「僕らの試合なんて誰も見ない。だから盛り上げを考えてるんです」
8・29「MAROOMS presents KNOCK OUT.56~NEW BEGINNING~」の[KNOCK OUT-UNLIMITED スーパーライト級/3分3R]で木村亮彦と対戦するふくやーまん。MMAでは10戦だが、空手の型競技では世界王者の実績もあるふくやーまん。初参戦となるこのUNLIMITEDルールでは、どう戦おうとしているのだろうか?
──今回はKNOCK OUTに初参戦ですが、これまでのMMAは10戦になるんですね。
ふくやーまん いろいろな団体に出てます。デビュー戦がZSTの一番最後になった大会なんですよ。僕はずっと空手をやっていて、格闘技の入口は上田貴央さんなんですけど、寝技とかを習いたいなと思って何回かジムに行ったところで、上田さんから「試合とか出てみます?」って言われて。もう1人友達もいたんですけど、別に失うものも何もないかなと思って「出ます」と二つ返事で言ったのが始まりで。だからアマチュアの経験もなく、もうそのまま4ヶ月ちょっとでプロデビューしてしまって。
──そうなんですか!(笑)
ふくやーまん 結局、それで最初から勝てるわけもなく、1年半ぐらい負けて、3連敗ぐらいのスタートから、やって1年半でようやく初めて勝利して、という感じです。だから戦績としては今だいぶ負け越してるんですけど(笑)。試合しながら経験を積んでるという感じですね。アマチュアでやれって話なんですけど(笑)。まあ、ここから自分の力で価値を増やしていくという物語をやればいいのかと思っていたら、今回の話が来たんです。
──UNLIMITEDルールの話が来た時に、認識はされてたんですか?
ふくやーまん いえ、オファーを聞いてから「そんなルールの試合があるんだ」と思って。今度、9月の常葉の大会で100万円トーナメントにウチのジムから今村凛太郎という選手が出るんですけど、僕に話が来るかなぐらいのタイミングで、彼が選考会に出るみたいな話になってて、認識はそのへんでしてますね。
──ルールとか試合については、今はどういうイメージですか?
ふくやーまん 僕はバックボーンが空手でして、FIGHTER'S FLOWは渡辺華奈選手、あとはRIZINに出ている泉武志選手、この前KROSS×OVERでチャンピオンになった渋谷カズキ選手とかを筆頭に、寝技・組技系のジムではあるんですけど、だからそこで寝技・組み技を磨いてはいるんですけども、もともと空手で立ち技出身なので、そこに関する抵抗はないというか、むしろそっちの方が合ってるんじゃないかとか周りも言ってくれてて、自分自身もそう思ってて。
──なるほど。
ふくやーまん 今までMMAでは10戦やりながら3回しか勝ってないんですけど、3つとも全部一応KO・TKOなので、個人的には合ってるルールではあるのかなと思ってます。サッカーボールキック、踏みつけもありということで、MMAの試合でもそれが有効なのはRIZINぐらいじゃないですか?
──ごく一部ですよね。
ふくやーまん 僕はそれで一度、試合で反則をやってしまったことがあって。グラウンド状態の相手の顔面に膝を入れてしまったりとか。出てしまうんですよ。そんなとこに顔があるのがいけないよみたいな感じで思っちゃって(笑)。なので、ルールだから蹴ってないだけで、本当はもっと蹴れてるよ、みたいな瞬間は自分の中ではいまだにずっとありますね。そこは何か枷が外れたのかなという感じで暴れられるかなっていうところですね。
──では、むしろ楽しみな部分があると。
ふくやーまん それはありますね。ただ、やっぱりMMAファイターということで、組んだり投げたりっていうのはそこに合わせていければなとは思ってます。みんなが見たいのはたぶんキックボクシングじゃないと思うんで。
──そうですね。
ふくやーまん やっぱりプロである以上は、そこお客様にも何か還元できるというか、魅せられる試合をできればなとは思ってます。
──相手が木村亮彦選手は、どういう印象でしょうか?
