「私たちの試合が一番血まみれになりそうですよね。コスパのいい試合」

 

3・14「MAROOMS presents KNOCK OUT.62」の[KNOCK OUT-RED 女子-52.5kg契約/3分3R]でエミリー・チャンと対戦するNANA。相手の強さを恐れつつ、真っ向から勝負する気満々の彼女は、かなりの覚悟を持って試合に臨むようだ。その中身とは?

 

 

 

──KNOCK OUTでは7月のザリーナ・イスラモバ戦以来ですね。あの試合を今、振り返ると?

 

NANA 今思い返しても、ザリーナは強かったなと思います。そういう、強い外国人が日本で見れるってすごいですよね。

 

──NANA選手は、対戦した本人ですよね(笑)。

 

NANA そうなんですけど(笑)、弱い選手とやるよりは全然いいので。やってみて、ザリーナは速かったですね。強さとかパンチの重さとかはあまり感じなかったんですけど、あの速さにはけっこう面食らいました。いろんな技も出てきて、多才でしたし。ああいうタイプとは練習すらしたことなかったです。今までにも対戦した海外の選手とも、リズムが全然違いましたね。

 

──あの試合を踏まえての改善点というと?

 

NANA いろんな技を練習でもやるようになりました。回転蹴りとかはさすがにできないんですけど、もっと蹴ったり、組んでの攻撃もそうですけど、離れたところからのステップインとか、ステップを使った練習を増やすようにしました。

 

──それを実戦で使うにあたっての手応えはどんな感じですか?

 

NANA 今、オープンフィンガーグローブ(OFG)でもスパーリングしてるんですけど、ステップを使ってずっと動き続けられたら、けっこういい形になるんじゃないかなと思ってます。ただ、試合になると前に出ちゃうんですよね(笑)。いつも行き過ぎて怒られるんですけど。

 

──これまでも試合になるとそうなっちゃっていた?

 

NANA そうですね(笑)。「1Rは見て!」ってよく言われるんですけど、「3Rしかないから1Rから行かなきゃ!」みたいな。

 

──実際、あんまり見てないですよね。

 

NANA あんまり見てないです(笑)。もったいないじゃないですか。10Rぐらいやらせてくれるんだったら、もっとゆっくりやれるんですけど。

 

──なかなかそうもいかないと思いますが(笑)。その後、10月には世界戦があって、12月にはボディメイクの大会に出られたんですよね?

 

NANA はい。10月はけっこう暴れられて、自分の中では楽しくできた試合で、よかったなと思います。その後にボディメイクの大会に出たんですけど、もう試合後のそのままの体でやってみたって感じです。部門がいろいろあって、ブラトップとレギンスの部門で6位に入賞したのと、「ベストアスリート賞」みたいなものをいただいて。たぶん、大会の中で一番体はデカかった気がします(笑)。

 

──直接殴り合うのとはまた違う競い方ですが、そこはどうでしたか?

 

NANA すっごい疲れましたし、緊張しましたし、練習もすごくキツかったんですよね。それこそポージングの練習とか、毎日筋肉痛になって。やってみて、「ボディメイクってこんなにすごい大変なことやってるんだ!」って思いましたね。

 

──今後も続けるんですか?

 

NANA いや、どうですかね? 4月に第2回大会がまた横浜で開催されるらしいんですけど、それはちょっと準備期間が短いので、とりあえず観戦に行くつもりです。普段は太りすぎちゃうので、コンディション作りも兼ねてみたいな感じでやれたらと思っています。

 

──キックボクシングについても、区切りをつけるとか、いろいろ発言されてますよね。実際、今のところはどういう方針なんですか?

 

NANA もう毎日練習がキツすぎて、「一刻も早くやめたい」って、毎日言ってるんですけど、マッチメイクしてくださってる方から「やめさせねえよ」って言われてて(笑)。6月に他団体のオファーをもらってるんですけど、それがどうなるかという感じですね。それが終わったらちょっと一年間ちょっとお休みするか、そのままフェードアウトするかは本当に決めてなくて。そのまま別に、引退試合とかしなくてやめてもいいなって私は思ってるんですけど。やりたいなと思う選手がいればやりたいですけどね。

 

──では6月に1試合して、少なくともそこから1年間は試合しないし、そのまま……という可能性もあると。

 

NANA はい、そうです。

 

──ただ、今回の大会もそうですし、KNOCK OUTでは今、女子の試合をどんどん増やしていこうという感じになってますよね。その中でベルトができる階級も増えるかもしれない。そこはどうですか?

 

NANA どうですかね? 私の適正階級が、53.5kgだとちょっと大きいんですよ。その下、52kg近辺が一番いいんですけどね。それか今、KNOCK OUTのリングでもWBCムエタイの王座戦をやってるじゃないですか。私も一応ランキングにも入れてもらっているので、それができるんだったら、全然引退しないんですけど。

 

──ではモチベーションが保てるマッチメイクがあるかというところが、一番大きいと。ただ、1年休むことは決まってるんですね?

 

NANA はい。社会福祉士の国家試験を来年受けることになっていて、それに伴って実習に行かなきゃいけないんですね。今まで通信制の大学でやってたんですけど、試合とかぶって、実習に行けないまま卒業だけしちゃったんです。それもモチベーションがある時にやっておきたくて。ちょっと、これ以上打たれすぎたら覚えられなくなるので(笑)。

 

──それは何とも言えないですが(笑)。で、今回はエミリー・チャン選手とのREDルールでの対戦ですけども。相手の印象は?

