「今回はフィニッシュブローを用意してます。その名は……」

 

8・2「MAROOMS presents KNOCK OUT.66」の[WBCムエタイ日本スーパーバンタム級タイトルマッチ/3分5R]で乙津陸と対戦する壱・センチャイジム。4月の沖縄大会では地元でいいところを見せられなかっただけに、この初防衛戦には気合いが入っている様子の壱。この試合で見せようとしているものとは?

 

 

 

 

 

──前回、4月の沖縄大会は、相手のクルンタイ選手の体重オーバーがあった上でドローという結果でしたが、あんなに苦戦する壱選手を久々に見た気がします。

 

壱 そうですね……。最近は、勝ってたのに一発もらって負け、みたいな試合が、僕の負けパターンとしてあったんですけど、テクニック、技術で負ける試合というのは本当に久しぶりで。力じゃなくてテクニックで負けちゃったなっていうのが一番にあって、世界との壁を感じた試合だったなと思います。

 

──これまでタイ人との対戦もたくさんあった中で、クルンタイ選手が特に手強かったところはどういうところでしたか?

 

壱 僕は去年と今年合わせて、クルンタイ戦を合わせてタイ人とは4試合やってるんですけど、クルンタイ選手以外は、ほぼKO勝ちしてるんですよ。やっぱりタイ人とテクニックで勝負したら劣る部分もあるから、早い段階でパンチでKOしちゃってたんです。でもクルンタイ選手はボクシングのメダリストっていうこともあって、ボクシングテクニックもあったから、そこでうまくいかなくて、調子が狂っちゃったなというところがありますね。

 

──なるほど。

 

壱 逆に言うと、クルンタイ戦で思ったのは、今までちょっとKOに逃げちゃってたなと。ちゃんとテクニックで勝負してくればよかったなというのは一番にありますね。去年ぐらいからは技術勝負をしないで、タイ人選手に対しては全員パンチで終わらせてきたので、そこに逃げようとしたんだけど、クルンタイ選手にうまいところを突かれたなと。

 

──痛いところだったわけですね。

 

壱 それで、去年からずっと言ってるんですけど、 KOを狙ってない試合に限ってKOできちゃったりするし、 KOを狙ってる試合ではKO負けしてるんですよ。だから、そこはもう反省点ですね。格闘技、しかもKNOCK OUTという団体だから、 KOを狙うのはもちろんなんですけど、格闘技はKOだけが全てじゃないし、100%KOできる選手なんていないから、 1回ちょっと考えを一新しました。KOを狙うことはもちろんですけど、偏った考えを一回捨てた感じですね。この先、さらに相手のレベルも上がってくるので、みんなKOできるとは限らないし、そこだけに頼っちゃうと、いつまでたってもこの先の進化はないなと自分で思ったので。

 

──そのタイミングで、WBCムエタイの防衛戦を迎えるというのは、流れ的にはどうなんですか?

 

壱 今回はやっぱりKOしようと。対戦相手が乙津君なので、やっぱりKOしようかなと思いました。

 

──あ、今回はそうなるんですね(笑)。

 

壱 やっぱりKOで勝ちたいですね。ただ僕は、1Rにバコン!でKOっていうのは、あんまり理想じゃなくて。僕自身、KO負けするよりも一番メンタルに来るのが、全ラウンドを取られての判定負けなんですよ。だから今回は、乙津君から全ラウンドでポイントを取った上で、 3Rか4RにKOするのが理想ですね。僕の理想というか、ムエタイの理想かなと思います。

 

──全ラウンドで上回って、最後はKNOCK OUTらしく勝つと。

 

壱 そうですね。やっぱりKNOCK OUTでWBCムエタイをやるということなので、両方のいいところを見せたいというのが一番ですね。

 

──その乙津選手ですが、ファイターとしてはどういう印象ですか?

 

壱 やっぱり若いし、勢いもあるし、格闘技界には、ああいうちょっとオラオラした若い子が必要だなとは思いますね。でもその反面、ちょっとナメられてるなっていうのもあるし。まあ僕にもちょっと、ああいう時期はあったから、若い時の自分を見てるような気分ですね。

 

──攻撃や技の面はどうですか?

 

壱 やっぱり、あの左フックですよね。いろんな選手との試合も見ましたけど、乙津君ってテクニックで負けてても、最後の最後の一発で持っていくんですよ。石川直樹戦とかMASA BRAVELY戦とかもそうでしたけど、負けてるのに、最後バコン!と持っていくんですよね。“持ってる”選手だと思うので、その一発には気をつけたいなと思ってます。

 

──そのあたりは、壱選手とはやり方が違うというか。

 

壱 そうですね。でも、僕も自分で自分のことを“持ってる”と思ってるので、そこが噛み合えば“持ってる者”対決になると思うけど、そこまでの試合にはならないんじゃないかなっていうのが 本音ですね。やっぱり“持ってる”、“持ってない”って、実力が拮抗しないと出ない言葉なので。今回は技術だけじゃなく、全てで圧倒できると思ってます。

 

──今大会ではWBCムエタイの王座戦が4試合組まれています。他の試合って意識しますか?

