2023/12/08

12.9 MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6|三上ヘンリー大智 インタビュー公開!

 

 

 

 

「この試合……実は自分の中では『剣道vs空手』なんです」

 

 

 

12・9『MAROOMS presents KNOCK OUT 2023 vol.6』の「KNOCK OUT-UNLIMITEDクルーザー級/3分3R・延長1R」でパトリック・ケンソンと対戦する三上ヘンリー大智。今大会から始動する新ルールの試合で、キックからMMAで活躍する三上はどういうものを見せようとしているのか。そして彼の背景にあるものとは?

 

 

 

 

 

── 今回は新ルールでの試合ですが、このオファーを受けた時はどう思いましたか?

 

三上 率直にうれしかったですね。実戦でオープンフィンガーグローブ(OFG)で相手と殴り合えるという機会はなかなかなくて、それが変な話、MMAの実績に影響しないところでできるということで、自分自身も思いきっていろんな技が試せるし、その中でどういう反応をするのかとか、自分自身の情報収集にもなるので、ありがたかったです。

 

── この試合に向けては、そのルールに沿った練習をしてきましたか?

 

三上 立ち技の比重が大きくなるので、そこをちょっと増やしてという感じですね。普段、立ち技の練習は1週間のうち1日ぐらいしかやらないんですけど、2日とか3日にしてみたり、できるだけ増やしてるという感じですね。

 

── このルールで試合に臨む心境というのは、普段のMMAとは違いますか?

 

三上 私はMMAでも打撃で決めたいというタイプの人間なので、打撃の比重が大きくなるのはうれしくて、わりといつものMMAの試合より楽しみという感じです。今回、初ルールということなので、それにふさわしい試合展開というか、「このルールだとこういうこともできるんだ」ということを見せていきたいと思います。

 

── もし一発で決めてしまったら、他のルールとの違いが分からないということも……。

 

三上 そうですね(笑)。そういうことも起こり得るとは思いますが、見せ方にばっかりこだわってたら足元をすくわれると思うので、そこは慎重にいきつつ、試合の中で実験してみるという感じですね。

 

── 初めてのルールでワクワクする気持ちがある?

 

三上 それもあるんですけど、自分が立ち技出身ということで、相手選手が組んできたがることが多いんですよ。そうではなくて、OFGで立ち技の展開でやれるということで、勝ち進んでいけば打撃が自分と同じレベルで組み技もできるという選手と当たった時に、ビックリしなくて済むのかなと。やっぱりOFGとボクシンググローブでは、打撃の交換でも感覚が違うと思うので。今回はそれをちゃんとしたルールの中で、みんなが見ている中でやれるということが楽しみです。

 

── 『KNOCK OUT』には初参戦になりますが、どういうイメージがありますか?

 

三上 骨太な印象ですね。ずっと見させてもらってるんですけど、いろいろ大きい団体がある中で、もともと師匠だった港太郎先生がムエタイだったし、私自身もムエタイが好きなので、『KNOCK OUT』みたいにムエタイルールで5Rの試合を今もやっているのがすごく好きで。小笠原瑛作選手とかは個人的に好きな選手です。

 

── ご自身のこともお聞きしたいんですが、格闘技を始めたのは?

 

三上 21歳の時なので、6年ぐらいになります。中央大学の学生だったんですが、京王線の沿線に「キックボクシング」って筆文字で書かれた看板があって、気になってたんですよ。『あしたのジョー』が好きだったので、あの中に出てくる「丹下拳闘倶楽部」のイメージと重なって(笑)。それで長くやっていた剣道をやめて飛び込みました。

 

── 剣道はどれぐらい?

 

三上 中学生から大学2年までです。大学にも剣道の推薦で入ったんですけど、どうしても格闘技がやりたくて部活もやめて、という感じです。

 

── 剣道での実績は?

 

三上 全然大したものじゃないんですけど、学生の個人で3位とか、全日本の強化メンバーに一応選ばれたというぐらいで。

 

── 大したもんじゃないですか。

 

三上 いえいえ(笑)。でも自分の場合は剣道がすごく格闘技に生きていて。剣道からキックに移行する時もそんなに苦労しなかったですし、剣道の技術が役に立っているところもいろいろあります。

 

── 今回の試合は相手のパトリック・ケンソン選手が空手家なので「MMAvs空手」という見方もあると思うんですが、では「剣道vs空手」という見方もできる?

 

三上 そう思ってもらっていいと思います。私のMMAは剣道がベースでやっている感じなので。剣道、ムエタイ、MMAという流れですね。

 

── 相手のケンソン選手の印象は?

 

三上 研究材料が一切ないので、分からないです(笑)。なので、自分が想像できる限りの最強の敵だと認識して、イメージを作ってます。あとは試合の中でいろいろ拾っていくしかないかなと思います。

 

── 理想的な勝ち方は?

