渡慶次幸平「試合には負けたけどベストは尽くせたと思う。石原海星の試合には感動した」
4.4「U-NEXT presents THE KNOCK OUT FIGHTER.7」で行われた[UNLIMITED最強ジムはどこだ!ジム対抗3vs3トーナメント]で、KNOCK OUT クロスポイントは準決勝でBattle-Boxに敗れた。勝敗だけで言えばBattle-Boxの下田蓮に3人抜きを許す結果だったが、いずれもスプリット判定にもつれる接戦で、どちらが勝ってもおかしくない戦いだった。この戦いを渡慶次幸平コーチ、出場3選手に振り返ってもらった。
渡慶次幸平「試合には負けたけどベストは尽くせたと思う。石原海星の試合には感動した」
――[UNLIMITED最強ジムはどこだ!ジム対抗3vs3トーナメント]準決勝でBattle-Boxに敗れるという結果でした。あの試合を振り返ってもらえますか?
「Battle-Boxの先鋒で出てきた下田(蓮)君が強いので、先鋒の(石原)海星が勝つのは難しいだろうなと。中堅の(古仲)丈太で下田選手を止めて、あとは大将の藁谷(兼介)さんで残りの相手に勝てれば、という感じで考えていました。でも正直勝つことよりも今できることを出してほしいという感覚だったので、試合に負けたことは悔しいですけど、ベストは尽くせたのかなと思います」
――選手たちにも試合を振り返ってもらっているのですが、石原選手の動きが準々決勝とは別人のように良くなっていた印象でした。渡慶次さんは練習の段階でもそういった変化は感じていたのですか?
「KNOCK OUTはテレビ(TOKYO MX1)でも放送されているので、そうやってメディアに出ることはでかいですよね。やっぱり選手はメディアに出ると頑張ることが出来る。それは何でかと言うと、自分を見てくれる人や声をかけてくれる人、応援してくれる人が増えるから。そういう人が多ければ多いほどシンプルに頑張れることが出来るんです。当然それでも頑張らない人はいるけど、うちの選手は3人とも頑張った。結果は3連敗でしたけど、3試合とも判定は2-1じゃないですか。だから『これで負けだったか』という感じですね」
――メディアに出ることはただ目立つというだけではなく、練習に対するモチベーションにもつながるわけですね。
「僕自身もそうだったんですよね。KNOCK OUTは今ものすごく成長してる団体だと思うんですけど、その理由の一つがメディア戦略だと思います。テレビでレギュラー番組があって毎週試合が放送される。そういうところに選手は集まってくるし、KNOCK OUTはそれを選手にも還元してくれる団体じゃないですか。そこは本当に選手ファーストな団体だなと思います」
――渡慶次さんはそれを指導の現場で感じているわけですね、
「だってアマチュアなのに賞金100万円とかもらえるんですよ? 僕らからしたらふざけんなよと思いますよ(笑)。だから今の子たちにはこんなにお金を稼げるんだから、もっと頑張ってほしいですよね」
――今回はチーム戦・勝ち抜き戦という形の試合でしたが、実際にやってみてどんな感想を持ちましたか?
「めっちゃいいですよね。KNOCK OUTの専売特許になると思います。例えばヘビー級でやったら、めっちゃ面白いと思いますよ」
――UNLIMITEDルールや1R3分という試合時間とも相性がいいですよね?
「お互いに勝負をかけますからね。また勝ち抜き戦は最後の一人が勝つか負けるかというルールなので、勝った選手を戦略的に引っ込めることも出来るわけじゃないですか。選手以上に監督の力も試される試合形式だなと思いました。また試合以外の部分もテレビで放送されるし、監督はただチームを勝たせればいいわけじゃなくて、コメントも考えなきゃいけない。そうすると一監督・一選手のラインを超えると思うし、それがあることでプロの格闘技としても成り立つんじゃないかなと思います」
――まさに新しい格闘技のフォーマットとして可能性を感じる大会でしたね。
「今回はジム対抗戦でしたけど、いずれ団体対抗戦とかが出来たら、本当に東京ドームが埋まるくらいの可能性はあると思いますよ」
――トーナメントに出場したKNOCK OUT クロスポイントの選手たちにはどんなことを期待したいですか?