 

壱 福田海斗選手も重森陽太選手も僕よりキャリアが長いし、ムエタイ歴も長いと思うので、そういう意味では僕的には大先輩たちなんですよ。そんな 大先輩たちと同じ日に、ムエタイの防衛戦ができるっていうのが、本当にうれしいです。僕がデビューした時には陽太君もチャンピオンだし、福田海斗選手もチャンピオンだし、みたいな状況の中、この2人と同じ大会に出られるようになったんだなっていうのは、僕の中ではちょっと……「俺、ここまで来れたんだ」って思って、じんわりしましたね。でも今大会は特に、KNOCK OUTでWBCムエタイをやるということじゃないですか。

 

──そうですね。

 

壱 山口元気代表が、今、BLACK、RED、UNLIMITEDという3つのルールがある中、さらにWBCムエタイを持ってきたことには、山口さんが求めている意味があると思うんですよ。その答えを出すのが、今回WBCムエタイの4試合を任せられた僕らの“使命”かなと思っています。

 

──特に先日のカード発表会見では、山口代表から「将来的にはWBCムエタイで代々木第二を埋められるようにしたい」という話も出ました。

 

壱 そうですよね。今、世界王座って、いくらでも作れちゃうし、いろんな王座がありますけど、ちゃんとした権威のある世界ベルトって少ないと思うんですよ。このWBCムエタイとかISKAとか、ほんの少しじゃないですか。その中の1つがWBCムエタイだから、僕は絶対、現役中にWBCムエタイの世界王座に挑戦したいと思ってるので、こんなとこでは負けられないなと思ってます。ナメてるわけじゃないですけどね。

 

──確かに、日本、インターナショナル、世界としっかり段階があるのはWBCならではですからね。

 

壱 しかも、5Rでのボクシンググローブでのムエタイというルールは、僕のコーチのキックさんだったり、センチャイ会長が闘ってきた、完全に“こっち”のルールだから、余計に負けられないですよね。このルールで、日本人には絶対負けられないなと思ってます。

 

──ここ最近はOFGでの試合が多かった中で、ボクシンググローブでの試合というのはどうですか?

 

壱 OFGでは2月と4月にやりましたけど、12月の「ムエタイオープン」の大会では、一応ボクシンググローブでやってるんですよ。だから8ヵ月ぶりですね。それに僕はOFGではあんまりうまくいってないですけど、ボクシンググローブでの試合だったら、一昨年の12月の森岡悠樹戦以外は負けてないんです。グローブでガードできるというのが本当に強みで。だから今は、ちょっとイキイキ練習してます(笑)。

 

──むしろ自信があると。

 

壱 もちろんOFGも、絶対これからもやっていくはずだし、REDのベルトも狙ってるから適応しなきゃいけないですけど、とりあえず今回は、自分のメインステージのルールなので、イキイキやらせてもらってます。

 

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

壱 今回は……フィニッシュブローに注目してください。決めているものがあるので。

 

──そうなんですね。

 

壱 前回のWBCムエタイの試合、繁那戦でダウンを取った、左ミドルからの左パンチというコンビネーションがあるじゃないですか。あれはウチのジムでは「パンパーン」って呼んでるんですよ。コーチが命名したんですけど。前回はアレがキレイにハマって、5回ぐらい使ったのが全部クリーンヒットしたんです。で、そのうちの1回でダウンが取れて。今回もちょっとフィニッシュブローを用意してあるので、注目してほしいです。

 

──ちなみに今回の技は、名前はあるんですか?

 

壱 ジムでは「パパンパン」って呼ばれてるんですけど、僕は「ドラゴンアイス・ファイアブロー」と名付けてます。

 

──ん? アイスとファイアでは、打ち消し合わないですか?

 

壱 そこは大丈夫です(笑)。「ドラゴンアイス・ファイアブロー」、楽しみにしててください。

 

──分かりました。ありがとうございました!


プロフィール
壱・センチャイジム
所属:センチャイムエタイジム
生年月日:1997年8月15日生
出身地:沖縄県那覇市
身長:173cm
戦績:43戦30勝(10KO)11敗2分
第4代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者
第2代KNOCK OUT-REDスーパーバンタム級王者
WBCムエタイ日本スーパーバンタム級王座
元ルンピニージャパン・バンタム級王者
KICKBOXING JAPAN CUPスーパーバンタム級トーナメント 準優勝