「『こんなに面白いムエタイがあるんだ』ということを見せたいと思います」

 

2・15「MAROOMS presents KNOCK OUT.61」の[WBCムエタイ日本スーパーライト級王座決定戦/3分5R]でREITO BRAVELYと対戦する重森陽太。昨年6月にREDライト級王座を失ったが、10月、12月と連勝している重森が今回臨むのは、“本職”と言えるムエタイの王座決定戦。REITOとの4年ぶりの再戦に、どんな気持ちで挑もうとしているのか?

 

 

 

──まずは前回、昨年末のロムイーサン戦を今振り返ると?

 

重森 蹴りのディフェンスとかはわりとしっかりとできていたので、あのレベルのタイ人を相手にしっかりとカットできたりするのは、自分の成長かなと思います。でも代々木のあの舞台で、盛り上げるっていったところを重視するとしたら、ちょっとそこは足りなかったかなとも思うんですけど、一応、久井大夢君に2回勝っている選手に勝ったというのは、大きなポイントだったかなと思います。

 

──なるほど。

 

重森 まあ、久井君と2回やった時も、2回とも別に盛り上がった試合はしてなかったと思うので。だからどちらかというと、その点ではロムイーサン選手の問題という気はします(笑)。

 

──確かに、ロムイーサン選手を相手に盛り上がる試合をするというのは、なかなかハードルは高いですよね。

 

重森 そうですね。だから3分3Rというルール自体が、ちょっと難しかったというか。5Rでしっかりロムイーサンとやるんだったら、ラウンドが進むごとに、もっと盛り上がっていたかもしれないですけど。

 

──そしてまた、そこから間を置かずに、今度はWBCムエタイの王座決定戦ということになりました。以前からWBCムエタイの王座は意識していましたか?

 

重森 実は昔、新日本キックに所属していた時に一回、WBCムエタイの話が来たことがあったんですよ。

 

──そうなんですか!

 

重森 メッチャ欲しかったんですけど、諸事情で実現しなくて。だからもちろん意識してましたし、歴史のあるタイトルなので、それに挑戦できるというのはうれしく思います。

 

──ボクシングと同じあの緑のベルトがいいという声も多いですよね。

 

重森 それはやっぱりありますね。私もけっこう、そこにだわってますよ。格闘技をやっている人間として、あのベルトを巻けるというのは名誉なことですよね。

 

──特に、今回は日本王座ですが、その先にインターナショナル、世界と段階があるベルトでもあります。

 

重森 はい。もちろんそこも、目指すという点ではいいですよね。インターナショナルも視野に入れて、今回挑戦するつもりなので。世界ももう早めに欲しいです。今年から来年ぐらいにすぐ狙えたらと思うので、そこもアピールできるような試合をしたいなと思います。

 

──その相手がREITO BRAVELY選手です。実は昨年9月にREITO選手がKNOCK OUTに出場した際、試合前のインタビューで、「いずれ重森選手とやりたい」と言っていたんです。以前に戦った小林司選手もそうですが、もう追われる立場ですよね。そこへの意識というのはどうですか?

 

重森 私がデビューしたのが16歳、高校生1年生の時だったので、当時は先輩ばっかりだったんですけど、もう今となってはデビューして14年目で30歳になったので、この業界、特にムエタイをやっている立場としては、今かなり重鎮的な立ち位置になってきたのかなというのは、最近感じますね。だからそこは意識してはいますけど、同時に16歳の頃から挑戦者の気持ちは変わらないので、積極的にどんどん挑戦するような試合は変わらずしていきたいなと思っています。

 

──受けて立ちつつ、自分も挑戦し続けていくと。

 

重森 はい。だから自分のやるべき仕事をしっかりやるということと、こうやって挑戦してくる人たちに対して、自分の実力をお客さんに分からせるという段階が必要なのかなとは思います。

 

──REITO選手とは約4年前に対戦していますが、その時も含めて印象は?

