「全試合KOで優勝して、王座挑戦につなげます!」



9.13「優勝賞金100万円 THE KNOCK OUT FIGHTER UNLIMITED -57.0kg 1DAYトーナメント」に出場する祐輝。KNOCK OUT本戦で活躍中で、8・29後楽園でも9連勝中の他団体王者・勇成を1RKOした彼が、わずか2週間で初のUNLIMITED、しかも1DAYトーナメントに出場する。その真意とは? そしてそこに向けてどう準備しているのか?

──まずは何より、8月の後楽園大会での勇成戦、KO勝利おめでとうございます!

祐輝 ありがとうございます。ジムにもいろんな方面から連絡があったり、反響が思った以上にすごいですね。それだけ勇成選手が強かったので、自分もその分強くなれたのかなと思う反面、勝ててとりあえずは安心しています。次のステップに進めるかなと思ったので、よかったです。

──ファンが選ぶ大会MVPにも輝きましたね。

祐輝 そうなんですよ! 僕なんかがもらっていいのかと、恐縮しかないんですけど(笑)。まあ、日本vsタイはタイ勢が強すぎて、ゴンナパー・ウィラサクレック選手は貫禄の勝利でしたし、軍司泰斗選手はまさかの展開だったので……というのもあったと思うんですけど、自分がしっかりKOで勝てたから選んでもらえたと思うので、ありがとうございますという感じですね。

──このトーナメントへのエントリーは勇成戦の前から決まっていて、それを勇成選手が批判したりもありましたが、宣言通りノーダメージでトーナメントに臨めますね。

祐輝 そうですね、結果としては。実際、ケガの一つや二つは覚悟してたんですけど。でも出る以上は万全の状態で行けるようにしないと他の選手たちにも失礼だし、勇成戦に関しては自分の100%を出せる状態にまでは持って行ってたつもりだったので、それが結果につながったのかなと思いますね。



──そもそもなんですが、トーナメント出場の動機は何だったんですか?

祐輝 一番は、「KNOCK OUTを盛り上げたい」という気持ちですね。そしてUNLIMITEDはMMAの選手だったりキックボクシングの選手だったり、あるいはレスリングとか、いろんな方面から参入してるじゃないですか。格闘技界の中では注目度もかなり高くなってるんじゃないかと思ってまして、ベルトを獲った倉本一真選手だったり、カルロス・モタ選手や松嶋こよみ選手も参戦して、かなり盛り上がってきてますよね。

──確かに。

祐輝 常葉でのUNLIMITEDトーナメントも今回で3回目になるし、UNLIMITEDの認知度も高まってきてるんじゃないかと、8月の後楽園大会を見てても思ったんですよね。その中でキックボクサーの栗秋祥梧選手や重森陽太選手が挑戦してるのを見て、自分も体幹に関しては自信があったり、いつもついてくれているOU-BU GYMのトレーナーの迦月君も柔道やMMAについては知識があるので、そういう人たちの協力も得て練習もしています。それに僕はアマチュアの試合を200戦近くやってきて、その内の半分は首相撲がある試合だったので……。

──ちょっと待ってください。祐輝選手って、アマチュアの試合を200戦近くもやってるんですか?

祐輝 実はやってるんですよ(笑)。僕の奥さんのお父さんがジムの会長さんで、入会から1ヵ月半で「試合に出ろ」って言われたのがきっかけなんですけど、その後は多くて月に6回とか出てましたからね(笑)。だから普通では考えられない量をこなしてたと思います。「その代わり、お金の面は見てやる。ついてくるのはお前だ」ということでやってたんですけど、はじめのうちはKO負けもしたし、いろんな思いもしながら、勝率で言ったら6割あればいいかなぐらいの感じでしたよ。でも何でそんなにやったかって、ムエタイの選手でもキャリアを重ねれば重ねるほど味が出るというか、強さの深みが出てくると思うんですよね。今、僕がプロの試合に出ていて、負けることもありますけど、アマチュアでたくさんやった基礎、土台があったからこそ、プロでも通用しているのかなと思うんですよね。

──先ほど自信があると言っていた体幹も、その経験で培ったということですか?

祐輝 いえ、当時はフィジカル・トレーニングはほとんどしてなかったんですよ。会長も言うんですけど、ランニングしたから強くなるわけじゃないんですよね。「いくら走っても、弱いヤツは弱い」と。格闘技では、ムキムキのボディビルダーが一番強いわけじゃないですよね。そういうところも含めて、自分でいろんな分野の研究に研究を重ねて、自分に合ったトレーニング方法を見つけていったんです。