 

三上 こだわりはないですけど、KOボーナスが30万円出るらしいので、KOで勝ちたいですね。お金がないと生きていけないんで(笑)。

 

── 30万円の使い途は?

 

三上 いろいろ格闘技をやっていく上で溜まってしまった借金を返済していきたいですね。生々しい話ですみません(笑)。これがあるとだいぶスッキリするので。

 

── どうして借金ができてしまったんですか?

 

三上 20代の1年間と30代の1年間では、同じ練習でもレベルアップの質がだいぶ変わると思っていて、そこの部分に向けて仕事を削って練習したりしていて、その中で食事管理だったりという部分で「あ、今月ヤバいな」というのが続いてお金を借りちゃった感じで(笑)。

 

── なるほど。

 

三上 それと、MMAに転向したらあまりにもやることが多すぎて、バイトしながらだと活動が難しいなと感じて、もともとやっていたパーソナルトレーナーの仕事を法人にして、やり始めたんですね。その時に一緒にやっていた友人があまり格闘技に理解がなくて、全て任せていたのもあって、お客さんを全部持って行っちゃったんです。それで借金だけが残って(笑)。楽をしようとしたら真逆になっちゃって、すごくいい勉強になりました(笑)。これからは楽をしようと思わず、コツコツやっていけという天からのメッセージだと思ってます(笑)。

 

── では、今後もこのルールで……。

 

三上 毎週でもやりたいです(笑)。まあ実際は、自分は基本的にMMAファイターとして臨んでいるので積極的にということはないですけど、オファーがあればやりたいとは思いますね。二刀流というか、両方やっていけたらすごくうれしいです。実際、今回の試合はすごくありがたくて、応援してくれている人も多いし、何より親に自分の足で立っているというところが見せられるのがすごくうれしくて。これからもバンバン試合してバンバン稼いで、親に楽させてやりたいです。

 

── 試合の話に戻りますが、いろんな打撃技が許される中で、今、自分が得意にしているものというと?

 

三上 ジャブですかね。ジャブは攻撃の起点にもなるし、「ジャブを制する者は世界を制す」という言葉がある通り、MMAの世界でもテイクダウンを狙ってくる相手にもジャブで牽制できれば打撃の距離も取れて自分の展開に持っていけるというのもあるし、純粋な打撃の試合でもジャブを当てれば自分の距離を作れるというのがあるので、ジャブは相当練習しているし、自分の中では自信がありますね。

 

── このルールで使えるサッカーボール・キックとか四点ポジションでのヒザ蹴りなどは、練習はするんでしょうか。

 

三上 いや、しないですね。自分が目指しているのはユニファイドルール(UFCなど北米のMMAで主に採用されているルール)なので、僕は全然練習してないです。そういう局面になったら自然に出るかもしれないので、そこは自分を信じる感じで。出したかったら出すし、相手が出してきても、知っていたら何かしらの対処はできると思うので。

 

── ではパウンドが中心になりますか?

 

三上 パウンドの練習も特にはしていません。パウンドは、立ち技の打撃と似たような感覚で、角度が変わるだけだと思っているので。

 

── カード発表会見では、山口元気代表の元同門である故・港太郎さんのジム出身だったということが紹介されていました。港さんから学んで今も生かせていることというのは?

 

三上 首相撲ですね。首相撲の展開になったらMMAの組みの選手とも勝負できるということもあって、そこは先生から教わったことが生きてるのかなと思います。あと奥足へのローですかね。自分がスイッチだから、相手が右でも左でも開いたところを蹴れるんですね。それは最初から、右構えの時の右足、左構えの時の左足というのは分けて練習させてもらっていたので、バランスとかも含めて生きているのかなと思います。

 

── そんな試合を、港さんの盟友だった山口代表のイベントでできるというのは感慨深いものがありますか?

 

三上 そうですね。先生が亡くなってから、先生に捧げる試合みたいなテーマを持てる試合がなくて、先生のジムは指導者がいなくなったので移籍して、そのままそこでプロデビューという流れだったんですね。自分の中では先生の元でプロデビューしたかったという気持ちが強かったので、今回こういう機会をいただけて、しかも先生が活躍していた後楽園ホールで先生に捧げるような試合ができるというのは、自分の中でも気合いが入りますね。

 

── では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

三上 スピードと、MMA選手ならではの展開というか、『KNOCK OUT』のリングの上で組み技が発動して、その先はキックボクシングしか見てない人には想像がつかない展開もあると思うので、そこの部分を見てほしいかなと思います。

 

── 分かりました。ありがとうございました!

 

 

 

プロフィール

三上ヘンリー大智
所属:格闘ドリーマーズ
生年月日:1996年4月6日
出身:青森県
身長:191cm
戦績:MMA 4戦3勝1敗 キック 4戦4勝4KO