「恐怖心を克服して打ち合いにいけるか、自分との戦いです」

 

 

11・15「MAROOMS presents KNOCK OUT.59」の[KNOCK OUT-REDスーパーフェザー級/3分3R・延長1R]でセーンサックグン・オー.カムインと対戦する軍司泰斗。8月に敗れたゲーオガンワーンへのリベンジを期して、「サウスポーのタイ人」との対戦をリクエストしたという軍司は、注文通りの相手とどんな試合を見せようとしているのか?

 

 

 

──8月のゲーオガンワーン戦は残念な結果でしたが、一番の敗因はルールへの慣れの問題なのか、もっと別のところにあるのか、ご自分ではどう思っていますか?

 

軍司 今までヒジなしのキックボクシングしかやったことがなかったので、ヒジへの対策がしきれていなかったところが一番かなという感じですね。

 

──そこはやはり、時間がかかるという感じですか?

 

軍司 時間がかかるというか、やっぱり試合をこなすことが一番だなと思いました。試合をやるほど感覚が掴めてくるのかなと。

 

──ヒジに関しては練習では難しい?

 

軍司 今まではあまりやってなかったんですけど、最近はヒジのプロテクターをつけて、タイミングを掴む練習だったり、軽めに当ててもらったりとかはやってもらっています。対策は徐々にやっているという感じですね。

 

──これまでずっとやってきたK-1ルールの感覚が染みついている部分も大きいですよね?

 

軍司 そうですね、やっぱりパンチとヒジがどうしても一緒に見えてしまって。よけ方も、パンチのよけ方になっちゃうんですよね。ゲーオガンワーンのヒジも見えてたけど、よけ切れなかったというのはありますね。

 

──でも、この道で行くと決めたからには、時間がかかるとも言ってられないですよね。

 

軍司 はい。この先の格闘技人生は長くないと思っているので。やれても3~4年だと思うし、もう終盤に差しかかっているので、本当に詰め込みでもいいからやるしかないなという感じですね。

 

──しかしこうして改めて伺うと、よくその終盤に、新しいことに踏み出しましたね。

 

軍司 そうですね(笑)。もう賭けじゃないけど……という感じですね。

 

──その分、やりがいもある?

 

軍司 ありますね。練習していて、以前よりも全然楽しいんですよね。日々成長できているというか、新たなことなので、自分自身もやるたびにすごく成長を感じますね。全く分からないことだらけなので、逆に知りたいという気持ちの方が今は強いです。

 

──今回はKNOCK OUTでの3戦目になりますが、「サウスポーのタイ人とやりたい」とご自身でリクエストして、セーンサックグン選手に決まったそうですね。改めて、試合映像などを見ての印象は?

 

軍司 ムエカーオ(ムエタイで、首相撲からのヒザが得意な選手のタイプ)なのでヒジ、ヒザがうまくて、ゲーオガンワーンと似たタイプの選手だなという感じですね。

 

──似ている中でも、特にここは気をつけないとという点はありますか?

 

軍司 たぶん、相手はゲーオガンワーン戦を見ているだろうから、絶対ヒジで合わせてくるだろうというのはもう予想しているので、そこは一番警戒してますね。

 

──今までのK-1ルールでの戦いでは、近い距離での打ち合いが中心だったと思いますが、そこに躊躇が生まれたりはしないですか?

 

軍司 この前、初めてKOで負けて、そういう恐怖心もあるとは思うんですけど、そこは試合をやってみないと分からないですね。でも一番は、やっぱり自分自身との戦いだなと思います。どこまで勇気を持って前に行けるかが今回のキーポイントかなと思います。

 

──アマチュアからでも、試合に出始めた頃にはそういう恐怖心みたいなものはありましたか?

 

軍司 怖さはほとんどなかったですね。でも最近で言えば、RISEとの対抗戦の時が一番恐怖心を覚えたというか、やる前はすごく葛藤がありました。

 

──それだけプレッシャーが大きかった?

