2022/03/03

3.12 KNOCK OUT 2022 vol.2|栗秋祥梧 インタビュー公開!

 

 

 

「一度は引退も考えましたが……今年1年、勝負をかけます」

 

3・12『KNOCK OUT 2022 vol.2』の「KNOCK OUT-BLACKフェザー級/3分3R・延長1R」で、角田泰盛と対戦する栗秋祥梧。ここしばらくは以前のような勝利がなかなか見られていない栗秋は、昨年、引退を考えていたという。しかし、そこから再起をかけて練習に打ち込み、今回の試合を迎える。その経緯、そしてその日々の中で考えたこととは?

 

 

 

-- ちょっと前の話になりますが、今年の新年はどう迎えましたか?

 

栗秋 新年は……家でひたすら寝てましたね。

 

-- あ、そうなんですか!

 

栗秋 去年の10月以降、毎日練習をするようになったんです。で、もともとインストラクターの仕事が毎日、朝も夜もあって、それで体がかなり疲れていたので、正月の連休はありがたくて、ひたすら休んでました。

 

-- そういうことでしたか。

 

栗秋 今までだったら飲み歩いたりしてたと思うんですけど(笑)、10月に「来年1年間は勝負してみよう」ということをトレーナーと話して、そこからは自分のためになることをしようと思ったんです。休める時はしっかり休むというのも練習の一環だと思って、そうするようになりました。

 

-- 10月頃から、今年にかけていたんですね。

 

栗秋 9月に、地元の九州で負けて(銀次戦。2RKO負け)、「もうやめようかな」と思ってて、周りにも「もうやめます」っていう話をしてたんですよ。そしたら「どうせだったら来年1年勝負してみようよ。本気でやるならサポートするから」って言ってもらって。そのタイミングでお兄ちゃんも上京して、KNOCK OUTジムでトレーナーをやってるんですけど、土日だけ夕方5時に終わるので、それからクロスポイントに来てミットを持ってくれたりというサポートをしてくれていて、これで自分の中では最初で最後のストーリーが作れるんじゃないかなと思ってます。

 

-- 一度は諦めかけたところを考え直したのは、周りの声が大きかったから?

 

栗秋 それもありますし、結局「引退します」ってなった時も、引退試合となったら体を作ったりするじゃないですか。それぐらいだったら、1試合だけじゃなくて1年間、やってみようかなと思うようになりました。ずっと負けが続いてどん底にまで落ちてたんですけど、最後にここから自分を成長させて、もう1回だけ上に行ってカッコよくやめようと思うようになりました。

 

-- しかしそこに周りが全面的に協力してくれるというのは、「栗秋選手ならできる」と思われてるからじゃないですか?

 

栗秋 それはけっこう言われるんですよね。他の選手に比べて身体能力とか運動神経がずば抜けてるとか、才能があるとか。でも、それが自分の自信になるわけでもなくて、今の自分に一番必要なのは何かと考えた時に、今までやってなかったこと、練習を毎日続けるということが生きるんじゃないかなと思って。でも短期間で結果が出るわけじゃないので、1年間はじっくりやろうと。この1年で自分が成長しなかったら、もうやめようという気持ちでいます。だからこれからの1試合1試合が大事になってくるなと思っています。

 

-- その一発目が今回の角田泰盛戦ということですね。では、当面は1試合の結果だけで考えるというわけではないと。

 

栗秋 目先の試合のことも考えないといけないんですけど、それよりはトータルで考えてる部分がありますね。この1年、ずっと集中して練習して、それで結果が出るかどうかを判断するつもりでいます。

 

-- ただ、試合をするからには、いい試合をしたいし勝ちたいという気持ちがありますよね?

 

栗秋 そうですね。今は自分に自信がついてきてはいるんですけど、それを、いざリングに立った時にお客さんに見せられるかという怖さも同時にあって。

 

-- なるほど。今ついてきている自信というのは、以前に持っていた自信とは違うものですか?

 

栗秋 負けが続く前に4連勝していて、そのうち3試合はKOだったので、どこかで天狗になっていた部分があったんですよね。そこで自分の才能とかを過信しちゃって、「練習しなくても余裕でしょ」という気持ちで試合していたところがあって。負けた試合は1試合1試合に気持ちが入ってなくて、心が折れた部分はありましたね。

 

-- では今の自信を、この試合ではどう出したいですか?

 

栗秋 相手どうこうというよりは、応援に来てくれたお客さんにしっかり見せたいというのが一番ですね。そういう人たちにいい結果を届けられるように。相手がいてこその試合なんですけど、今回は自分だけを見てもらえるような試合をしたいです。

 

-- 相手の角田選手は昨年、初参戦で安本晴翔選手に健闘して評価を上げました。あの試合はどう見ましたか?