ふくやーまん 4勝3KOとかしていて、強い選手なのかなとは思うんですけど、やっぱり組みとかが入ると、どうしても雑な部分があるのかなという印象があって。そこを的確に自分なりに攻め崩せばいけるな、みたいな。数字だけ見ればもちろん強敵なのかなとは思うんですけども、問題はないかなといった印象ですね、僕の中で。別にそれだけ勝ってても注目度もそんなにないので、正直、何もおいしくないなと思ったところではありました。KNOCK OUTの中では見られてるのかもしれないけれど、世間一般から見た時に、僕自身もそうなんですけど、おいしくないなと。「誰が見るの、この試合?って思いましたね。
──なるほど。
ふくやーまん でも決まった以上はそれだけ勝っている相手をポッと出の僕がぶっ倒したら、やっぱりMMA界隈はちょっと目を向けてくれるのかなとか思うところもあるし。それなりに影響が出てくるところはあるのかなとか思いつつ。まあどちらにせよ、誰も見ねえだろうな、この試合はとは思いますけど。
──その関連で、SNSで怒ってましたよね?
ふくやーまん (笑)。怒ってたというより、あれはひとつの盛り上げですよね(笑)。今回は他のカードも豪華じゃないですか。その中で、どうやって盛り上げていくかも大事だし。さっきから言ってますけど、誰も見てない僕らの試合をもっと楽しんでもらうために、Xで何かあったりすると、わりかし見てくれる方が多かったりするので。あんまり煽りとかやる方じゃないんですけど、面白おかしく、周り巻き込んでいけたらなとか思いつつやってます。
──ところでその伝統派空手の話なんですが、小学生ぐらいからですか?
ふくやーまん そうですね。小学校3年生の頃からやってまして。ただ、その伝統派空手も「型」と「組手」という二つの競技に分かれてまして。別れてるって言っても同じ空手なんですけど。堀口恭司選手なんかは組手競技をずっとやられていて、僕は型競技と言って、1人で演武して、空想の相手がいるという……キレイなシャドーボクシングだと思ってください(笑)。それの一つの流派の世界タイトルを獲っている、世界チャンピオンではあるんですよ。
──すごいじゃないですか!
ふくやーまん だから同じ空手業界の人たちは、僕が型をやっていた選手だっていうのはすごく知れ渡っているので、「なんで格闘技に行ったの?」っていう。でも空手でも、「型って意味あんの?」みたいな話題にときどきなったりするので、それを示していってる1人、みたいな感じで見てくれてる人は、ちょっとずつ増えてきていて。
──そうですか。
ふくやーまん 去年の7月ぐらいにベトナムで試合したんですけど、開始10秒ぐらいで相手を右ストレートでKOしたんですよ。空手の逆突きみたいな形で。それで「人を倒せるんだ! やっぱり型は使える!」みたいにちょこっと騒がれて。お前ら、すぐ手のひらクルクルするな!って思いましたけど(笑)。
──でもそれこそ、どうしてMMAに?
ふくやーまん それがですね、DEEPとかにも出てる月井準南という選手がいるんですけど、その準南選手が空手時代からの先輩で。女性アスリートとして注目を集めてたりしてたので、コロナの時期に準南さんと佳奈さんがYouTubeでコラボしようということになりまして。そこがはじめましてで、そこで僕ともう1人、空手の男子の友達と3人でジムに来たのがきっかけなんです。それまで格闘技には全然興味がなかったんですけど、上田さんの元でちょっと寝技とか月1ぐらいで習ってみたいねというところから、先ほどのデビューの話に戻るわけです。
──そういうことなんですね。
ふくやーまん で、僕は1回やり始めたら引っ込みがつかないタイプで。結局、空手の型っていうのは同じことをひたすらやり込み続けて極めていくっていう競技なので、もう抜けられないなと思って。そうしていまもやってるということです。
──では、ここで関わるUNLIMITEDというルールもやり込まなきゃということになりませんか?
ふくやーまん どうなんですかね?僕個人としてはMMAでやっていきたいというところはあるので。今ちょうどUNLIMITEDルールだったりとか、KNOCK OUTさんがすごく注目を浴びてきているかなっていうところなので、この大会を皮切りにMMAファイターがけっこう流れてくるんじゃないかなと僕は思ってて。でも、MMAファイター同士のUNLIMITEDってどうなの?ってなるし、「だったらMMAでやりたいよね」ってなるじゃないですか。なので今回、一発でしっかり勝って印象を残して、もう僕はささっとMMAの方に戻ろうかなとか思ってて。でも、いい話があれば、応えていきたいところはありますけど。
──では最後に、当日、自分のここに一番注目してほしいというポイントはどこでしょうか?
ふくやーまん 空手着を着て入場して、型をちょっと披露したりとかするんですけど、そういったところで、「何かこいつはひと味違うな」みたいなところを注目していただければと思いますね。
──分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
ふくやーまん
所属:FIGHTER'S FLOW 生年月日:1995年3月26日生 出身:熊本県八代市 身長:165cm MMA戦績:10戦3勝(3KO)7敗

