「アイツの一発は重いですけど、『食らってみたい』と思う自分がいるんですよね……」
11・15「MAROOMS presents KNOCK OUT.59」の[KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級/3分3R・延長1R]で中島弘貴と対戦する高橋幸光。KNOCK OUTではRED、UNLIMITEDに続いて今回はBLACKと、全てのルールを一巡する高橋だが、相手は仲がいいという中島。果たして“悪魔王子”は何を企んでいるのか?
──5月のUNLIMITED、川村英樹戦以来の参戦です。その後はシュートボクシングで2試合出場していましたね。
高橋 はい。相変わらずプロレスも格闘技も両方やってます。この前はプロレスとシュートボクシングで1日2連戦して、体がボロボロです(笑)。
──しかも他団体のスタッフとSNSで揉めてたじゃないですか(笑)。
高橋 あれはちょっとふざけただけで(笑)。
──今回は中島弘貴選手との対戦ですが、中島選手とやることになるとは思ってなかったんじゃないですか?
高橋 全然思わなかったですね。Krushの時から、向こうは70kgでずっとやってたじゃないですか。自分はもともと63kgとか、軽い階級でしたからね。だから、やることは絶対ないと思ってました。同じ年で、けっこう仲いいんですよ。だから不思議ですね、本当に。「お互い頑張ろうぜ」みたいに話してたのが、当たるとは思わないじゃないですか、正直。自分が大きくなりすぎただけなんですけどね(笑)。
──でもそう考えると、中島選手がずっと変わらず70kgでやってるのはすごいことですよね。
高橋 すごいですよ! しかも、なかなかすげえヤツとばっかり戦ってますから。
──今の中島選手のことはどう見ていますか?
高橋 お互いに歳を取ったなとは思いますね(笑)。まあ、フレッシュさはお互いないなと。でもやっぱり、昔よりも落ち着いてますよね。自分も同じですけど、落ち着いてるというか貫禄があるというか。カッコいい男になりましたよね。
──すみません、高橋選手から落ち着いた感はあんまり感じないんですけど……。
高橋 ホントですか! まあ昔もわりとはっちゃけてましたけど、プロレスを始めてから余計に暴れてますからね(笑)。試合内容は大人になったというか、落ち着いたというか。でも試合以外はむしろちょっと狂ったかもしれないです、全ての角度が。確かにそんな感じはしますね(笑)。
──ですよね(笑)。
高橋 昔はけっこう周りの目を気にしたりしてたんですよ。今はもう完全に自由なので、何しても許されると思って。
──本当に許されてるわけじゃないと思うんですけど……。まあ、許されてるかのようにやってますよね。
高橋 そうですね。もう、やったもん勝ちなので。最近の格闘技選手って、煽り合いやってるか、逆にいい子ちゃんか、どっちかしかいないじゃないですか。だから逆に、こういう破天荒なヤツがいてもいいだろ、みたいな。
──しかしKNOCK OUTでも、普通にキックルールをやるのはMASATO BRAVELY戦以来、1年ぶりですね。
高橋 しかもBLACKルールですからね! 下手したら初めてなんじゃないですか?
──ヒジなしということで言えば、以前はKrushでやってたじゃないですか。
高橋 まあ、そうなんですけどね。今はワンキャッチワンアタックですよね? 今回はちゃんとルールが理解できてるんで。
──確かに、ちゃんと「BLACK」って言えましたしね。
高橋 そうそうそうそう……いや、ちょっとバカにしすぎじゃないすか?(笑)
──すみません、でも、河村戦の前日会見で、「UNLIMITED」と言えなかったのは衝撃だったので。
高橋 もう一回、あのルールやりたいんですけど、話が来ないんですよね。じゃあREDで、もう一回MASATOでもいいし、やっぱ津崎善郎選手とタイトルマッチやってもいいし。オープンフィンガーグローブ(OFG)が好きなので、やりたいなと思ってるんですけど。まあ今回は相手がいないからBLACKルールでやってほしいっていうんで、「何だよそいつ、誰だよ?」と思ったら、まさかの中島で。「お前かい!」って(笑)。
──では相手に合わせてのBLACKルールなんですね、今回は。
高橋 はい。だから別にBLACKのタイトルが欲しいとか、そんな欲ないっすからね。やっぱり欲しいのはOFGのREDの方が俺は好きなんで。UNLIMITEDは、たぶんまだ70kgの選手が全然いないだろうから。でも早くやりたいですよね。もうあんなオジサンたちに持たせてちゃダメですよ。
──まあそれはそれとして(笑)。今回はBLACKで中島選手と当たるわけですが、一番警戒するのはどこですか?