 

重森 もうあれから4年も経ったのかって感じはあるんですけど……前回やった時の印象と、そんなに変わってないかなという感じはするんですよ。もちろん変わっているとは思うんですけど、ただ、私の方が確実に変わってるんですよ。だからそういった変化という点では、アドバンテージはこっちにあるんじゃないかなと、ちょっと思ってますね。本当にKNOCK OUTのおかげでいろいろ経験させていただいて、いろんな舞台で戦ってきたので、確実に差は開いたんじゃないかなと思います。そういった面では、わりと心に余裕はあります。

 

──4年前にやった時は、重森選手も純粋にムエタイを突き詰めているという感じだったと思います。今はそこからだいぶ変わりましたよね。

 

重森 まさにそうですね。UNLIMITEDでも非常にいい経験をさせてもらっていますし、カンボジアにもONEにも行かせてもらっていて。そういういろんな舞台に出ると、求められるものとか、もちろんルールとかも違ってきて、そういったものを経験しながら出来上がったのが私のムエタイなので。だから唯一無二のスタイルになりつつあるんじゃないかなと思います。

 

──その中で、先ほども「5Rだったら」という話がありましたが、今回は5Rでボクシンググローブ着用のムエタイルールになります。となると、意識も変わるものですか?

 

重森 もちろん変わります。やっぱり試合の組み立て方も変わってきますし。結局5Rだと、やっていくうちに差がどんどん開いていくんですよね。長距離走みたいな感じというか。短距離走だとどんなに速くても、例えば100メートル走でウサイン・ボルトの記録って10秒を切るぐらいで、でも我々が本気を出して走ったとして、成人男性の平均って14~17秒ぐらいという話なんですよね。その差って、そこまでつかないじゃないですか。でも長距離になってくると、もっとどんどん差が開いてきますよね。そこがムエタイの魅力かなと思っていて。

 

──確かにフルマラソンだと、何時間という差が開きますね。

 

重森 ですよね。そこに私の強みがあるかなと。ディフェンス面だったり、攻撃面だったりとか、そういうところの小さな差がちょっとずつ出てきて、最後には大きな差になるんじゃないかなと思います。

 

──ただ、KNOCK OUTの大会の中で行われる試合ということは考えないですか?

 

重森 そこはもちろんあるんですけど、でも、今回見せたいのはムエタイかなと。逆に、それこそKNOCK OUTのファンの方々にムエタイの魅力というのがまだまだ伝わってないので、そこを伝えられるいい機会を与えてもらえたなと思っています。だから、つまんないムエタイをするつもりは全くないんですよ。こんなに面白いムエタイがあるんだよっていうことを伝えていきたいです。

 

──REITO選手の話に戻りますが、ここに気をつけたいという部分はありますか?

 

重森 彼はパンチで倒すことが多いのかな。左ストレートとか。あとは左ハイとか左ミドルとか、向こうはそのあたりに自信があるんだとは思います。でもそれって、結局相手と身長差があって成り立ってるというところもあるんですよ。今回、私とは身長差がほとんどないので、そこでその技がどこまで効くのかなと思います。向こうは私とやると、非常にやりにくいと思いますよ。彼にとって、相性は悪いんじゃない?という感じです。

 

──いつもの相手のようには戦えないよ、と。

 

重森 そうですね。もちろん、警戒するところは得意技だったり、よく倒してる技っていうのは光ってますけど。でも結局、5Rのムエタイになると誤魔化しが効かない総合力の試合になってくると思うので。総合力とか経験とか、その部分では絶対負けないと思うので。

 

──これが今年一発目の試合になりますが、ここで勝つ前提で、今年はこうしたいと思っていることはありますか?

 

重森 もっと選手としての魅力を出したいなと思いますね。それこそ5Rのムエタイでキレイな試合を見せたいというのももちろんありますけど、じゃあオープンフィンガーのREDルールに戻ってきた時には、行くべきところでガッツリ行ったりとか、いろんなルールでいろんな魅力を出せる選手になりたいなと思います、今年は。

 

──それから、年末にあまり本意ではないだろう場面で明らかになってましたが、今はメンタルトレーナーもされてるんですね? 資格を取ってということなんですか?

