「ラッキーでもいいです。先にパンチを当てて勝てれば!」
12・30「MAROOMS presents KNOCK OUT.60 ~K.O.CLIMAX 2025」の[KNOCK OUT-UNLIMITED -68.0kg契約/3分3R]で松嶋こよみと対戦する漁鬼。UNLIMITED初挑戦の漁鬼は、試合までの短い期間、MMAに対応する練習はほとんどせずに臨むつもりだという。そんな彼が見せようとしているものとは?
──先日のカード発表会見では、山口元気代表が「漁鬼選手は最初、UNLIMITEDのオファーを断っていた」という話をしていました。最初に話が来た時はどう思ったんですか?
漁鬼 最初のオファーは、「12月30日、どう?」という形だったので、自分はキックボクシングの試合をするものだと思って「いいですよ」と答えたんです。そしたら次に「UNLIMITEDでどう?」と来たので、キックボクシングで試合したかったから、「UNLIMITEDだったらやらなくていいです」と。
──あくまでキックの試合がしたかったんですね。
漁鬼 はい。その時に相手選手も言われたんですけど、自分はMMAは見ないので、松嶋選手のことも分からなかったんです。だから相手を見て断ったとかじゃなくて。でも、ジムの人から「MMAで知られている松嶋選手との試合だったらキックファン以外も見ることになって注目されると思うから、知名度を上げるんだったら大事だと思うよ」と言われて、それも理解できるなと思って考えが変わった感じですね。
──ああ、なるほど。
漁鬼 自分も暫定王者として、KNOCK OUTを盛り上げるためにも、面白い試合をして自分の知名度も上げていかないといけないなと思っていたので。
──実際、松嶋戦が発表されてからの反響はどうでしたか?
漁鬼 試合を受ける時も、周りからは「断った方がいい」という声が多かったんですよ。1ヵ月でUNLIMITEDは無理だろう、みたいな。発表されてからも、心配の声がけっこう多かったですね。
──客観的に見ても、問題はそこですよね。あえてこういう聞き方をしますが、大丈夫なんですか?
漁鬼 うーん……でも可能性はゼロじゃないし、勝ったらおいしいのは確かじゃないですか。リスクはメッチャ大きいですけど、勝った時のリターンもデカいなと。自分はこれまで、そういう危険な挑戦とか、リスクの高い挑戦もけっこうやってきたと思ってるので、今回も「リスクがあってもやる」という感じです。
──そのリスクはもちろんあると思うんですが、ご自分でも「1ヵ月ぐらいしかないから、MMAの練習はほとんどしない」というお話をされていましたよね。改めて聞きますが、そこに不安はないですか?
漁鬼 不安というか……UNLIMITEDだから、キックボクシングする時の感覚とは全然違うんですけど、MMAの練習をしたら、今までキックボクシングでやってきた自分のよさが消えると思っているので。MMAの練習は少しでいいかなっていう感じです。
──そうですか。
漁鬼 自分が1ヵ月での初挑戦で、長くMMAをやっている松嶋選手とどうにかできるレベルの差じゃないと思ってるので。
──ということは、先に殴って倒したいという感じ?
漁鬼 それしかないと思ってますね。たぶん、後半に行けば行くほど、スタミナとかも奪われていくのは分かってるので、早い段階に決着できればいいなと思ってます。それが、山口代表もファンも見たいものだと思うので。
──それを遂行する自信というのは、今はどうなんですか?
漁鬼 自分は、パンチが怖いとか、タックルされて怖いとかは本当にないんですよ。オープンフィンガーグローブでも全然フルスイングできるので、暴れる自信はありますね。勝ち負けは置いといて、それが当たればいいだけの話なので。難しく考えず、一発当てればいいやという考えで試合します。
──その部分だけで言えば、例えば過去の中島玲戦と似ていたりしますか?
漁鬼 いや、それはまた全然違いますね。MMAとキックボクシングも、自分の感覚だと野球とソフトボールぐらい違うので。中島戦の時は、別に「一発当てよう」とかではなかったですね。相手はパンチうまいですけど、自分は蹴りが上手だったので、そこまで技術の差はないなと思ってましたし、そんな「ラッキーで勝てばいいや」みたいな感じじゃなかったですね。
──今回は、ラッキーでもいいから当てればいいという感じなんですか?
漁鬼 そうですね。でも格闘技って、結局どれもそうじゃないですかね。当たればいい、みたいな。
──確かにそういう側面もありますけどね。では、とりあえず最低限の対応の練習だけやって、あとはもう普段通りという感じですか?
漁鬼 はい、たぶんタックルも切れないと思うので。倒されたらくっつく練習をして。そして、たぶん相手も分かってると思うんですけど、タックルが来たらキックボクサーは絶対ヒザを合わせるので。突っ込んできたらヒザ、倒されたらくっつく、ブレイクがかかったら改めて打撃で攻める、みたいなイメージでやってますね。
──ある意味、キックボクサーとしてのセオリーですね。
漁鬼 タックルは絶対切れないし、松嶋選手の試合映像を見たんですけど、タックルのフェイントからヒザとかやってくるので。タックルされて、切ろうと思ってもどうせ倒されるので、それをやられるぐらいだったら、タックルに合わせてヒザを狙った方が勝てる可能性が高いと思ってるので。
──だとすると、チャンスはすごく限られてくると思うんですが……その少ないチャンスをものにしようという感じですか?
漁鬼 そうですね。自分の方が絶対に分が悪いというのは、自分でも客観的に見て分かってるので。可能性でいったら自分の方が低いですけど、ゼロじゃないので。その勝つところを当日に持ってくるだけだと思ってますね。
──そんな気持ちで試合するのは初めてですか?
漁鬼 初めてですね。複雑な気持ちです。「何で自分、MMAしてるんだろう?」みたいな(笑)。
──では、基本的にはUNLIMITEDは今回限りにしたいぐらい?
漁鬼 今回で終わりにしたいですけど……山口代表が言うんだったら、また考えが変わるかもしれないですけど。自分ってけっこう不器用なので、いろんなことをいっぺんにはできないんですよ。REDもやりたくないし、UNLIMITEDも本当はやりたくないし。
──ただ、それこそ山口代表が言うように、ここで松嶋こよみ選手に勝てば、「誰なんだ?」みたいに注目を浴びますよね。
漁鬼 ですよね。RIZINでも話題になっている選手なので、逆にそんな知名度のある松嶋選手の相手に自分を選んでくれて、今は感謝してます。外国人選手を呼んで試合させるより、KNOCK OUTの自分が試合した方が、今後のKNOCK OUTのためにもなるなと思うので。松嶋選手もたぶん、この先ずっとKNOCK OUTに出続けるわけじゃないと思いますし。
──今年の締めがこの試合ということになりましたが、来年につなげる意味でも、勝ちたいところですよね。
漁鬼 はい。今年はKNOCK OUTでも勝ちの方が多いし、今はベルトも持ってるので、変な負け方はできないですね。それにここで勝ったら、たぶん一気に自分の名前も上がるし、勢いづくと思うので、絶対勝ちます。
──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?
漁鬼 今回は失うものがほぼないので、こんなにフルスイングできるのか!ってぐらい振り回して倒します。そのパンチの強さとかを見てほしいですね。
──分かりました。ありがとうございました。
プロフィール
漁鬼
所属:SHINE沖縄
生年月日:1996年5月10日生
出身:沖縄県那覇市
身長:175cm
戦績:22戦12勝(3KO)9敗1分
KNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級暫定王者
TENKAICHIウェルター級王者
BEASTウェルター級王者