高橋 昔から変わらないですけど、一発の重さはやっぱり危ないんじゃないかなと思いますね。
──それに対して、今の高橋幸光はどう戦おうと思っていますか?
高橋 受けて立ってしまうかもしれないですよね(笑)。そんな、距離を取ってペシペシやるんじゃなくて、そこで逆に相手の土俵で勝ったらカッコよくないですか?
──とは思いますが……。
高橋 昔だったら、確実によけて当ててますけどね。ここ最近、何だか分かんないけど激闘してるんですよね。
──それってプロレス効果もあるんですか?
高橋 たぶんあると思います。格闘技でリングに上がった時、相手がみんなちっちゃく見えるし。背がデカかろうが何だろうが、「細っせえな、コイツ!」と思いますから。
──プロレスで当たる相手はデカいですもんね。
高橋 そうっすよ! 無差別だし、自分より背は低くても、体はメチャクチャ分厚かったりするし。俺は体重が全然軽い方なんで。
──ですよね。
高橋 そんなのといつも取っ組み合いしてるから、格闘技でパンチとか食らっても「こんなもんか」って思っちゃいますね。
──ではまさかの、70kgで中島弘貴との打ち合いが見られるかも?
高橋 かもしれないですね。「かも」ですよ?(笑)
──そこは当日の流れとかひらめきで?
高橋 そうっすね、いつもはほとんど作戦も考えないですから。アイツの試合映像もまだそんなに見てないですし。
──ではいつも、対策練習みたいなことはそこまでやってないんですか?
高橋 そうっすね。今回だとオーソドックスの選手とちょっとやったぐらいで、そんなにはしないっすね。対策より、問題は自分自身なんで。自分がどれだけ動けて、どれだけいろんなことができるかっていうのを、日々やってるだけですから。一発はやっぱ危ないなと思うし、一発で逆転しますよね。天性のものがあるんで、そこだけは気をつけなきゃなと思います。ただ反面、それを食らってみたいなと思ってる自分が、ちょっと怖いですよね。
──それは危険な(笑)。
高橋 そうなんですよ! 最近は試合中、「ボディとか顔面とか食らってみたいな」とか、「食らった時にどんだけ効くんだろうな」っていうのを体感したいっていう、なんか変な欲が出てて。
──「欲」ですか(笑)。
高橋 それを食らって、「じゃあお返ししてやろう」みたいになるから、いつも激闘してるんです(笑)。
──変わるもんですね。
高橋 そうですね、本当に変わりました。
──でも、その中でも最後はもちろん勝つつもりでいますよね?
高橋 もちろん! 今年は何だったら、今でも疑問に思ってるあの判定さえなければ、全勝してますからね。しかも全部KOとダウンありですよ。負けた試合ですら、ダウン取ってますし。今4戦全部でダウン取るかKOしてるんで。「こんな激闘派だったっけな?」って自分でもメッチャ思ってます。セコンドの仲間とかにも「プロレスじゃないよ!」言われるんすよね、試合中に。たぶん、無意識に食らいにいってるんすよね、自分から。自分では気づいてないけど、セコンドのヤツらは「違う違う違う!」みたいな(笑)。
──Krushで63kgのリーグ戦に出た時は、「激闘は皆さんにお任せして」っていう感じでしたよね。
高橋 そうですね。本当にもらわずに当ててみたいな試合してたら、全部ドロー、ドロー、ドローみたいな地味な結果に終わりました(笑)。今ならいけますけど。
──最後はどう倒したいですか?