 

軍司 プレッシャーは一番大きかったです。やっぱり「負けられない」という気持ちが強くて。

 

──今回はプレッシャーの大きさは同じぐらいとしても、方向性のは少し違うんでしょうね。

 

軍司 今までダウンしたことはあったんですけど、KOはなかったので、その後の今回の試合でどこまでビビるかというか、どこまで打ち合いに持っていけるか。正直、打ち合いができるのかも分からないですし。ヒジへの恐怖心が勝ってしまったら、絶対打ち合いはできないですから。だから今回は本当に自分との戦いで、自分もどうなるかが全く分からないので、そこがすごく楽しみだなと思いますね。

 

──自分がそこを突破できるのかというところですね。その上で、改めてどう勝ちたいと思っていますか?

 

軍司 前回は自分らしい試合ができなかったので、今回は本当に自分らしい試合をしたいです。打ち合いだったりラッシュだったりが出るのが僕自身のファイトスタイルだと思ってるので、それが今回出せればいいなという感じですね。

 

──そして、12月30日のゲーオガンワーン戦につなげていくと。

 

軍司 はい。そのためには勝たないと意味がないし、期間も短いので、スカッと勝って終わりたいです。

 

──そもそも軍司選手は負けていなかった期間も長いし、負け試合も少ないので、「リベンジに燃える軍司泰斗」という図式がちょっと新鮮な感じですね。

 

軍司 確かに(笑)。ここ最近はあまり負けてなかったですからね。そういうストーリー性もすごくあるのがいいなというのが、僕の中ではありますね。オープンフィンガーグローブでのムエタイをやり始めて、ムエタイの洗礼を浴びて、それに向けてのリベンジロードというところが、ストーリー的にはいいなと思います。

 

──これまで、リベンジに燃えた相手というと?

 

軍司 一番最初に負けたのが武居(由樹)君だった(2016年2月)ので、その時はやり返したいなとずっと思いながら、いろんな選手とやってたという感じでしたね。

 

──その時は武居選手と階級が分かれて、再戦はできませんでした。

 

軍司 そうですね。そもそも格闘技って、すぐに再戦できること自体があまりないじゃないですか。今回はそのチャンスがもらえる可能性があるということなので、勝ち方にもすごくこだわって、しっかり勝ってそれを引き寄せたいですね。

 

──ところで、新たな所属名が決まったんですね。

 

軍司 はい、「TEAM SUERTE(チーム・スエルテ)」という名前になりました。SUERTEはスペイン語で「幸運」とか「運命」という意味なんですけど、僕は「巡り合わせ」という意味を表す言葉にしたくて、いろいろ探していたんですけど、英語ではいい言葉があんまりなくて。それで調べていたら、このスペイン語の言葉には「運命」とか「使命」という意味合いもあったので、これに決めました。今教わってるトレーナーのノップさんだったり、ノップさん経由で龍聖とも仲良くなって、練習パートナーとして一緒にやっているので、そういった意味合いも込めてのチームの「巡り合わせ」「運命」みたいな感じで考えました。

 

──なるほど。

 

軍司 僕は生き方に対しても、例えば「これで死んじゃったら、もうそれは運命だし」と思っちゃうタイプなんですよ。だからそういう意味合いを持つチーム名にしたいなと思いました。この名前の元に巡り合わせで人が集まるようになれば、それもいいなと思いますし。

 

──今回は所属名も新しくなって、その名前も背負って戦う部分もありますね。

 

軍司 そうですね。心機一転というか、もう契約も切れてフリーになって一発目で、真価が問われる試合になるので、確実に勝ちたいです。

 

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

軍司 前回は「ヒジで倒す」ってさんざん言ってましたけど、今回は本当に僕らしい試合をしたいので、パンチで倒したいと思っています。そこを見てほしいですね。

 

──ヒジで倒すのはいったんお預けですか?

 

軍司 お預けというか、たぶん自然に、流れで出てくるとは思うので。今回は、最後は僕の得意なパンチで終わらせたいなと思っています。

 

──分かりました。ありがとうございました!


プロフィール
軍司 泰斗
所属:TEAM SUERTE
生年月日:1999年1月17日生
出身:東京都板橋区
身長:167cm
戦績:35戦27勝(7KO)7敗1分
第5代K-1 WORLD GPフェザー級王者
K-1 WORLD GP 2022 K-1フェザー級世界最強決定トーナメント優勝
第2代Krushバンタム級王者
ISKAインターコンチネンタル・スーパーフェザー級王者