「あの日一番頑張ったのは海星で、あとの2人はもっとできるというか。2人とも実力は出したんだけど、海星は実力以上のものを出したから、あっぱれで言うと海星だけですね。僕は海星の試合で感動しましたから。逆にあとの2人はこんなもんだったかという感じで、感動はしなかったです。やっぱり人を感動させる戦いができる選手がプロで、強い弱いは大事だけど、僕はそれ以上に人の心を動かせるかどうかが大事だと思うんですよ。人を感動させられる選手は限られているし、僕は海星はそれが出来る可能性を持った選手だなと思って見ていました。だから海星は引き続き頑張れ、藁谷さんはもっと頑張って、丈太は崖っぷちだから本人がここで頑張るかどうか。僕は割りとドライなスタンスなので、頑張るヤツのことは応援もサポートもするけど、頑張らないヤツのために使う時間があるなら頑張ってるヤツに時間とパワーを注ぎたいです」
――今回のトーナメントを通して渡慶次さんの指導哲学を垣間見た気がします。
「無理やり(試合や練習を)やらせるものではないですからね。でも今回の大会で僕は本当に石原海星に感動したんで。あいつがどこまで出来るのかは楽しみにしているし、あいつが頑張る限り、僕もあいつを強くします」
藁谷兼介「団体戦は自分一人の勝ち負けだけのメンタルじゃない。いい経験が出来た」
――[UNLIMITED最強ジムはどこだ!ジム対抗3vs3トーナメント]準決勝のBattle-Boxとの対戦では大将として登場し、下田蓮選手にスプリット判定で敗れるという結果でした。
「悔しいですね。思ったよりも後半、パンチが効いちゃって。前半は上手くコントロールできたと思うんですけど、後半は足が動かなくなって…悔しさが残りました」
――後半ガクンと動きが落ちたのはそういった理由があったんですね。
「あとでスロー映像を見た時に、自分がストレートを打って体が流れた時に、耳裏あたりに2発ぐらいパンチをもらってるんですよ。そこからちょっとブラックアウトしたというか、『うわっ…』となりましたね」
――藁谷選手の敗戦でチームとしても敗退が決まりました。試合が終わったあとはどんな心境でしたか?
「悔しかったんですけど、すぐにやり返したいと思って、その気持ちの方がデカかったかもしれないです」
――準々決勝に続いて勝ち上がるためには負けられないシチュエーションでしたが、プレッシャーはなかったですか?
「特にはなかったですね。今回は3人抜きしないとチームが敗退する状況でしたが、腹を括ってやるしかない立場だったので、覚悟を決めてリングに上がりました」
――試合当日のチームの雰囲気はいかがでしたか?
「計量から試合まで結構時間があったんで、みんなリラックスしてましたね。試合当日になって、みんなちょっとずつスイッチが入っていった感じです」
――チーム戦・勝ち抜き戦という形の試合でしたが、実際にやってみてどんな感想を持ちましたか?
「企画としてはめちゃくちゃ面白かったと思うんですけど、やる側としては次は普通のワンマッチがいいです(笑)」
――どこにチーム戦・勝ち抜き戦の難しさを感じましたか?
「自分一人の勝ち負けだけのメンタルじゃないというのと、今回自分に試合が回ってきた時は相手が疲れていて僕が有利だったと思うんですけど、逆のパターンもあるわけじゃないですか。そういうことを考えたら…団体戦はしんどいです。だから対戦相手ですけど3人抜きした下田選手は相当気持ちが強いと思いました。しかも次の決勝でも試合に出てたので、相当なメンタルの強さだと思います」
――自分以外の勝ち負けを背負って戦うことはプレッシャーになりましたか?それとも力になりましたか?
「両方ですね。自分より前の選手が負ければ自分の負担も大きくなりますが、逆にお互いを助け合って戦うことも出来たんで、それはそれでいい経験になったと思います」
――通常ではない試合形式でしたが、どんなことを経験することが出来ましたか?
