2021/09/11

9.25 KNOCK OUT 2021 vol.4|心直 インタビュー公開!

 

 

 

「下馬評は絶対ひっくり返す! 自信しかない!……わけでもない」

 

 

9・25『KNOCK OUT 2021 vol.4』の「初代KNOCK OUT-BLACK スーパーフライ級王座決定トーナメント準決勝/3分3R・延長1R」で、濱田巧と対戦する心直。発表会見の席では「強い選手ばかりで自信がない」と言いつつも、「自分が一番弱くね?とも思いますが、全試合KOで優勝したい」と、一見矛盾?する発言をしていたが、実際のところはどうなのか? 本音を聞こうと思ったら、本音も独特の表現も引っくるめて「心直ワールド」が展開されまくったのであった……。

 

 

 

※このインタビューは通常の2倍ほどの長さがあります。要点をまとめると、以下の通り。

①強さでは自信はないが、メンバーを聞いて今までで一番ワクワクした。

②スタミナには不安しかない……が、当日までには特訓しているかもしれないよ?

③一番注目してほしいのは髪型! その理由はインタビューの最後の部分に!

 

 

 

-- 今回トーナメントにエントリーされましたが、カード発表会見の際の発言が……

 

心直 あれですよね。「何言ってるかわからない問題」ですよね。「倒す」って言ってみたり、「自信がない」って言ってみたり、コイツの情緒は大丈夫なのかと。

 

-- そうはっきりは言いませんが(笑)。実際、トーナメントにはどういう気持ちで臨んでいますか?

 

心直 話が来た段階で、厳しい勝負になるだろうっていうのは感じましたけど。でもその時に、今までいろんな14戦してきて、いろんなオファーを受けてきましたけど、今までで一番心がワクワクしたというか、初めて自分から「あ、挑戦しよう」って思った試合でしたね。挑戦者の気持ちになれたというか。

 

-- それは、単にベルトかかってるからとかっていうことじゃなくて、ですよね。

 

心直 もちろんです。メンバーを聞いて、花岡選手は平成最後の怪物って言われてますし、濱田選手は『KNOCK OUT』でけっこう活躍してて、老沼選手のタイトルに挑戦してますし。結果、3回負けてますけど、それでもやっぱりキャリア的にはすごい素晴らしい選手ですし。広島から来てくれる空龍選手もやっぱりプロで無敗なんで花岡選手に一矢報いてくれるんじゃないか、と。まあ僕としては、誰が来ても強い、誰が来ても不利だなっていうのは感じてます。

 

-- その中で、会見でも希望していた通り、濱田選手との1回戦になりました。

 

心直 去年の4月、コロナウイルスが拡大する前に決まってたカードでもありましたし、team AKATSUKIにはよく出稽古に行かせてもらうんで。僕は、J-NETWORKの新人王トーナメント決勝戦でteam AKATSUKIの選手に勝ってるんですよ。純希也選手から2ダウン取って判定勝ちしていて(2018年5月)。で、今回『KNOCK OUT』のトーナメントで、決勝戦は絶対花岡選手とやりたいと思ったんです。なので、タイミング的に濱田選手とやれるのは1回戦しかないと思って、アピールしました。濱田選手も僕とやりたいって言ってくれて今回このカードが決まったので、思惑通りじゃないですけど、しっかりあの時の決着をつけられるなっていう感じですかね。

 

-- ただその試合については、「反則しない程度のギリギリの技で勝つ」という言葉がありました。あれは「何が何でも勝つ」という気持ちの表れですか?

 

心直 それもありますし、今までの僕の試合を見てると分かる通り、勝っても負けても30対29勝っても負けても29対28という内容が多かったんですよね。例えば判定僅差だったり、1、2Rは流しじゃないですけど、五分ぐらいにしといて、3Rにポイント取って逃げる、みたいな。でも今回はそういうとこなしにして、がむしゃらに取りにいこうっていうこともちょっとアピールしたかったんです。

 

-- なるほど。それが「反則しない程度のギリギリの技」?

