちゃん 一番はやっぱり力みですね。力みを抜いて、力を入れずにスピードだけで打つという方法を教えていただきました。力が入っている選手は多いんですけど、そうすると疲れやすいし、痛いけど倒せないというパンチになってしまうんですよね。力を抜いた方が効くというのは、その時に初めて知りました。東京に戻ってきてからの練習では、力むことがあってもそれを抜く方法を教えていただいたので、その練習を今やっています。

 

──今回の試合に向けての課題はそこが一番?

 

ぱんちゃん それと、体力作りです。全く蹴りをしていなかったので、いきなりやると疲れるんですよ。そこも大きな課題です。

 

──最終的には倒したい?

 

ぱんちゃん その気持ちはもちろんあるんですが、今回は「倒す」ということを考えずにリングに上がります。意識するのはスピードですね。これまでも「倒すことは意識しません」って言ってた時の方がKOできたりしたんですよ。力を抜いて、効かせるパンチを当てたいです。最後は「気づいたら倒れていた」というのが一番理想なのかなと思います。

 

──先日、試合順も発表されましたが、メインイベントですよね。そのプレッシャーは?

 

ぱんちゃん それは全くないですね。先日のエキシビションですら、しっかりした気持ちで出ることができたので、今回もメインだとか復帰戦だとか、連勝だとかのプレッシャーは一切なくて、ただ強い姿を見せないといけないなと思っているだけですね。

 

──今回の大会は、『KNOCK OUT』としては2023年の開幕戦という位置づけです。イベント全体としては、代々木大会で掴んだ手応えをさらに大きくして躍進していこうという意識が強まっている状況ですが、その中でご自身はどういう意識ですか?

 

ぱんちゃん 自分の今の役割は、『KNOCK OUT』を知ってもらうということが一番だと思っています。最初は、事件を起こした私が出ると、『KNOCK OUT』のイメージが下がってしまうと考えていました。でも宮田さんも「そこは気にしなくていい。むしろ知ってもらえないことの方が興行的にはマイナスだから」と言ってくださって。今も日々炎上しているんですけど、むしろそれを通じて『KNOCK OUT』の存在を知ってもらえたらいいのかなと思っています。

 

──なるほど。

 

ぱんちゃん 私もファンの皆さんを裏切ってしまったのは事実ですし、私が何をしても面白くないという人はいても当然だと思います。「死ね」とかひどい誹謗中傷をするのは別だと思いますが、みんながいろいろ言う自由がある分、逆に私も自由に発言するし、自由に行動しようと思っています。

 

──そう考えて折り合いをつけたという感じですか?

 

ぱんちゃん 常に「炎上するかも」と怯えていたら、偽りの自分を出していくことになると思うんですよ。根が生真面目なわけじゃないのに、生真面目を演じないといけないというか。だから、「頭がおかしいかもしれないけど、強いです」ということを打ち出していければいいかなと思ってます。

 

──そこにたどり着いたわけですか。

 

ぱんちゃん 人前に出るイコール「反省してない」「頭がおかしい」と思われるし、それはたぶん一生言われると思うんですよね。そういう記事も出ると思うんですけど、そうすると私を応援してくれているファンの方々は、悲しい記事ばかり見ることになってしまうじゃないですか。だから自分は、SNSでは笑顔の明るい写真と言葉だけを発信していくことに決めたんですね。もちろん謝罪会見の時は心から謝罪させていただきましたけど、その後、復帰すると決めてからは自分の楽しい姿だけを載せていこうと決めたんです。そうしたらまた炎上するだろうなというのは分かってるんですけど、自分と周りのためにも、そこは、「言われてもいいのでやっていくしかない」というスタイルでやるようになりました。

 

──分かりました。まずは復帰戦での戦いに期待しています!

 

 

 

プロフィール

ぱんちゃん璃奈
所属:フリー
生年月日:1994年3月17日
出身:大阪府豊中市出身
身長:165cm
戦績:13戦13勝(2KO)無敗
獲得タイトル:元KNOCK OUT-BLACK女子ミニマム級王者、元KNOCK OUT-BLACK女子アトム級王者