2022/05/13
『KNOCK OUT』2022年年間スケジュールに関する記者会見
5月13日(金)都内にて、『KNOCK OUT』2022年年間スケジュールに関する記者会見が行われた。
6月26日(日)に予定されていた国立代々木競技場第二体育館大会の延期となり、2023年3月5日(日)に順延されることが発表された。
宮田充プロデューサーは延期の理由について「3月6日にRIZIN MMAルールに出場した鈴木千裕、3月12日大会でKNOCK OUT BLACK女子ミニマム級王座を獲得し二階級制覇に成功したぱんちゃん璃奈、4月17日の後楽園ホール大会でメディ・ジライフィに勝利した龍聖が負傷により6月大会のスタンバイができなくなりました」と王者クラスの相次ぐ負傷欠場が理由にあると説明。
「『KNOCK OUT』には多くの出場ジムさん、ファイターがいるので一定のマッチメイクはできる」と開催の可能性を模索したというが、最終的に「3月に代々木大会を発表したときに今『KNOCK OUT』で活躍しているファイターを中心にマッチメイクしたいと僕はコメントしていて、その意思を大切にするべきではないか」と悩んだという。
「フルメンバーで勝負して結果的に思うようにいかなくても後悔はないが、ベストのメンバーが揃わない中で興行開催に突き進むのはどうなのか」と考え、新生『KNOCK OUT』初のビッグイベントをベストな状態で迎えるために延期へ踏み切ったことを明かした。
すでに6月に向けたマッチメイクは進んでいたというが、一部のカードは7月後楽園大会へスライドさせ、来年3月に向けては年内の大会の展開を踏まえた上で新たなカードを組み直すとのこと。
年内の後楽園大会は7月に加え、9月、10月、11月、12月の4カ月連続大会が予定。宮田プロデューサーは「下半期5大会の中で、初めて海外の選手と戦う選手が出るかもしれません。空位の階級の王座を決めたいという思いもあります」と、10連勝中の龍聖、フライ級で4連勝中の乙津陸の名を出し、スターの台頭を期待するコメント。
さらに「ベテラン選手、今チャンピオンの選手も含め、いつも通りの激しいカードを組んでしのぎを削ってもらって、生き残ったやつが3月に出られるという流れです」と新旧入り乱れた3月へのストーリー構想を語った。
なお、約8カ月の延期という一見ネガティブなニュースかとも思われた今回の代々木大会延期の報は、宮田プロデューサーにとっては「僕にとっては前向き(な話題)」だという。現在KNOCK OUTアマチュアへの参加ジム・選手が増加しており、その中から続々とプロデビュー。本会見では年内の後楽園ホール開催スケジュールに加え、8月に開催する若手向けの新宿FACE大会の予定も発表され、3月代々木大会と同時に『KNOCK OUT』の時代を担う選手育成にも力を入れる意気込みを見せた。
また、この日の会見では7月23日(日)後楽園ホール大会への出場予定選手として、KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者・小笠原瑛作、KNOCK OUT-BLACKフェザー級王者・龍聖、KNOCK OUT-BLACKライト級王者・バズーカ巧樹、中島弘貴、渡部太基、そして日菜太の6選手を発表。また、KNOCK OUT-REDフェザー級王者・安本晴翔、KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級・花岡竜の橋本道場勢へのオファーも予定しているという。
この発表の後、7月大会に出場が決定してる2選手の記者会見が行われた。
■小笠原瑛作(クロスポイント吉祥寺)
現KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者・小笠原瑛作の7月大会参戦が決定した。小笠原は今年3月に他団体で階級上の王者である太田拓真を判定で撃破。6月の代々木大会への出場が内定していたが、大会延期にともない7月大会へのスライド出場となる。
小笠原は代々木大会延期の報に「延期になったのは残念ですし、自分一人で代々木を埋められないという悔しさもあります。他の選手の力を借りないといけないのは悔しい。来年3月までに小笠原瑛作だけで代々木を埋められるような知名度、インパクトを残せるファイターになる」と、大会延期に自責の念を見せた。
