「最高の刺激を求めて、『格闘家・有川直毅』が帰ってきたぜ!」



9.13「優勝賞金100万円 THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED -57.0kg 1DAYトーナメント」に出場する有川直毅。元パンクラス・フライ級2位で暫定王座決定戦にも出場している有川は、今大会でも屈指のキャリアの持ち主。その彼がトーナメント出場を決意した理由、そしてその先に見据えるものとは?

──UNLIMITEDトーナメントへの出場を決める前から、KNOCK OUT自体に注目されていたそうですね。

有川 そうですね。僕は飲食店を仲間と一緒に経営しているんですが、よく来てくれるお客さんの中にKNOCK OUT関係者の親族の方がいらっしゃって、「KNOCK OUTに出ちゃえばいいじゃん」というお話をされたりしてたんですよ。そしたらUNLIMITEDルールが始まって、具体的に「出ようかな」と思い始めて。KNOCK OUTは勢いあるし、僕が以前、パンクラスで戦っていた頃、鈴木千裕選手が同じフライ級にいたんですよ。

──ああ、確かに鈴木選手はキャリアの初期、パンクラス・フライ級で戦っていましたね。

有川 同じ階級だったから戦うこともあるのかなと思ってたんですけど、その内彼はKNOCK OUTで戦うようになったので、そこから意識するようになりました。またKNOCK OUTクロスポイント大泉が近かったりもして、KNOCK OUTっていうキックの団体があるんだなと思っていたらUNLIMITEDルールが始まって、「こんなのあるんだ!」と思ったんです。「俺、向いてるんじゃね?」と感じて、興味が出てきましたね。

──そしたら自分の階級でトーナメントが開催されると。

有川 そうなんですよ。ちょうどいいし、行っちゃおうかなと。僕はMMAの中でもストライキングの方が得意かなと思っていたし、2試合前にはパンクラスでONEでも戦っている外国人選手にスタンドのTKOで勝ったんですよ(2023年4月30日、コルトン・キエルバサ戦)。もともとスタンドが得意だったんですけど、MMAだとねちっこい寝技が得意な選手とかもいるじゃないですか。そういう選手と試合をすると、男2人で抱き合っててもお客さんはつまんないだろうなとか考えて。まあ、MMAを選んでるので仕方ないんですけどね(笑)。

──いろんなタイプの選手がいますからね。

有川 「ケンカ」のリアルさを求めると、寝技もないとなとは思うんですけど、個人的には殴り合いをしたいなというのがあったんですね。そこでUNLIMITEDルールはサッカーボールキックとかもあって「これはリアルだし過激なルールだな」と。僕は寝技もやれるんですけど、そんなにガッツリ極めにいくタイプではないし、RIZINが始まってからはサッカーボールキックもやりたいなと思ってたんです。“キワ”の打撃があるところが、「MMAの打撃っていいな」と思ってもいたんですけど、その“キワ”の打撃って、サッカーボールキックとか顔面へのヒザとか、立ち際とか相手に見えないところで打てるじゃないですか。これはリアルだなと思ったし、より「強さ」を求めるんだったらこれもアリだなと感じてて。だからUNLIMITEDってすごくいいルールだなと思いました。

──実際にトーナメント出場が決まって、8人の顔触れについてはどう思いましたか?

有川 元気な選手が多いなと思いますね。選考会を見た感じでは、みんな最初から振ってくるなという印象でした。実際のトーナメントになったらどんな感じでくるのか分からないですけど、他の階級のトーナメントを見るとみんなガッツリくるから、そういう想定はしてますね。ただ、特に印象に残った選手はあまりいないかなと。打撃のプロの選手もいますけど、オープンフィンガーグローブというかパウンドグローブの打撃とMMAの距離が中心になるので、少なくとも選考会では衝突し合っちゃってる感じで、もうちょっとうまく距離を取った方がいいのにとも思いました。

──MMAの経験では、8人の中で有川選手が突出していますよね。だから負けられないという気持ちはありますか?

有川 「負けられない」というよりは「負けたくない」という方が合ってますかね。僕もMMAで戦績を積み上げてきたので、「え、そこに出るの?」みたいに言われることもあるんですけど、最近は試合ができてなかったというところもありましたし、僕が格闘技をやる一番の動機は刺激がほしいということなんですよね。その意味では、このルールと賞金100万円という部分はすごい刺激だったんです。ジムにも若い選手がたくさん入ってきている中で、そこを体現して見せていきたいという気持ちもありますし、大会として話題性もあるじゃないですか。それに、僕も15戦ぐらいキャリアを積んだところで、プロ野球と高校野球の差みたいなものも感じるんですよ。

──というと?

