2023/08/03
8.6 MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.3|壱・センチャイジム インタビュー公開!
「経験の差は前回より開いている。そこを見せつけて後半勝負!」
8・6『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.3』の「KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級タイトルマッチ/3分5R・延長1R」で古村光と対戦する壱・センチャイジム。3月の代々木第二大会ではノンタイトル戦で響波にTKO負けを喫し、出直しの一戦で勢いのある古村を挑戦者に迎えて初防衛戦を行う王者・壱は、この試合にどんな思いを抱いているのか?
── 今回、挑戦者決定戦が中止になって、初防衛戦の相手が古村光選手に決まりました。そうなった時はどう思ったんですか?
壱 僕自身は、響波君には負けていて古村君には1回勝っているから、やっぱり響波君とやりたかったんですよ。挑戦者決定戦で響波君に勝ち上がってきてもらって、防衛戦でリベンジするというのが一番キレイな形かなと思ったんですけど、どっちが勝ってくるかっていう予想は、正直あまりしてなくて。どっちが上がってきても準備はしていたので、「あ、古村君の方だったか」という感じですね。
── 古村選手とは前回の対戦が2年前になりますよね。
壱 対戦した後、古村君とはけっこう仲良くさせてもらってて、計量後のリカバリーでうなぎを食べるのも同じ店だったりするんですよ。SNSもフォローし合って、ちょいちょい連絡も取り合ってたんですけど、今回、試合が決まってからはそういうのもいらないんで、SNSもブロックしました。だから最近はどういう練習をしているのかとか、彼の状況は全く分からないですね。1回勝った時に、もう1回やるとは思ってなかったから仲良くしたんですけど、またやることになったので。
── そうなんですね。
壱 前回やった時も「いい選手がいるな」と思ってて、だからいい芽は早めに潰そうと思って早い段階で対戦したんですね。またやるとは思ってなかったんですけどねえ。仲良くなったら向こうも「壱さん、壱さん」って慕ってくれてて。まあでも、やるとなったらかわいい後輩でも関係ないんで。今は敵ですね。
── 今の彼の実力や試合ぶりについてはどう見てますか?
壱 彼もムエタイ・ベースなんですけど、リズムはパンチ主体なんですよね。僕自身、パンチ主体の選手は大野(貴志)さんだったり海老原(竜二)さんだったり、けっこう得意にしてて勝率も高いんですよね。それと、サウスポーとの対戦経験が6回あって、4勝4KO2敗なんです。さらにその2敗って、どっちも瑛ちゃん(小笠原瑛作)なんです。
── なるほど。
壱 今まで33戦して、サウスポーと6回やって、瑛ちゃん以外にはみんなKO勝ちしてるんですね。何でかというと、サウスポーvsオーソドックスだと、お互いに奥足の蹴り合いでリズムを掴む展開になるんですね。だからどうしても距離が遠くなってしまうんですけど、サウスポー同士だったら奥足の展開よりもパンチベースになるんです。僕は主に蹴り足でリズムを作るからそんなに目立ってないんですけど、自分でも右手の使い方がうまいと思ってて。パンチは強くはないんですけど、右手が使えるとリズムが取りやすいんですね。だからサウスポー相手に勝てる理由なんです。瑛ちゃんはステップが速いので使えなかったんですけど。
── そういうことなんですね。
壱 そこで、古村君もムエタイ・ベースなので、うまく噛み合うんじゃないかなと思って。古村君もパンチを得意としてるので、そういう面ではメチャクチャ噛み合うと思いますね。で、僕になくて古村君にあるのがパワーなんですよ。逆に古村君になくて僕にあるのが、経験と後半戦のスタミナなんです。だから早いラウンドを乗り越えれば、僕のペースになるかなと思ってます。負けることがあるとしたら、早いラウンドかなと。……あ、俺、森岡悠樹戦の前も同じこと言ってたな。「3R以降は僕のゲームになる」みたいな。
── ああ、確かに(笑)。
壱 でも実際に、森岡戦は4・5Rを取って勝ったので大丈夫です。僕は後半に強いので。
── では、序盤さえしのげば、攻略できる自信は十分にあると。
壱 はい。テクニックという面ではそんなに恐れる必要はないと思ってるんですけど、古村君の恐れるべきところって、パワーと勢いなんですよ。僕も14連勝していた21歳の頃は、すごくイケイケでしたからね。同じものを古村君に感じます。何も怖いものがない、みたいな。でもその後、敗北で味わった経験は、絶対に僕の方が持っているので、そこで勝負したいなと思います。勢いだけじゃ勝てないぞと。
── 昨年までは、ずっと瑛ちゃんを追ってましたよね。それが追う立場になったというのは、心境や試合への影響はないんですか?
壱 試合に影響するかどうかはまだ分かんないんですけど、練習に臨む心境はすごく変わりました。変な話、追う立場だとリスクは少ないんですよ。練習も気ままにできるし、試合もけっこう気楽にやれてました。でもチャンピオンになってからは、考えることがすごく多くなったんですよ。
── ほう。
壱 プレッシャーもすごく感じるようになりました。責任感とか、試合へのプレッシャーとか、これはチャンピオンになってからですね。僕が、のびのびやってる方が強いのか、責任感とプレッシャーがある方が覚醒するのかは、試合をやってみないと分からないんですけど。ただ、僕の良さだったかもしれない脳天気さは、少しなくなったと思います。それがどっちに出るかは今回の試合で分かると思います。
── 今回の試合は3大タイトルマッチの一つで、試合順も発表されましたが、それを見てどう思いましたか?
