KNOCK OUT年末恒例のビッグマッチ、12.30代々木大会。

本大会の注目試合を 名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、 
今回は格闘技解説&ライターの中村拓己氏によるコラムを公開いたします。

中村拓己氏には KNOCK OUT-REDライト級タイトルマッチ
 「ゴンナパー・ウィラサクレックvs久井大夢」がどう映るのか。是非ご覧ください。



「久井が真価が問われるゴンナパー戦、真のエース誕生なるか?!」
 



日本人選手を次々と撃破してきたムエタイ戦士に日本人最後の砦が挑む。

ゴンナパー・ウィラサクレックvs久井大夢のKNOCK OUT-REDライト級タイトルマッチは分かりやすく、そして格闘技ファンなら誰もが見たくなる構図の一戦となった。

久井はKNOCK OUTアマチュア出身で、デビューから1年半の間に初代KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級と第2代KNOCK OUT-BLACKライト級の2本のベルトを巻き、瞬く間にKNOCK OUTのトップまで上り詰めた。しかし久井が本当の意味でKNOCK OUTの中心選手になったのは昨年6月の代々木大会以降だろう。

この時、久井は龍聖と対戦予定だった山田彪太朗の負傷欠場を受けて急遽参戦し、当時無敗だった龍聖を下して初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座を獲得。これを機に久井は代々木・後楽園・常葉・福岡とあらゆる舞台に立ち、7試合中6試合でメインイベンターを務めるなど、名実共にKNOCK OUTを代表する選手に成長を遂げた。

 

対するゴンナパーはK-1での活躍を経て、2025年からKNOCK OUTにREDルールで参戦。初戦で古村匡平との激闘を制すと、2戦目で重森陽太をKOして第3代KNOCK OUT-REDライト級のベルトを巻いた。3戦目では下地奏人も左ストレートでマットに沈め、KNOCK OUTが誇る日本人選手たちを次々と撃破。久井の躍進と同時にKNOCK OUTにおける日本人キラーとしての地位を確立した。KNOCK OUTはランキング制を敷いていないが、久井を除くトップ選手たちは軒並みゴンナパーの軍門に下っており、久井が日本人最後の砦としてゴンナパーに挑むことになる。

 

そして久井自身はKNOCK OUTのメインイベンターを務めていくなかで大きな変化があった。

ちょうど1年前の代々木大会、久井はKNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座決定ワンデートーナメントに出場した。この大会ではKNOCK OUT-BLACK ウェルター級王座決定トーナメント決勝戦やKICKBOXING JAPAN CUP スーパーバンタム級トーナメント準決勝&決勝も組まれ、最終的にKNOCK OUT-BLACK ウェルター級王座決定トーナメント決勝戦がメインイベントに選ばれるのだが、対戦カード発表記者会見で久井が試合順について言及することはなかった。

しかし今年の代々木大会のカード発表記者会見では久井自らが「KNOCK OUT全体もそうだし、格闘技界を背負って戦う試合を見せなあかんなと思っている。圧倒的に倒して勝つし、最高の勝ち方でKNOCK OUTの年末を締めくくりたい。ぜひメインイベントでやらせてほしい」と自らメインイベントでのタイトル戦をアピールしていた。この一年、選手として強さを追及すると同時に、久井の中に自分がKNOCK OUTを牽引するエースにならなければいけないという自覚が芽生えているのだろう。

 

ファイターとしての強さはもちろん、ファンが望む相手と戦い、見ているものを熱くさせる。それが団体のエースであり、その責任をを背負う覚悟を持ったものが、その座に就くことが出来る。

久井にとってゴンナパー戦はKNOCK OUT-REDライト級王座奪取とゴンナパー超えだけでなく、自分がKNOCK OUTのエースの器に相応しいファイターかどうかが試される戦いになる。

逆にゴンナパーからすればここで久井を倒せば、KNOCK OUT-REDライト級を完全制圧したと言っても過言ではない。そうなれば自ずと今後は外国人対決やKNOCK OUT-BLACK王座との2冠、はたまたUNLMITEDルールへの挑戦など、新たな可能性が開けることになるだろう。

2025年を締めるKNOCK OUT代々木決戦、久井大夢が真のエースとしてベルトを巻くか? それともゴンナパーがKNOCK OUTを完全制圧するか?
 



執筆
格闘技解説&ライター
中村拓己