高橋 できれば早く倒したいですね。その2週間後にも試合が控えていて、12月の頭の方にもプロレスのタイトルマッチがあるんですよ。試合が連戦で控えてるので、できれば早い段階で倒したいですけど、もし俺が中島サイドで、俺と戦うってなったら絶対にボディーとローで焦らず削って削って、フルラウンド使え、みたいな作戦だと思うんですよ、もう完全に。
──以前は確かにそうでした。
高橋 そこで、俺の一発の重さが70kgになった時にどれだけ違うかっていうのを見せてあげたいですよね。でもアイツ、本当にいいヤツなんですよ。もう人のよさが滲み出てるんですよ。俺の中ではキレたことあるのかなって思うぐらいで、ぼーっとしてるかニコニコしてるか。
──そんなに仲良くて、躊躇なく殴れるんですか?
高橋 そこは、試合は試合ですから。決まったからには全力で殴って、試合終わった後にはまた「痛かったでしょ?」って言ってあげればいいかなと。
──さすが「悪魔王子」(笑)。しかし相変わらず、いろんな団体のリングに上がってますね。
高橋 だって10月、11月、12月で、キックだけで6団体ぐらいからオファー来てますから。
──マジですか?
高橋 今俺、すごい人気者なんですよ(笑)。「終わったら、できればいつものプロレスも……」って言われることもあるぐらいで。だったらファイトマネー上げてくれって(笑)。無駄に痛い思いしてるだけなんで。
──確かに(笑)。
高橋 この前の試合でも、「KO勝ちしたら場外まで出て行って走り回ります」って言ったら、「それだけは勘弁してください」って言われました(笑)。
──でしょうね(笑)。
高橋 でも、1Rの早い段階でKOしたらOKですよね? まあ難易度高いですけどね。アイツ、打たれ強いじゃないですか。頑丈というか。
──そうですね。
高橋 ディフェンスもすごくしっかりしてるし。そこをどう切り崩すかですよね。そのへんはもう、やりながらですね。「こいつ、これに反応するんだ」って思いながらやっていって、閃いた技でKOしたりしますから。だから練習も全くしてない技で全部ダウン取ったりKOしたりしてますからね。
──おお! では今回も、どんなものが見られるか楽しみですね。
高橋 閃きでね。向こうはどうせいっぱい対策してきてると思うんですけど、対策してきてるからこそ、逆にこっちはやりやすいというか。KNOCK OUTのYouTubeでも、ラウンドガールの子が1人、俺と中島の試合に一番注目してるって言ってて。で、俺が勝った後のプロレスが見たいって言ってたんですよ。だったらやるしかないですよね(笑)。
──いや、ここで「そうですね」とは言いにくいですけどね(笑)。
高橋 でも正直、見たいですよね? 僕の師匠(飯伏幸太)は狂人って言われてるぐらいなんで、あそこに負けないぐらいのことをやらないと。でも2週間後にまた試合なので、今回はおとなしいかもしれないです。
──そうですか(笑)。では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
高橋 ズバリ、「プロレス」です。キックボクシングの試合でも、入場から試合、そして試合後まで、全てが俺の中ではプロレスになってるんで。俺の中では全てがプロレスなんで。
──分かりました。ありが……
高橋 だから、入場から退場まで全てを追いかけてほしいですね。いつ誰が絡まれてもいいように、みんな心の準備をしておいてくださいと。
──それはイヤですね(笑)。
高橋 入場時とか試合後、知らないお客さんとかにも絡む可能性がすごく高いので、俺に絡まれても大丈夫なように、常に心の準備を全員しておいてください。関係者からお客さんまで、全部含めて。そして怒らないでください。
──それは無理じゃないですかね(笑)。まあとりあえず、分かりました。ありがとうございました!
プロフィール
高橋 幸光
所属:Ten Clover Gym 世田谷
生年月日:1988年12月14日生
出身:神奈川県横浜市
身長:173cm
戦績:74戦43勝(15KO)25敗5分1NC