 

NANA 山口さんってちょっと意地悪ですよね。あんな相手を出してきて。

 

──というと?

 

NANA 最初に動画をいただいたのが、去年ザリーナとやったカンボジアの女の子だったんですよ。あのスピードだったら初めてOFGでやるのにちょうどいいなと思ったので、自分から「OFGでお願いします」って言ったんです。契約体重も54kgでって言われたんですけど、「それでもいいのでお願いします」って言ったら、「ちょっと家族の事情で相手が変わりました」と。それで出てきたのがエミリー・チャンで。でも自分から言ったから、もうどうにもできないじゃないですか。「やっぱりやらないです」はないので。だから、どうにかならないかなって、今も毎日思ってます。

 

──そうですか(汗)。

 

NANA それぐらい、無事には帰れないなとは思ってますね。パンチが強くて回転が速いのと、躊躇なくヒジを振ってくるので。そういう前に出てくる選手って、あんまりやったことないんですよ。だから根性比べみたいな試合になると思います。

 

──でも、自分が前に出るのは変わらない感じですか?

 

NANA そうですね。前に出させてもらえれば、もう自分の試合になると思うので。出させてもらえなかった時は、それこそ練習してるステップワークとかスピードとかを少し出せればなと思ってます。どんな形でも、勝てるようには練習しています。

 

──先ほどは、練習している内容が試合で出せればという話でしたが……今のを聞くと、「まず前進」なんですね。

 

NANA もちろん、まず前進です。当たらないじゃないですか、自分が小さいから。で、練習してる内容も両方できたら一番いいんですけど……でも結局は、打ち合うところをみんな見たいじゃないですか。

 

──まあ、そうですよね。

 

NANA 上手に当てて、うまく立ち回ってというのができればカッコいいですけど、キレイな戦い方、それこそ壱・センチャイジム選手とかみたいな、フィームーと言われるような感じはたぶん、私には求められてないので。ズタズタでドロドロになっても、やっぱりやらないといけないですよね。

 

──使命感みたいになってますね(笑)。

 

NANA そう、もう門番みたいなもんだと思うので、たぶん。

 

──それはそれで頼もしい発言ではありますが(笑)。では、そういう試合になってでも勝ちをもぎ取りに行くというところは、もう変わらない?

 

NANA 本当にそうですね。もう血まみれになっても勝つしかないと思ってます。

 

──今大会は女子の試合も多く組まれていて、他にもREDルールもありますし、UNLIMITEDもあります。そこはどう思っていますか?

 

NANA けっこう、勝敗予想はしやすくないですか? 私と堀田優月選手には、けっこう強いの当ててくるなと思いました。NJKF勢にはキツいなって。その印象が強いですね。

 

──NJKF勢だから、ミネルヴァだからということはないですよ(笑)。

 

NANA まあ、私が堀田優月選手推しなので、ぱんちゃん璃奈選手と早くやってほしいなと思ってます。まあそれはともかくとしても、私たちの試合が、一番血まみれになりそうじゃないですか。見てる人にとっては、一番コスパのいい試合。

 

──コスパ(笑)。

 

NANA UNLIMITEDもやってみたいなって、去年ぐらいまでは思ってたんですけど、今は「ムエタイルール楽しいな」になっちゃってるんですよね。

 

──練習していて楽しいんですね?

 

NANA 楽しいです。いや、全然楽しくないんですけど、練習で泣かされてる分、試合でのムエタイルールは10月にもやって、やっぱり楽しかったですね。

 

──練習で溜まったストレスを試合で相手にぶつける感じで。

 

NANA そうですね。毎日キツいのは相手のせいなので。

 

──OFGでの練習はどうですか?

 

NANA 今のところ、やりやすいとしか思ってないですね。相手してくださる方の顔がどんどん鼻血まみれになっていくので。逆に自分が、試合でそうなるんじゃないかっていう恐怖はありますけど。まあでも、自分はパンチのある選手とあまり試合したことがないし、エミリー・チャンはたぶん、やられたらやり返すタイプの選手だと思うので、根比べが楽しみですね。

 

──そして理想は、やっぱり倒して勝つことですか。

 

NANA でも私、倒したことないんですよね。ダウンを取ってもKOできないっていうのがずっとあって。そのストッパーみたいなのが取れるかなと思って、OFGでお願いしたんですよ。だから今回、初KOしたいですね。

 

──REDルール、初OFGで初KOとなると、一番理想的ですね。

 

NANA 最初で最後のKOにならないように(笑)。でもそれを狙って、ずっと練習してるので。一発というか、コツコツ当てて。コツコツコツコツ当てて倒すつもりです。

 

──では最後に、今回の試合で一番注目してほしいポイントはどこでしょう?

 

NANA やっぱり組みありのOFGじゃないですか。だからたぶん、ずっと接近戦だと思うんです。組み際の攻撃とか、一瞬たりとも気を抜けないっていうピリピリした試合になると思うので、その中での根比べを見てほしいです。見てるお客さんも気を抜かないで、次の日筋肉痛になるぐらいにできるように頑張ります。

 

──分かりました。ありがとうございました!

 


プロフィール
NANA
生年月日:1990年6月10日生
所属:エスジム
出身:北海道三笠市
身長:158cm
戦績:25戦16勝7敗2分
ミネルヴァスーパーフライ級王者
WMA世界女子スーパーフライ級王者