 

心直 はい。近い距離で頭をぶつけ合ってでも、殴り合って殴り勝ちたいとか。例えば仮にちょっとヒジがぶつかってしまっても、ちょっと効いてクリンチしてしまっても、そんなぐちゃぐちゃな内容でもいいから勝ちたいっていうことです。

 

-- 頭もヒジも、ぶつからないに越したことはないんですけどね(笑)。

 

心直 でも、当たってしまう場合もあるじゃないすか。この前の他団体のトーナメントを見てもらえばわかる通り、(割愛)会見でもリスペクトを込めてその名前を出したんです。何が何でも取るぞっていう気持ちの表れです。

 

-- では、心構えからして、今までとの試合とは違うぞと。そして決勝戦は花岡選手とやりたい。

 

心直 そうですね、上がってきてもらえるなら。勝負の世界なので100%はないですけど、下馬評で言ったら花岡選手は絶対勝つと思ってますし、何なら僕が第三者の視点で見たら、決勝戦も「心直と花岡がやったら、心直が負けて花岡がタイトル獲るだろう」って思いますよね。

 

-- 下馬評としてはそうかもしれません。

 

心直 僕は『KNOCK OUT』にこうやって呼ばれてますけど、はい。端から見てヒールだなと。

ヒールで噛ませ犬にされてますけど、それでも勝つ場合ありますから。この前の他団体のトーナメントで、(割愛)ということがあったじゃないですか。

 

-- 1回戦で番狂わせが起きて、決勝戦が期待されたカードにならなかったということですね。

 

心直 はい、そういうことだってあるわけですから。だからやっぱり僕はヒールだなっていう。

 

-- ただこれまでは、ホームリング、主戦場というのがハッキリとはない感じでしたよね。

 

心直 そうですね。僕の場合はいろんな団体に出てますから。『REBELS』、『KNOCK OUT』シュートボクシング、新日本キックに出てみたりとかしてますね。

 

-- だから、ヒールとまでは言わないまでも、アウェー的なシチュエーションはかなり慣れっこなのでは?

 

心直 というか、僕は今まで、全部青コーナーですからね。僕は勉強の方がからきしダメで、高校卒業するまで試合を受けれなかったんですよ。それで卒業して初めての試合が、判定勝ちした昨年9月の泰史戦(新日本キック後楽園大会)で。あの時も完全に不利だったし、下馬評も完全に相手で。でもそこを見事にひっくり返して勝って、僕の株は急上昇、一時期「スーパーフライ級台風の目!」みたいな感じだったじゃないですか。でも老沼選手といざぶつかってみたら、老沼選手が一枚上手だったと。

 

-- 延長判定で老沼選手の勝利でした。

 

心直 延長で負けましたけど、そこまでハッキリとした差はなかったと思うんですよね。でもまあ、マストジャッジだったら老沼選手の勝ちでしょうけど、老沼選手も納得できない内容だったなっていう。で、2月にシュートボクシングに参戦して。僕あの試合はかなり美味しかったんですよ。

 

-- というと?

 

心直 あの日、『REBELS』から3人出たじゃないですか。僕と、スアレック選手と栗秋選手。スアレック選手はチャンピオンだし、勝ちは固いだろうっていう感じで。栗秋選手も、一撃当てれば勝ちだろうと。一方、心直はどうだってなった時に、勝てないだろうと思った人が絶対多いと思うんですよね。『REBELS』チームは1勝2敗だろうと。俺はそう思われたと思うんですよ。現に僕自身もそう思ってましたし。

 

-- 自分でも(笑)。

 

心直 でも、そこを僕は見事にひっくり返したじゃないですか。結果、終わってみれば1勝2敗。しかもスアレック選手はKO負け。僕はダウン取っての判定勝ち。ここで、『KNOCK OUT』は僕を使う路線に切り替えたんじゃないかなと、勝手に感じてます。

 

-- あれが流れを変えた一戦だと。

 

心直 変えましたよね。前の試合で拳を骨折したんですけど、それも完治してこれが復帰戦で、トーナメントで暴れて、これももう運命なのかなと思いますよね。

 

-- ケガはもう大丈夫なんですね。

 

心直 打ち始めたのは3ヶ月前ぐらいで、強打を打っていいよという許可が出たのは先月ぐらいです。強打の練習をし始めて1週間が経った頃にオファーが来たので。

 

-- いいタイミングで全てがまた動き出したと。で、今回ワンデー・トーナメントですが、会見ではスタミナへの不安に触れていましたが……。

 