 

栗秋 うーん……安本選手だからこそ、あの対策をしてきたんだろうなというのがあって。確かに気持ちは強いんですけど、パンチや蹴りはそこまで強くないんじゃないかと思ってるんですよ。もちろん僕の対策もしてくると思いますけど、気持ちが強いという印象しかないので、削るよりは、一発で飛ばしてあげようかなと思います。

 

-- では、基本的な戦い方については以前とそこまで変わらない?

 

栗秋 今やっている練習の中で、リズム、感覚、一発の重さとか、全てが変わってきたなっていう手応えがあるんですよ。だから手数は出しつつ、狙ったものが入れば一発で終わっちゃうんじゃないかなという自信はありますね。

 

-- 最終的な決め方は同じかもしれないけども、そこまでの過程が以前とは違うというかんじですかね。

 

栗秋 今まではけっこうスロースターターだったんですけど、今は練習で大技を含めて引き出しをだいぶ増やしたんですよ。それを、早い段階で見せていきたいなと思ってます。自分の技を見せる試合をして、最後はスパッとKOして終わりたいです。

 

-- お聞きしていると、すごく楽しみに感じるんですが、ご自分でも試合が楽しみですか?

 

栗秋 今は毎日の練習で、すごく気を張ってるんですよ。その緊張感はありつつ、試合に向けてはやっぱりワクワクしてますね。早くリングに上がって、そこからの景色を見たいなと思ってます。

 

 

 

 

-- 今年の栗秋祥梧は違う?

 

栗秋 今年の6月には、格闘技界で話題のビッグイベントがあるじゃないですか。そこで一つの時代が終わって、また新しい時代になっていくと思うんですよ。その先には、『KNOCK OUT』にもっと大きい団体になってほしいんですよね。そうなるには僕ら選手がちゃんと魅せていかなきゃいけないんで。そういう意味では同門の小笠原瑛作選手のことは尊敬していますし、同い年なんですけど、ついていきたいなっていう気持ちがあります。

 

-- 彼も『KNOCK OUT』を大きくしたいという発言をずっとしてますからね。

 

栗秋 はい。そこで僕も一緒に盛り上げていけたらなと思ってます。僕自身、少し前までは試合にやる気がなくなってたんですよね。「何のために戦ってるんだろう」とか「勝っても負けても、何も変わらないしな」とか考えちゃって、そこで気持ちが切れちゃったんですよね。それで負けが続いて、2連敗して控室に戻る途中で、龍聖選手から「応援してたのに」みたいなことを言われたんですよ。そこで、「『KNOCK OUT』のフェザー級は任せたよ」って言ったのは覚えてて。そこからずっと負けが続いて、一度はやる気がなくなってたんです。でも、いろんなことを考えてる間にも、体だけは動かしてたら、何となく自信がついてきたんですよね。それで改めて「練習ってすげえ大事だな」ってことに気付いて、とにかく毎日途切れずに練習をしようと。そこでかなり変わりましたね。

 

-- 実際、練習は途切れてないんですか?

 

栗秋 土曜だけは休みにして体を休めてるんですけど、途切れてないですね。朝10時から夕方5時までインストラクターの仕事をやって、そこからお兄ちゃんと10時まで練習をしたりしています。

 

-- それだけやっているからこそ、変わってきているわけですね。

 

栗秋 今、クロスポイント吉祥寺に来てくれている会員さんは自分にとってすごく大事だし、皆さん声をかけてくれるし、お兄ちゃんもそうやってサポートしてくれるので、今、自分はすげえいい環境にいるんだなって思うんですよね。だから、やっぱりそういう人たちを裏切りたくないし、「栗秋は強い」ってもう一回言ってもらえる選手になりたいなって思います。

 

-- 試合への意気込みがよく分かりました。では最後に、今回の試合で一番注目してもらいたいポイントは?

 

栗秋 引き出しを何通りも作ってきたので、そこを見てほしいです。あとは……カウンターのうまさですかね(笑)。そこはすごく練習してきたので、レフェリーにも「瞬きせずに見とけよ」と言いたいです(笑)。あとは技だけじゃなく、自分が放つ輝きを見てほしいです。

 

 

 

 

プロフィール

栗秋祥梧(くりあき・しょうご)
所属:クロスポイント吉祥寺
生年月日:1997年4月23日
出身:大分県日田市
身長:170cm
戦績:63戦40勝(21KO)20敗3分
獲得タイトル:元大和フェザー級王者