「(前回の試合で)UNLIMITEDルールの試合に出始めて3戦目で、今まで打撃で勝ってきたんですけど、レスリングもちゃんと混ぜて戦った方がいいんだなということを理解した感じですね」
――また機会があればUNLIMITEDルールにも再挑戦したいですか?
「次もUNLIMITEDルールのオファーをもらっているんで、そこでまずしっかり勝って、上位の人たちに絡めるようにやっていきたいです」
――今回のチーム対抗戦・勝ち抜き戦は非常に盛り上がる大会になりました。今後も継続してやってほしいという気持ちはありますか?
「見ている分には楽しいので、全然ありですが、試合をするのは大変なので、自分は出ないと思います(笑)。見る側やサポートする側で参加したいです」
古仲丈太「伝統派空手時代の団体戦を思い出した。このルールでリベンジしたい」
――[UNLIMITED最強ジムはどこだ!ジム対抗3vs3トーナメント]準決勝のBattle-Boxとの対戦では中堅として登場し、下田蓮選手にスプリット判定で敗れるという結果でした。あの試合を振り返ってもらえますか?
「やりたいことは明確にあって、3分という短い試合時間だったので、右のローを蹴っていこうと思っていたんです。そこはちゃんと出来ていたんですけど、下田選手に右ストレートを合わされてダウンしてしまって……。そこから蹴りが出なくなってしまいました。試合の振り返りで言えば、そこですね。もっと自分を信じて突き通すべきだったと思います」
――今回は中堅戦での試合でしたが、先鋒戦はどのように見ていましたか?
「僕の予想以上に海星くんが攻めて戦っていて、下田くんはちょっと調子が良くなかったのかと思ったんですよ。だからいけるかなと思っていました。正直、マインド的には前日計量の時から(下田の)サイズ感も見て、絶対勝てるなという心境でした」
――チームとしては準決勝敗退となりましたが、試合後はどんな心境でしたか?
「めちゃくちゃ悔しかったですね。個人の戦いではありつつも、チーム対抗戦ということを考えると、KNOCK OUT クロスポイントを背負って代表として出ている身で、ちょっと情けない結果になってしまったなという悔しさでいっぱいでした」
――試合後のバックステージはどんな雰囲気だったのですか?
「みんなしょんぼりはしてたんですけど、3人ともスプリット判定だったし、そこまでがっつり落ち込むというよりは、また頑張っていこうという感じで、割と前向きになって次に向けてという感じで話はできたかなと思います」
――チーム戦・勝ち抜き戦という形の試合でしたが、実際にやってみてどんな感想を持ちましたか?
「素直にめっちゃ楽しい期間でしたね。伝統派空手をやっていた時も5人制や3人制の団体戦があるんですけど、その時のことも思い出しながら。リングに上がるのは一人なんですけど、バックにはコーチと同じチームの仲間がいて、相手チームのこともあるし、普段のワンマッチとは違うピリピリ感を感じることが出来ました。すごくいい経験だったなと思います」
――今回のチーム対抗戦・勝ち抜き戦は非常に盛り上がる大会になりました。今後も継続してやってほしいという気持ちはありますか?
「また自分が勝ち抜き戦をやりたいかと言われたら、難しいと言えば難しいんですけど、UNLIMITEDルールに関してはやり残したことが多すぎるので、僕としてはまたこのルールでリベンジしたいなと思っています」
――今後はどんなことを目標に戦って行きたいと思っていますか?
「去年のDEEPから負けが続いていて、メンタル的にはキツイんですけど、くよくよしていてもしょうがないというか。今の結果もプラスに考えて、負けや失敗から立ち上がって修正していく。それが大事だということを学んだので、またここから頑張るしかないですよね。とにかく今は試合に勝ちたいので、過去の負けを振り返りながら、試合に勝つことを第一目標にして結果にこだわっていきたいです」
石原海星「自分の人生の中でも全力で生きた4カ月だった。この壁をしっかりと超えます」
――[UNLIMITED最強ジムはどこだ!ジム対抗3vs3トーナメント]準決勝のBattle-Boxとの対戦では先鋒戦で下田蓮選手と対戦し、スプリット判定で敗れました。あの試合を振り返ってもらえますか?