小笠原は今後のプランとして、1階級上のフェザー級への転向を明言。前戦では太田と57kg契約で対戦し勝利しており、「体格の差は感じなかった」と、体重による不利は感じていないという。
現在フェザー級戦線では、REDルールに安本晴翔、BLACKルールに龍聖と若き王者が君臨している。小笠原は「僕はどちらでもいい」と、ルールにこだわりはないと宣言。7月大会では「正直チャンピオンクラスとやりたいですね。若い2人が目立っていますが、僕は実力的には負けていないですし、ベルトは自分のもとにあって欲しい。そういう意味では強いヤツと早くやりたい」と、7月大会で早くも安本、龍聖との対戦を熱望した。
現フェザー級王者への勝利は、冒頭でも触れた知名度アップへの近道であると小笠原は見据える。「(3月は)脇役じゃなく自分がエース、主役として自分の大会にしたい。階級を上げる以上は、そこの一番じゃないといけない。そういう奴らを3月の前に倒してベルトを獲ってこそ、今回の6月よりももっと盛り上がる大会に持っていける」と、3月代々木大会には自らがベルトを巻いていることが必要不可欠であると宣言した。
最後に、小笠原は「6月はなくなっちゃいましたが、7月に階級を上げて来年3月にバッチリ主役になれるような試合を魅せますので、期待して見守ってください」とファンにメッセージを送った。
■梅野源治(PHOENIX)
“日本ムエタイ界の至宝”梅野源治の『KNOCK OUT』参戦が決定した。現在、梅野はヒジありのムエタイルールではBOM、ヒジなしのキックボクシングルールではRIZIN、RISEを主戦場としてきたが、いよいよ満を持して新生『KNOCK OUT』に参戦する。
梅野は旧体制の『KNOCK OUT』の創世記に活躍。国内ムエタイの第一人者としてファンを魅了した。宮田プロデューサーは今回の招聘に向け、梅野が所属するジムに自ら訪問し、直接の交渉で口説き落としたという。
梅野は今回の参戦の理由を「僕自身ムエタイルール、ヒジありのルールの中でもう一度輝きたい。いい試合を皆さんに見ていただきたいという思いがある」と説明。「自分が目指しているところと『KNOCK OUT』の目指しているものに共通するものがあった」と『KNOCK OUT』を次のステージに選んだ理由を明かす。「“やっぱり梅野源治のムエタイはやばいだろ”と思われる試合を皆さんに見ていただく」と意気込みを語った。
近年ではRIZIN、RISEといったヒジ無しキックボクシングルールへの参戦が多かった梅野だが、やはり自身のバックボーンとなるムエタイへの思い入れは深い。2016年10月にムエタイ二大殿堂のひとつ、ラジャダムナンスタジアムの王座を獲得した梅野は、本来ならもうひとつの殿堂・ルンピニースタジアムの王座を目指したいという。
しかし、新型コロナウイルスのまん延により、海外への安全な渡航が困難に。そのためキックボクシングルールへの進出でムエタイの強さをアピールし、ムエタイを多くの人に知ってもらうような戦いを続けてきたという。結果として多くのムエタイ出身者同様に、キックボクシングルールで苦戦を強いられた梅野だったが、今も「ムエタイって弱いじゃん、と思わせてしまう現状を変えていきたい。いつかはキックボクサーがムエタイに挑戦するような、ムエタイの王者にムエタイルールで勝ちたいと思ってもらえるような流れが作れたらいい」という理想に向け、戦い続ける。
今回は参戦のみ決定したものの、対戦相手や契約体重、また参戦の継続も未定とのこと。従来、梅野が主戦場としている61.23kgとKNOCK OUTライト級には約1.3kgの開きがあるのも、今後の課題のひとつである。宮田プロデューサーは今後の調整の上という前提で「61.5kg前後になると思います」と、梅野のベストに近い契約体重を想定。現時点では対戦相手の構想は「これからですね」と言うが、梅野参戦のニュースを踏まえ「名乗り出てくるファイターもいるでしょうし、この相手と梅野の戦いを見たいというファンの声も聞いてみたい。その上でベストな相手を選びたいですね。この調整は梅野選手とプロモーターの勝負でもあります」と、誰もが満足するマッチメイクの実現に胸を躍らせた。
最後に、梅野は「ムエタイルールだったら梅野やばいだろ、と伝わるような試合をします。誠意ある対応をしてくれた宮田さんへの恩返し、感謝の気持ちを戦いで表せればと思いますので、ぜひ期待してください」とファンへメッセージを送った。