──なるほど。

祐輝 ウチのジムの変わっているところは、選手ごとにスタイルや強いところが違うという点なんですよ。普通、ジムによって「ここは○○が強い選手が多い」とかあると思うんですけど、ウチは会長が選手によって練習法を変えているのもあって、選手によって違うんです。僕に関しては、アマチュアの最初の頃なんて蹴りは一切出してなくて(笑)。練習の時点で、苦手なことは全部捨ててたんです。でもやっぱり、苦手なことから逃げるってことは、試合で勝つことからも逃げてたんでしょうね。だから今は、パンチが得意だし好きなんですけど、それ以上に蹴りの練習をメチャクチャやってます。試合で出なくてもやってます。体が固くてヒジも苦手なんだけど、ヒジを回す練習もやってます。スパーリングはしないけど、それ以外にランニングも10km走るんですよ。

──スパーはやらないんでしたね。

祐輝 僕は毎日トレーニングしたいんですよ。筋肉を回復させるために休みを入れるというのも分かりますけど、僕は毎日やりたいから、そういうメニューを組んでるんです。そうやって毎日やると、パフォーマンスが安定するんですよね。僕はいつオファーが来てもいいように、すぐ返事できるように準備できている状態にしておきたくて。これは常に心がけてますね。

──その中で、今回はUNLIMITEDルールですが、そこの練習についてはどうですか?

祐輝 キックについてはスパーはしてなかったんですけど、UNLIMITEDに関しては「勇成戦が終わってケガがなくて、すぐに練習できる状態だったら、すぐUNLIMITEDのスパーリングから入ろう」という話をトレーナーとしていて。実際にケガなく終われたので、スパーリングを開始しました。別に勇成選手をバカにしてるわけでも何でもないんですけど、茂木豪汰戦や勇成戦に向けては一回もスパーリングしてなくて、UNLIMITEDについてはスパーを中心にやってるんです。やっぱり初めてのルールだし、やっていく中で見えてくるものもあるので、まずは試合形式で実戦練習をやってます。試合の翌々日からは、毎日5~12R、いろんな選手とやっています。UNLIMITED経験者なんかいないので、ルールの想定の上でやってもらってるんですけど。

──そうなんですね。

祐輝 でもその中で、UNLIMITEDでの自分の得意・不得意がやっぱり見えてきたんですよ。あとは2週間の中で、不得意なところで修正できるところは修正し、できないところは、そうなった場合のリカバリーを徹底的にやってきました。有川直毅選手みたいにMMAの経験豊富な選手もいるし、山野邉嵐選手もタックルが強いですよね。そういう選手たちにも倒されないつもりではいるんですけど、倒された時にもそこから脱出するやり方については感触は掴めたなと思っています。

──優勝するには1DAYで3試合勝つ必要がありますが、そこはどうですか?

祐輝 3試合するというのは特に気にしてないですね。アマチュアの話をしましたけど、空手とかアマチュアのトーナメントは1日3試合とか、多いと7試合とかありますからね。もしケガしても、その時はその時で考えようかなという感じです。アマチュアではずっとそうやってきたので。右拳を痛めたら、次は左拳で戦うとか。逆にそれが自分の面白さというか、この逆境でどうやって倒すのか、みたいな。『ドラゴンボール』的な感じというか(笑)。もちろん全試合1Rで倒すというのが理想ですし、そのために全選手の映像を見て分析してもいますけど。

──優勝したら賞金100万円ですが、使い途などは?

祐輝 正直、物欲はそんなになくて(笑)。ジムでお世話になっている方だったり、お母さんの認知症の治療にお金がかかるので、そこに充てる感じですかね。認知症は治るわけではなくて、進行が進んだら治療をやめようという話をしていて。進行が緩やかな状態だったら続けた方がいいという感じなんですよ。そこに充てられたら、お母さんも安心するかなと思うので。

──そうですか……。

祐輝 でも一番は、お金よりもトーナメント優勝という実績がほしいんですよ。そこにお金がついてくるというだけで、ほしいのは実績です。

──8月のKOに加えてUNLIMITEDトーナメント優勝という結果も引っ提げて、KNOCK OUT王座挑戦への材料にしたい?

祐輝 もちろん!小笠原瑛作選手へのアピールって、まだまだ足りないと思うんですよ。やっぱり何本もベルトを獲っていて、ずっと前からKNOCK OUTを引っ張ってきている選手じゃないですか。そのチャンピオンに対して、俺が他団体の王者を倒したって言っても、自慢にはならないですよね。だから「UNLIMITEDでもやったぞ、優勝したぞ」というのを引っ提げないと挑戦にふさわしい選手にはなれないのかなと思うので。

──なるほど。

祐輝 やっぱりKNOCK OUTに出るには、REDだろうとBLACKだろうとUNLIMITEDだろうと、どんなルールでもやっていかないといけないと思うんですよね。UNLIMITEDには尻尾巻いて逃げるような気持ちでKNOCK OUTに来てるわけじゃないんで。そこも含めて見てもらいたいです。

──では最後に、このトーナメントへの意気込みを改めていただけますか?

祐輝 ズバリ、全試合KOで優勝します!

──分かりました。ありがとうございました!

プロフィール
祐輝
所属:OU-BU GYM
生年月日:1996年12月10日生 出身:広島県尾道市 身長:162cm 戦績:17戦8勝(4KO)6敗3分