有川 高校野球って一発勝負だから、儚く散る姿を見るとグッときますよね。そういうところで、野球はそんなに好きじゃないけど、甲子園は見ちゃうなみたいなのもあるんですよ。そういうところで、若い子たちの勢いをもらいたいなというのもありますね。だから「負けられない」というよりは、若いヤツらとどれだけ戦えるかなというところですよね。それに周りはMMAで積み上げてきた選手たちばかりじゃないので、引き出しの幅が増やせるんじゃないかと思うし、その中で俺がどういう戦い方、勝ち方ができるかなというところも楽しみです。

──実際、3試合をどう勝っていきたいですか?

有川 理想は全部KOですよね。MMAファイターだからこそ出せる技もあるし、「MMAファイターだけど、打撃がこんなに強いんだぜ」というのも見せられると思うので。ただ、そこは欲を出しすぎず。MMAって、相手が打撃でくるから寝技で対応するみたいなところもあるので、そこを引っくるめてのMMAの勝ち方と、このUNLIMITEDルールに適応した部分も見せたいです。僕がMMAキャリアが一番長いと言ってもらえるんだったら、そこは見せていきたいなと思います。

──このトーナメントは前日の抽選で決まるまで対戦相手が分からないし、優勝するには1日で3勝しなければいけない過酷なものです。そこについては?

有川 実際、ハードだなとは思います。1日3試合ってアマチュアの時以来だし、しかも2分3Rでみんな最初から決めにくるとなると、けっこう激しいものになるだろうなと。でもそこに向けてしっかり練習を積み上げてきてますし、トーナメントの戦い方とかは心得ているとは思っています。練習でもスパーを何セットか時間を空けてやったりもしてきましたし。全部1Rで勝てたりしたら最高ですけどね。

──そこの対策は十分だと。

有川 抽選に関しても、僕は相手の対策をしっかり立てるというのではなくて、けっこう感覚でいくタイプなので、「こうくるからこう」とか緻密に対策するわけではないんですよね。まあ他の選手のことは選考会でも見たし、各選手の映像はひと通りは見ています。でも映像もあんまり見すぎると考えすぎちゃうことがあったので、今の自分のやり方はこのトーナメントには合ってるのかなとは思います。誰が来ても自分を貫くだけだし、オーソドックス、サウスポーもどっちでも大丈夫です。いろんな相手と試合もしてきましたしね。相手の勢いに飲まれないというところだけは一番注意しますけど。

──先ほども少し出ましたが、優勝賞金が100万円です。手に入ったらどうしますか?

有川 パーッと遊んじゃいますよ(笑)。この夏も少し楽しみを減らして、節制して頑張ったので、その分楽しみたいですね。

──このトーナメントの先については?

有川 やっぱりUNLIMITEDがやりたくてKNOCK OUTさんに来させてもらったし、ベルトがカッコいいですよね! 一番最後の試合で、パンクラスのベルトが獲れなかった(2003年12月、伊藤盛一郎との暫定王座決定戦で敗退)ので、ベルトがほしいです。57kgでUNLIMITEDのベルトを作ってほしいですね。8月の後楽園大会も行かせてもらったんですけど、カルロス・モタとか面白い選手もいるじゃないですか。いろんな階級でベルトができたら面白いんじゃないかなと思うし、僕もほしいので、それにふさわしい選手になれるようになりたいです。だから今はMMAというよりUNLIMITEDに興味が向いていますね。ただMMAでもRIZINとか、サッカーボールキックとかがあるルールでやってみたいとも思うし、UNLIMITEDとMMAの二刀流はやってみたいなと思います。二刀流の夢を叶えた鈴木千裕選手がいる団体ですしね。キックボクシングもやってみたいなと思っていたし、今回はそこも試せる機会かなとも思うので、夢はまだ広げられるかなと思っています。

──では最後に、このトーナメントに向けての意気込みを、改めていただけますか?

有川 団体も競技も違いますけど、「格闘家・有川直毅」が帰ってきたぜと。最高の刺激を、僕も味わうけどみんなにも味わってもらいたいし、そんな復活劇を見せてこの先の道も開いていきたいので、100万円をしっかり獲って通過点にさせてもらいます!

──分かりました。ありがとうございました!

プロフィール
有川 直毅
所属:K-PLACE
生年月日:1993年5月21日生 出身:埼玉県志木市 身長:168cm MMA戦績:14戦 8勝 5敗 1分
元PANCRASEフライ級2位
パンクラスタイトルコンテンダー