 

重森 はい、そうなんです(笑)。もともと私のことを応援してくださっているスポンサーの方が「お前は考え方が変わったら絶対に強くなる」って言ってくれて、俺が金出すから経営者コーチングの講座にちょっと行ってこいと。その講座って経営者向けの6回コースで、1回10万円ぐらいするんですよ。それを受けさせていただいてから、本当に調子がよかったんですよ。格闘技だけじゃなくて、人生の向き合い方とかもいろんな面で変わったので。なので追加で2回ぐらい、今度は自分でお金を払って受けに行ってたんです。

 

──それは本格的ですね。

 

重森 本当に、メチャメチャ効果があったんですよ。だから、アスリートだけじゃなく、社会人もそうだし、それこそ挑戦する全ての人に対して、ちょっと何か面白いことができるんじゃないかなとおもって、いろいろやらせてもらってるんです。

 

──そういうことでしたか。

 

重森 その中で、ちょっと悩んでいる女子選手がいて、年末の前日会見で思わぬところで名前が出てきたんですけど(笑)。それはちょっと、コーチングとは違った感じではあるんですけど。でも、マジでこれだけ言わせてほしいのは、「刑事事件にしろ」みたいなことは、私はマジで言ってないですから!(笑)

 

──分かりました(笑)。

 

重森 ただ、その方にとって「じゃあ一番なりたいものは何なの?」とか「一番理想の環境は何なの?」ということをちょっと整理させていただいた結果として、その方の一番がああいう形になったのかなという感じですね。

 

──ではこれからも、自分の選手生活にも役立てながら、他の選手の手伝いもしていくと。

 

重森 はい。他の方の手伝いというのももちろんですけど、結局全ては自分に返ってくるものなので。だから非常にいい経験というか、いい出会いだったなと思います。声をかけてくださったスポンサーの方には、本当に感謝ですね。人生を変えられた感じが本当にしています。

 

──ではもともと勤務している会社と、現役選手と、それからメンタルトレーナーも加わって、今は三足のわらじという状態なんですか?

 

重森 まあ、そうですね。あとはジムのトレーナーにも入ったり、パーソナルも入ったりしているので、何足とかいう感じじゃないんですよね。職業で分けるというよりも、全部合わせて「重森陽太」みたいな感じでいきたいですね。結局、全部繋がってるので。それに正社員として会社でやっているのも人事の仕事なので、それもメンタルトレーナーの部分と繋がるところがかなり多いんですよ。もう全部が繋がっているのかなという感じはしています。

 

──その中で、2月15日はまた選手としてリングに上がると。

 

重森 本当にそんな感じです。全ての繋がりが、本当に自分を強くしてくれていると思います。

 

──そして、もうすぐお子さんが生まれるとお聞きしました。

 

重森 はい、3月頭ぐらいに生まれる予定なんです。チャンピオンになって子供を迎えたいなと思っているので、そういった面でも、ちょっと今回はいつもより気持ちが強めです。負けようがないというか。今回の試合は特に気持ちを入れて準備もしてますし、本番も強い気持ちで挑めるんじゃないかなと思いますね。

 

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

重森 私は以前に所属していたジムでもラジャダムナンのタイトルマッチを経験させていただいたりしていて、やっぱりムエタイをやらせたら強いという自信がありますし、しっかりと世界でムエタイの魅力を伝えたいというのももちろんあるんですけど、今回は4年ぶりにREITO君と試合ができることを、けっこう楽しみにしているんです。いい子なので、彼とまた戦えるのは楽しみですね。

 

──分かりました。ありがとうございました!

 


プロフィール
重森 陽太
生年月日:1995年6月11日生
所属:KNOCK OUTクロスポイント吉祥寺
出身:東京都稲城市
身長:181cm
戦績:61戦44勝(19KO)11敗6分
UNLIMITED 戦績:1戦1敗
第2代KNOCK OUT-REDライト級王者
WKBA世界ライト級王者
新日本キックボクシング協会バンタム級王者
新日本キックボクシング協会フェザー級王者