心直 いや、不安しかないっすね。まあ人間それぞれ弱点っていうものがありますから、弁慶にもスネっていう泣き所もあるわけで。僕で言うと、やっぱり突出して弱点って誰が見ても思うのはスタミナかなと。いろんなタイプの選手がいるじゃないですか。例えばスピード、テクニック、パワー、スタミナ。そう考えた時に僕持ってるものって……スピードはある程度、スーパーフライ級でやっていけるぐらいはあって。テクニックは健太会長譲りの、もらわずに当てるっていうテクニックがしっかりあると。パワーも最近は53kgでも当たり負けしないようなパワーになってきて、そこで1階級下げるっていう意味では、パワー的には少し有利なのかなって思いますよね。で、問題は本当にスタミナ、フィジカル面。主にスタミナですね。周りからも「スタミナどうなの?」って聞かれますけど、僕も「どうなの?」って感じですよね。

 

-- そうですか(笑)。

 

心直 初めてですからね、プロルールで3分3Rを1日2試合やるというのは。やってみなきゃ分からないですけど、もしかしたら1回戦に出し切って、決勝戦はボコボコにされるだけの試合になるかもしれない。もしかしたら「スタミナ特別特訓メニュー」でもやって、問題なく勝ち上がってしまうかもしれない。そういう部分も含めて、どっかの格闘技サイトでも書いてくれてましたけど、心直はダークホースじゃないかっていうところですよね。何をしてくるか分からないっていうところで。まあ、『KNOCK OUT』側にも格闘技ファンにも、期待してもらいたいですね。

 

-- なるほど。スタミナが課題と分かっているので、何かやっているかもしれないし……

 

心直 何もやってないかもしれない。

 

-- やっててほしいものですけどね、普通なら(笑)。

 

心直 そうですね。いや、やってるかもしれないですよ。もしかしたら走り込みをしてるかもしれない。蹴り込みをしてるかもしれない。追い込み練習をしてるかもしれない。フィジカルトレーナーをつけてフィジカルトレーニングしてるかもしれないですよね。

 

-- それをやっているのかどうかは、当日分かるかもしれないと。

 

心直 当日なのかもしれない。もしかしたら前日計量の記者会見でしゃべるのかもしれないですし、僕のSNSをチェックしてくれてるのであれば、SNSに上がるかもしれない。そのへんも含めて、僕はツイッターで言ったんですよ。「公開練習しますか」って。あれはプレッシャーをかける意味でもあったんですけど。僕のフォロワー数にしては割と議論が展開されて、面白かったですけど(笑)。

 

-- なるほど。主催側にもいろんな駆け引きをしつつ。

 

心直 僕が一番使いにくいと思うんですよ。

 

-- インタビューで話が面白い人は、主催にとっては使いにくいという場合もけっこうありますけどね(笑)。

 

心直 そのへん、実力なくてもしゃべりがうまければ上に上がれる時代ですからね、今は。いや、誰とは言いませんよ。誰とは言いませんけど、実力なくてもワンデー・トーナメントに選ばれるわけであって。

 

-- そういうところを全部ひっくるめて、ずばりワンデー・トーナメントを制してベルトを獲る自信は?

 

心直 自信がなかったら受けないですよね。ありきたりなセリフですけど。心直節で言うなら、「自信しかない、っていうわけでもない」っていう。

 

-- そうですか(笑)。

 

心直 はい。まあ、下馬評をひっくり返す。絶対にひっくり返してみせるっていうのは、心の中でずっと思ってますけど、なかなかひっくり返せないんじゃないかっていうのも感じてますよね。

 

-- 客観的に見たりもしていると。お話を伺うほど、楽しむにはなってきてはいるんですが、例えば全財産を誰か1人に賭けなきゃいけないとして、心直選手に賭けるかというと……という言葉の数々ですね(笑)。

 

心直 それは全然その通りだと思いますよ。だってそれは第三者目線であって、トーナメント参戦しない人から見たら、全財産僕に賭けるなんてとても言わないですよ。だって、花岡選手も言ってたじゃないですか。「僕らなんて眼中にない」って。トーナメントの中で、僕と濱田選手は眼中にないって言ったんですよ。その日、花岡選手は空龍選手とやる。僕は濱田選手とやるけど、つまり自分が勝つことしか興味ないっていうことなんですよね。僕と濱田選手の試合なんか興味ねえよってことですよね。

 

-- 結果的にはそうなります。

 

心直 そう言われて、その通りだろうと。「眼中にない」は、その通りですよね。ただ僕が言いたいのは、花岡選手、タイトル取ってますけど、そのタイトルってどう取ったのって話ですよ。うん。イノベーションのタイトルマッチ、王座決定戦とかいろいろありましたけど、今まで「王座認定試合」ってありました? ちょっと噛みつきたいのはそこですよね。

 

