「終わり良ければ全て良しという言葉が正しいのであれば、凄くいい格闘人生だった」

 

4・18「REMY presents KNOCK OUT.63 KNOCK OUT SPRING FES in OKINAWA」の[渡慶次幸平 引退記念スペシャルエキシビションマッチ/3分1R]で鈴木千裕と対戦する渡慶次幸平。渡慶次はMMAからミャンマーラウェイにチャレンジし、ラウェイで確固たる地位を築き、現在はクロスポイントで後進の育成に尽力している。地元沖縄、そして戦友と言える後輩=鈴木千裕との引退エキシを目前に控えた渡慶次に話を訊いた。

 

──引退記念スペシャルエキシビションマッチが近づいてきました。今の心境はいかがですか?

「今回、試合するにあたってエキシビションで契約体重もないんですけど、しっかり71kg、RIZINのライト級までは落とそうと思って減量しているんですよ。ただ指導中は自分の練習をしないんで、練習をせずに体重を落とす減量を初めてやってます。いわゆる世の中で言うダイエットなんですけど、めちゃめちゃしんどいですね。運動で体重を落とせないのがこんなにキツいとは思わなかったです(苦笑)」

──今回は地元沖縄での引退エキシですが、最後に沖縄の人たちの前で戦いたいという想いがあったのですか?

「どこかであったというよりは、今回沖縄でKNOCK OUTをやるという中で引退式をやりたいという気持ちがずっとあって。会場(沖縄コンベンションセンター)が沖縄では大きな会場で、本当に有名なアーティストさん、安室奈美恵さんなんかがライブをやるような場所なんですよ。そこでKNOCK OUTをやることになって、会長(山口元気)が『引退式をやるのはどう?』と言ってきてくれたんで、『引退式だけ見に来てもらうのも、切符を買ってもらうのも申し訳ないので試合を見せます』と。そこで『やっぱり引退だよね?』みたいなダルダルの体で試合を見せるのは違うなと思うので、ちゃんと絞っています」

──エキシの相手に千裕選手を選んだのは渡慶次さんからの指名だったんですか?

「誰でも良かったんですけど、強いて言うなら沖縄で最初に教わった砂辺光久さんにお願いしたかったんですよね。そしたら砂辺さんが大会翌日のLemino修斗で試合が決まっていて、これは無理だなと。それで会長に『誰がいいですかね?』と話したら、会長が『千裕がいいんじゃない?』と言ってくれて。それで千裕がOKを出して決まった感じです」

──渡慶次さんにとって千裕選手はどんな存在ですか?

「戦友に近いですね。2人とも食えない時代を一緒にやってきたというか、一緒に戦うわけじゃないけど、同じ時代を戦って上がってきて。あいつはババッと僕より先に行っちゃったですけど、本当に戦友って感じですね」

──最後に千裕選手と拳を交えることも含めて、渡慶次さんにとってどんな格闘技人生でしたか?

「終わり良ければ全て良しという言葉が正しいのであれば、凄くいい格闘人生だと思うし、僕も千裕も不遇な時代と言ったらあれですけど、一部の人間を除いてつまらない、上手くいかない、稼げないのがプロ格闘技の世界じゃないですか。でも僕の場合は途中でミャンマーラウェイに行って、千裕はMMAからKNOCK OUTに1回戻って、ちゃんとKNOCK OUTでタイトルを獲ってRIZINに出てっていう。そういう意味で僕は山口さんに凄く感謝しています。だから今回の引退試合もそうだし、自分のセカンドキャリアというか、引退後はクロスポイントのために。山口さんがKNOCK OUTで色んなアイディアを出して選手が活躍する舞台を作ることにもっともっとパワーを注げるように、僕がクロスポイントを仕切っていこうかなと。そういう形で山口さんを支えていきたいと僕は考えていますね」

──キャリアの中で転機となったのはラウェイへのチャレンジですか?

「最終的にラウェイが一番戦績として多くて、22試合やっているんですよ。その次が多分MMAの16~18戦なんで、完全に僕はラウェイの人です」

──改めてラウェイは危険な格闘技ですよね。

「最初は度胸試しで1~2回ぐらいラウェイに出て、そこで箔をつけてMMAに戻る予定だったんですよ。でもラウェイはファイトマネーが良かったし、自分自身も凄くラウェイに水が合っていましたね。僕は打撃の痛みには強いし、素手で殴られても脳みそが揺れないんで倒れないんです。それにラウェイはストップも遅くて、切れても止めないし、そういうところが自分的にラウェイにハマったと思います。あと自分は格闘技で(地上波)テレビとかに出られる選手になりたくて、ラウェイでチャンピオンになったらテレビに出られるんじゃねえの?と思っていたら、本当に出られましたからね」

──人気番組の「クレイジージャーニー」にも出てますよね。

「僕、地上波で4番組ぐらいで特集されているんですよ。そのうちの一つが『クレイジージャーニー』で。多分、現役の格闘家でそこまでしっかり地上波でやってもらっている選手はいないと思います。それこそ那須川天心、武尊、井上尚弥くらいじゃないですか。そう考えるとやっぱり僕はラウェイの人ですね」

──しかもそういう過酷な競技をやっていながらも、今はコーチとして後進の育成に当たっているという。

「逆にだからだと思いますね。よく『名選手、名指導者にあらず』と言いますけど、僕はMMAでは名選手ではなかったと思うし、上手くいかないことが凄くたくさんあったんです。だから教えられることがたくさんある。で、これからMMAをやる子たちにこうすれば上手くいくよとアドバイスするよりは、今上手くいってない子たちにアドバイスできるって感じですね。だからうちのジムは途中で転んで辞める子が少なくて、転んでもやり続ける子が多いんです。そういう意味では自分の経験が活きているなと思うし、それは千裕も一緒ですね。僕が上手くいっていないときにラウェイに行かされて、ラウェイで昇っていくところを千裕はずっと見てきたと思うので。僕がラウェイでチャンピオンになったのが2018年で、そこから格闘技で食えるようになったんですよ。千裕が活躍し出したのはその少しあとぐらいだと思うので、そういう意味ではいい運命を走っていますよね」

──指導者としての活動もある中で、最後に戦う姿でどんなことをお客さんや見ている人たちに伝えたいですか?

「コロナ禍の後に格闘技チケット代がバッと上がったじゃないですか。今回のチケットも決して安くはないんですよね。だからそれだけの価値があるものにしたいですね。お金を払って見に来て良かったと思ってもらえるようにやるのがプロの仕事だと思うので、それを見せたいです。で、理想を言えばまだできんじゃんと言われたいし、それで辞めるのが一番カッコいい。『もう辞めた方がいい』や『やっぱり辞めた方がいいよ』と言われて辞めるんじゃなくて、みんなに『もうちょっとできるんじゃない?』と言われるようなパフォーマンスが出せれば本望です」

 


プロフィール
渡慶次幸平
生年月日:1988年6月4日生
所属:KNOCK OUTクロスポイント吉祥寺
出身:沖縄県豊見城市
身長:170cm
戦績:5戦2勝(2KO)3敗
2018 ミャンマーラウェイ 75kg級世界王者