壱 正直な話、心直がツイッターで「俺がメインだ」って言ってたけど、「お前じゃなくて俺でしょ」ってずっと思ってたんですよ。でも決まってみたら心直君がメインだったので、これはもう、彼に任せようと。順当に行ったら僕と古村君の試合がメインのはずなんですけど、ここで心直君と乙津君がいろんなアピールでメインを奪い取ったということは、それなりのことをしてくれるんだろうな、後はもう任せたよ、という感じです。
── 逆に内容で食ってやろうと?
壱 もしオッズがあったら、一番拮抗してるのは僕らの試合だと思うんですよ。前戦でKO負けしているチャンピオンと、勢いに乗っているチャレンジャーの試合ですからね。その面では一番楽しんでもらえるんじゃないかなと思ってます。できれば大トリがよかったですけど、そこはアピールの差だと思うんで。会見でも、心直君と乙津君はマジでケンカしてましたからね(笑)。『KNOCK OUT』始まって以来で、僕は新鮮で楽しかったんですけど、横にいた重森陽太さんが小さい声で「壱君止めて! 壱君止めて!」ってずっと言ってて楽しかったです(笑)。僕的には、ああいう煽りもアリかなと思いますね。僕からはやらないですけど。一番カチンときたのは、大野さんに「イケメンと思わない」って言われた時でしたけどね。
── そこですか(笑)。
壱 すげえイラッときて、年上の大野さんにちょっと汚い言葉も使っちゃったんですけど、まあ僕からやるのはセンチャイ会長的にもNGですからね。やられたらやり返すと思いますけど。
── 今回、前半3試合がK-1 GROUPとの対抗戦で、重森選手のセミを挟んで、後半3試合がトリプルメインのタイトルマッチ。どれも注目度が高い試合ですが……。
壱 僕は、対抗戦に関してはどの選手もあまり分かんないので、そんなに興味がないんですけど、自分と戦った森岡君だけは自信を持って応援できるし、任せられるなと思ってます。僕との試合の後は2試合連続KOで、他団体のタイトルも獲ってますしね。だから対抗戦に関しては、唯一知っている森岡君に期待してます。
── この7試合の中で、注目度、内容ともに負けられないという意識はありますか?
壱 注目度は問題ないと思いますからね。ただ会見では心直君と乙津君にやられちゃったなあ。あと個人的に注目してるのは、重森さんとバットマンの試合ですね。バットマンは昔から知ってるので、楽しみです。
── 壱選手自身としては、今回の試合の一番のテーマは何ですか?
壱 古村君との2年前の対戦の時、彼は4戦目とかだったんですよ。僕は18戦目ぐらいで。その後、僕は15戦ぐらいしてて、古村君は10戦前後。試合って、本当に一つ一つがデカい経験になるし、前回の僕の勝因は経験の差だったんですね。今はそれがもっと開いてると思うので、今回はラウンドを重ねるごとに僕がペースを掴んでいって、隙があれば倒します。そこを楽しみにしていただければと思いますね。ムエタイらしい、REDルールらしい戦いになると思います。
── むしろ、そうしたいという感じ?
壱 そうですね。ちゃんとムエタイ・ベースの日本人選手って少ないんですけど、古村君とだったらそういう戦いができると思うので。
── 毎回、最後は「当日、どこに注目してほしいですか」という質問をするんですが、今のがまさにその答えでしたね。
壱 はい、注目ポイントを聞かれて「顔」って答える時代はもう終わったので。
── 終わりましたか(笑)。
壱 あれは、「イケメン」ということを知らしめるために言ってたんですよ。でももう周りもすごく言ってくれるし、定着したなと思うので、“自称イケメン”という仕事は達成したんですよ。チャンピオンにもなったし、もう若くもないので、次は違う路線で行こうかなと思ってて。まあでも、結局一番見てほしいのは……顔ですかね(笑)。
── 変わってないじゃないですか(笑)。
壱 まあそれじゃ一緒なので……じゃあ、「敗北で培った経験とテクニック」でどうですかね。前戦の負けがあったからこそ、これだけ練習にも集中できてると思うので。
── 今回は違うぞと。
壱 僕は龍聖や瑛ちゃんのような圧倒的なチャンピオンではないってことが、前戦の負けでよく分かったんですよね。そして今のスーパーバンタム級は、紙一重のところでみんな実力が拮抗してるので、その中で勝ち続けるためには、自分がレベルを上げて一戦一戦を大事にするしかなくて、僕が一番優っている戦績の部分を見せつけたいなと思ってます。
── 分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
壱・センチャイジム
所属:センチャイムエタイジム
生年月日:1997年8月15日
出身:沖縄県那覇市
身長:172cm
戦績:31戦22勝(8KO)8敗1分
獲得タイトル:KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者