-- 王座決定戦の相手が欠場になったので、「勝てばチャンピオン」という王座認定試合になったんでしたね(2020年8月)。

 

心直 「王座認定試合」! 何じゃそりゃと! ナメてるのかって感じですよね。まあ花岡選手は前回他団体に緊急参戦して強豪タイ人に勝ちましたけど、それまで君は誰に勝ったかっていう話ですよね。アマチュア24冠って実績だけで王座認定試合して、自分より弱いヤツばっか倒して、もうすでに若手のラスボス気取りかと。

 

-- ……。

 

心直 僕は新日本キックの元チャンピオンを倒しましたし、シュートボクシングでは2階級上でタイトルを獲った選手に勝ちましたし、何なら『REBELS』であの当時絶対王者だった老沼選手と延長まで行きましたし。下馬評でそこまで僕は下かって言われると、そうでもないんじゃないかと思いますよね。

 

-- それだけのものを見せる自信はあると。

 

心直 ヒール風に言うなら、「くぐった修羅場の数が違うよ」と。

 

 

 

 

-- 分かりました。では当日、今回、最大2試合ありますけども、リング上で一番注目してほしいポイントは?

 

心直 正直どうでもいいことなんですけど、僕にとっては一大事なことが一つあって。髪の毛を黒くしまして、髪型も今までは若者チックというか……ピンクだったり金だったり、ちょっとサラサラした感じにしていたんですけども、今回、さっぱり刈り上げて、浦和レッズの槙野智章選手と同じ、「槙野ヘア」にしたんですよ。はい。ネオ七三ってヤツですね。

 

-- そうでしたね。

 

心直 心機一転です。僕の3分3Rで2試合、合計3分6R通して見てもらいたいのは、僕の絶対に崩れない髪型です。ここに注目してもらいたいですね。井岡一翔選手も、前にタイトルマッチの時に槙野ヘアにして試合したんですけど、だいたい4Rぐらいに崩れてるんですよ。そこはちょっと、井岡選手はプロ意識が足りないなと思うんですよね。僕は違うぞと。僕はその槙野選手がプロデュースした「ハルテンプロフェッショナルジェル」を使って、計量も当日もバッチリ七三に決めていくので、絶対に崩れない髪型に注目してほしいです。

 

-- なるほど、分かりました。

 

心直 もしかしたら僕のダメージを見て、セコンドが頭に水をかけるかもしれないですね。もしかしたらですよ。タイ人トレーナーだったり、健太会長が濱田戦のダメージを見て、頭に水をぶっかけて、ワシャワシャワシャッ!とやるかもしれない。でも僕は槙野選手に憧れて、槙野選手が行ってる美容院にも通い詰めて、セットしてもらってるんですよ。つまり、もう槙野智章オリジンだと。

 

-- ……。

 

心直 これ、Jリーガーが成績低迷したとき槙野ヘアにすることによって、成績が上がったという実績があるんですよ。データがあるんです。それをじゃあ格闘技界に持ち込むわけです。

 

-- ほう。

 

心直 YouTubeの世界では、「アメリカで2年前に流行ったものを、日本でやると流行る」って言われてるんです。槙野ヘアが流行ったのはいつですか? 2018年ワールドカップですよ。そこからちょうど2年。

 

-- いや、もう3年……。

 

心直 まあ3年経ちましたけど、3年目じゃないですか。2年ですよ。格闘技界で槙野ヘアをした心直が、ここからどうなっていくのか、ここにぜひ注目してもらいたいです。

 

-- なるほど、わかりました!

 

心直 多分インタビューで髪型の話をした選手は初めてだと思うんですよ。

 

-- 少なくとも、この『KNOCK OUT』の試合前インタビューでは初めてですね。

 

心直 ああ……空龍選手はたぶん、「スピードと右ミドル、無敗の強さを見てもらいたい」みたいなことを言うんですよ。花岡選手はもちろんテクニックもそうだし、「圧倒して勝つ姿を見てもらいたい」と。濱田選手は「雑草魂を見せて、手数と根性で勝負したい」。みんな格闘技のことばっかり話して、どうするんだと。もう僕は違います。僕はね、髪型ですよ。ぜひ注目してください、髪の毛に。槙野ヘア、来年には「心直ヘア」ということになって、格闘技界で大流行りになってますんで。

 

 

 

 

 

プロフィール
心直(しんた)
所属:REON Fighting Sports Gym
生年月日:2001年5月26日
出身:埼玉県草加市出身
身長:164cm
戦績:14戦7勝(1KO)5敗2分