「準々決勝に比べたら、ちゃんと相手の動きも見て作戦も立てていて、冷静に試合も運べたと思います。相手のパンチに蹴りを合わせるのとタックルでグラウンドに持っていく・投げるという戦術が結構ハマったんじゃないかなと。自分の考えていたことは全部出せたと思っています」
――準々決勝と比較して、ものすごく動きが良くなっていたと感じました。準々決勝から準決勝までの間に何か変えたことがあったのですか?
「準々決勝でKO負けという屈辱的な負け方して、自分の中でも吹っ切れないといけないなということで、準々決勝が終わってから全力で追い込んだんですよ。しかも準々決勝の時はぼんやりと勝つという目標しかなかったのが、今回はチームとして勝つことを目標にして、自分は初戦に勝つことだけを考えて、仮に自分が負けてもあとのみんなが何とかしてくれると思って戦ったんですね、そうやって試合に対するビジョンがちゃんと定まっていたことがよかったと思います」
――勝ち抜き戦において自分がどう勝つかを具体的にイメージしていたわけですね。
「はい。ぼんやりとした勝利ではなく、自分のビジョンが確実が見えていたんで、目の前の試合に勝つことだけに集中して、今回は練習することができました。そういった集中力や練習に対するモチベーションは変わったんじゃないかなと思います」
――チームとしては準決勝敗退となりましたが、試合後はどんな心境でしたか?
「自分は試合で全部出し切ったし、僕は残り2人のことを信頼して勝ってくれることを信じていました。多分THE KNOCK OUT FIGHTERで放送されると思うんですけど、僕、試合が終わったあとに号泣しちゃったんですよ。理由は分からないんですけど涙が溢れ出てきちゃって。本当に負けたことが悔しかったんで、次試合に出る時は絶対に勝つ、それを心に決めましたね」
――それだけ感情が爆発したのはチーム戦・勝ち抜き戦という形の試合だったからかもしれないですね。
「この4カ月間は自分の人生の中でも全力で生きた4カ月だったと思うし、命をかけて頑張った、命かけて挑んだ試合でした。それで負けてしまったこともそうだし、チームみんなで頑張ったのに上手くいかなかったことは、ちょっと壁にぶち当たった感じもして涙がこぼれました。でも今回の壁は乗り越えるべき壁だと思うので、しっかりと超えていくつもりです」
――通常ではない試合形式でしたが、どんなことを経験することが出来ましたか?
「自分的には今回の試合で結構感覚が掴めていて、今のところ僕は今回の試合も含めて7戦やってるんですけど、7戦とも全部、明らかに昨日の自分よりも進化していて。今回でいうと、タックルのタイミングと蹴りのタイミング、打撃を出すタイミングがカチッとハマった瞬間があったので、ここからの僕は強いと思います。まだ具体的なオファーはないので、まずはAMMACを主軸にアマチュアで戦績を積んでいくことを目標に頑張ろうと思います」
――また機会があればUNLIMITEDルールにも再挑戦したいですか?
「今回UNLIMITEDルールの試合を2戦やって、UNLIMITEDルールが分かってきたところもあるので、引き続きUNLIMITEDの試合にも出してもらえたら面白いです。次こそは石原ボンバーが出るようにいい試合をしますので、ぜひ見ていただきたいです」
――今回のチーム対抗戦・勝ち抜き戦は非常に盛り上がる大会になりました。今後も継続してやってほしいという気持ちはありますか?
「勝ち抜き戦はすごく面白いルールで、僕のチームだけじゃなくて、他のチームもすごい面白い試合してると思うし、対抗戦だからこそ出る選手のキャラやチームのカラーがあると思うんですね。だから他のジムや他のチームがやるのも見たいし、(勝ち抜き戦を)継続していけば面白いことになるんじゃないかなと思います」

