2022/03/04
3.12 KNOCK OUT 2022 vol.2|松﨑公則 インタビュー公開!
「思い出すのは負けたけど全力を尽くした試合。最後も魂を見せて、沸かせる試合をします」
3・12『KNOCK OUT 2022 vol.2』の「KNOCK OUT-BLACKスーパーフライ級/3分3R・延長1R」で、阿部晴翔と対戦する松﨑公則。毎回、気迫のこもったファイトで会場を沸かせる松﨑が、46歳にしてついにラストマッチを迎える。年齢では半分以下となる阿部を相手に、松﨑はどんな試合を見せようとしているのか。また13年のキャリアを終えるにあたって、去来するものとは?
── 「近い将来の引退」についてはここしばらく言及されていました。ただ、「近い将来引退する」ということと「この試合で最後」ということの間には大きな違いがあると思います。現時点ではどう思われていますか?
松﨑 「引退する」みたいなことは、ここ何年かずっと言っていたんですけど、本当は去年でやめようと思っていたんですよね。ただ、足の骨折とかあって試合ができなくて、1月が最後ということで一度は決まりましたが、コロナで試合ができなくて。それで今回が最後になったんですが、正直まだできないことはないです。でも、どこかで区切りをつけないといけないなと思って、今回の試合を区切りにすることにしました。「そのうちやめる」と言っていると、ずっとやめずにズルズルやってしまう可能性もあるので、これで最後にします。
── 試合に臨む気持ちというのは、やはり違うものですか?
松﨑 違いますけど、基本的なところではそんなに変わらないかなと。最後だから、変な試合はできないなというところがあります。全部出し切って終わりたいなと。
── あえてお聞きしますが、やはり勝って終わりたいですよね?
松﨑 もちろんそうですね。勝って終わりたいです。
── そのためにしていることは何でしょう?
松﨑 そこはいつもの試合と変わらないですね。対策を立てて全力で準備するだけです。
── その対策ですが、今回の相手は初参戦の阿部晴翔選手になります。印象は?
松﨑 生では試合を見たことはないんですが、テクニックも平均以上にあるし、パンチが強いなという印象ですね。勢いに乗ると強そうなので、そこに乗らせないようにしたいです。
── どういう戦いにしたいですか?
松﨑 とりあえずお客さんを沸かせたいですね。盛り上がるような熱い試合にしたいです。あとは、自分の持っている技を出していきたいです。
── 最後だからこそ、こういうところを見せたいというのはありますか?
松﨑 自分の気持ちですかね。熱い気持ち、魂を見せたいと思います。
── 日々の練習や試合への準備をされていても、最後と思うといろいろとよぎってきたりはしませんか?
松﨑 そうですね。今まで対戦した相手とか、一緒にやってきたジムの仲間、最初に始めた頃のことなんかも思い出します。
── そのキャリアの中で、今振り返るとご自分にとってのハイライト・シーンというとどこになるでしょう?
松﨑 難しいですけど……やっぱりベルトを獲った試合ですね。4つあって、どれも印象深いですが、一番最初に獲った時は特に印象に残っています。
── 2012年4月、『REBELS.11』での伊東拓馬戦ですね。初のタイトルマッチに勝って、WPMF日本スーパーフライ級王座を獲得しました。その時はどんな気持ちだったか覚えていますか?
松﨑 その頃は自分でも獲れると思っていなかったので、うれしいというか、ウソみたいな感じでした。
── ベルトという意味でも、今の『KNOCK OUT』の前身である『REBELS』の存在は大きかったんじゃないですか?
松﨑 そうですね。最初の頃から『REBELS』に出ることが多くて、最初のWPMF王座も獲った舞台は『REBELS』だったし、その後『REBELS』王座も2階級(REBELS-MUAYTHAIフライ級&スーパーフライ級)獲りましたし。
── あえて1試合、ベストバウトを挙げるとすれば?
松﨑 これも難しいですけど(笑)……よかった試合というと、『REBELS』王座を獲った矢島直哉戦(2015年3月)とか。でも、より印象に残っているのは負けた試合なんですよね。加藤竜二戦(2012年10月)とか、大崎孔希戦(2018年10月)とか。実力的に相手が上だったから負けたんですけど、自分も全力を出し尽くしましたし、お客さんが沸いてくれたというのが一番うれしくて、印象に残ってますね。あの盛り上がりをもう一回やりたいですね。もちろん、その上で勝ちたいですけど。
── 2009年2月のデビューから13年のキャリアになります。ご自分では納得いくものでしたか?
松﨑 戦績的には全然足りないというか、満足とはいかないですけど、今、全体を振り返ってみれば、十分かなと思えますね。
── デビューした頃には、ここまでいくとは思っていなかった?
松﨑 ホントにそうですね。2~3戦やったらやめるつもりでいたので。
── そうなんですか?
松﨑 デビューしたのが33歳の時だったので、最初は「チャンピオンになんかなれないだろう」と思ってました。でもやっていくうちにやめられなくなったというか、もっともっと強くなりたいという気持ちが出てきて。それで結果的にベルトを獲るまで続けることになりましたけどね。
── そのキャリアの間には、もちろんご自分の努力も相当だったと思いますが、ジムの存在も大きいですよね?
松﨑 そうですね。ずっと鈴木秀明会長に指導してもらってたんですけど、自分に合ってたんだと思うんですよね。会長の指導もそうだし、ジムの雰囲気とか、一緒に練習してる会員さんたちとか、けっこう家庭的というか、下町的な感じで。そういう雰囲気が合ってたんだと思います。
── キックボクシングを通して、一番得たことって何でしょう?
松﨑 やれば結果は出るというか、やらないと本当に結果は出ないというか。それまで、自分で壁を作っていたところを破って、突き抜けられたというところですかね。
── それは、キック以外の生活にも影響するところがありましたか?
松﨑 ありましたね。もともと、ジムに入る前はうつ病で、入った時点でもまだ治ってはいなかったんですけど、キックの世界では自分を出せたみたいなところがあったんですよね。それまでは自分のパーソナリティを抑えつけて出せなかったところがあったんですけど、キックを始めてからは解放できました。もともとちょっと変わった人間だと思うんですけど、「ちょっと変わってる」ぐらいだったら受け入れてもらえる世界なんだなと思いましたね(笑)。
── そのキャリアの最後を迎えるにあたって、若い選手に伝えることがあるとしたら?
松﨑 私なんかが言うことはないかもしれないですけど……みんなが勝てるわけじゃないので、レベルの高い中での戦いではなかなか芽が出ないこともあるかもしれないですけど、諦めずに続けていれば必ずどこかで芽が出てくることもあるんじゃないかということは伝えたいですね。
── まさにご自身の実感として感じられているわけですね。では最後に、そういったところ全部踏まえて、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
松﨑 自分の熱い戦い、魂が見えるような試合をしますので、そこを見てほしいですね。
── 注目するというよりは、それが見える試合になるということですね。
松﨑 はい。そうなる試合をするつもりですので、見て感じてもらえればと思います。
プロフィール
松﨑公則(まつざき・きみのり)
所属:STRUGGLE
生年月日:1975年7月29日
出身:東京都台東区
身長:164cm
戦績:49戦20勝(11KO)25敗4分
獲得タイトル:元REBELS-MUAYTHAIスーパーフライ級王者、元REBELS-MUAYTHAIフライ級王者、元WPMF日本スーパーフライ級王者、元J-NETWORKスーパーフライ級王者