KNOCK OUT夏の祭典、代々木ビッグマッチ。

本大会の注目試合を 名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、 
今回はバウトレビューの井原芳徳氏によるコラムを公開いたします。

井原芳徳氏には KNOCK OUT-REDスーパーライト級タイトルマッチ
 「デンサヤーム・ウィラサクレック vs 久井大夢」がどう映るのか。是非ご覧ください。

バウトレビューに掲載のKNOCK OUT記事へのリンクはこちらから
https://www.boutreview.com/3/tag/knock-out

 

「好調のKNOCK OUT、選手育成基盤の申し子・久井大夢、5本目のKNOCK OUT王座狙う戦いへ」

 

 KNOCK OUTが格闘技業界において求心力を高めている。6月21日の代々木競技場第二体育館大会には、元K-1王者のレオナ・ペタス、木村“フィリップ”ミノル、大雅が参戦。5月の後楽園大会では元RISE王者の小林愛理奈がKNOCK OUTに初参戦し、わずか23秒でKO勝ちし大きなインパクトを残した。倒してからの打撃も有効なUNLIMITEDルールの試合にはスパイク・カーライルらRIZINで活躍した選手も挑戦している。鈴木千裕がKNOCK OUT王者だとは知っていても、実際のKNOCK OUTの試合をあまり見たことのない格闘技ファンの間でも、「KNOCK OUT、来てる?」と気になりだしている人たちも少なくないだろう。

 派手な話題の増えたKNOCK OUTだが、REBELS時代からアマチュア大会をコンスタントに開催し、最近では福島県の山中の常葉アリーナでの配信特化型大会で地方の選手の試合機会を増やし、地道に選手育成・発掘を積み重ねて来た。表面的な派手さだけではなく、育成基盤がしっかりしているからこそ、各方面からの信頼を得て“来てる”状態となったと言えよう。

 2005年9月23日生まれの20歳・久井大夢(たいむ)は、まさにそんなKNOCK OUTの育成基盤の申し子といえる。KNOCK OUTとの関わりはアマチュア大会からで、大人も参戦するカテゴリーで2021年から22年にかけ、3階級のトーナメントで優勝する。22年4月17日、龍聖がメインイベンターを務めた後楽園ホール大会のプレリミナリーファイト第1試合でプロデビューし2R TKO勝ち。12月の3戦目で新田宗一朗をKOし早くもKNOCK OUT-REDスーパーフェザー級王座を獲得する。
 久井の名が一気に広まったのが、24年6月の代々木での龍聖戦だろう。龍聖と対戦予定だったシュートボクシング王者の山田彪太朗が負傷欠場し、8月のKNOCK OUTの試合が決まっていた久井が急きょ代役を務めたが、1R開始わずか20秒、久井が左ストレートでダウンを奪う。久井は龍聖の猛反撃をしのぎ判定勝ち。龍聖にプロ18戦目で初黒星をつける。
 久井は予定通り8月大会にも出場すると、チョット・サレイヴァントンを1R終了間際、胴廻し回転蹴り一撃でKO。2戦連続でファンに衝撃を与える。11月の常葉大会ではロムイーサンのムエタイ技術に手を焼き判定負けするが、12月のREDスーパーフェザー級王座決定トーナメントでは一日2試合を制し優勝。昨年6月の代々木での龍聖との再戦で返り討ちにし、9月にはタイでのONEフライデーファイツに初参戦して中国の選手に判定勝ちし、世界にも活躍の場を広げている。

 

 

 現在20歳の久井はまだ体が大きくなっている最中であり、当初は適正階級を探りながら戦ってきたこともあり、様々な階級で王者となっている。肘無しのBLACK、肘有りのRED、双方のルールにアジャストできるため、試合機会が増え、久井の技術面での成長を促した。デビュー4年で27戦は、国内のキックボクサーで最速ペースではないだろうか。
 昨年6月に龍聖に勝利後、ライト級(62.5kg)に階級を上げ、12月30日の代々木大会では元K-1王者のゴンナパーに延長判定勝ちし、REDライト級王座を獲得。2月の再戦ではドロー防衛を果たす。だが4月のONE有明大会ではバンタム級(65.8kg)のリミットを2.4ポンド(1.09kg)オーバーした上に、秋元皓貴に判定負けした。ONEの場合、塩分の尿比重検査もあるため水抜きの減量が難しく、KNOCK OUTと条件が違うものの、KNOCK OUTライト級への減量も難しくなったといい、REDライト級王座を返上し、今回はスーパーライト級(65kg)に階級を上げて戦う。

 スーパーライト級初戦からタイトルマッチとなるが、久井がこれまでKNOCK OUTで4本のベルトを獲得し、タイ人との対戦経験が豊富なため、今回のRED同級王者・デンサヤームへの挑戦に異論を挟む声は出ないだろう。 
 デンサヤームは24歳。タイで活躍後、K-1で武居由樹、大沢文也、鈴木勇人らと対戦。この3人には敗れたが、23年11月から参戦したKNOCK OUTでは快進撃を続け、不可思に判定勝ちし、マルコス・リオスを左肘打ちで切り裂き2R TKO勝ちし、24年12月、良太郎に2R TKO勝ちし、KNOCK OUT-REDスーパーライト級王者となる。体調不良等の影響で1年半休養したが、デンサヤームは「しばらく離れている間に私は父親になりました。子供にみっともない姿は見せられないので、気持ちも新たに今練習しております」とのこと。KNOCK OUT名物である高額のKOボーナスも、モチベーションを高める要素となるだろう。

 


 王者に挑む久井は過去の試合でタイ人相手に手を焼くことも少なくなかったが、今回に関しては膝蹴りに自信。「スパーリングでも膝で何人も倒してきて、ミット打ちでも膝を工夫しながらやってきたので、試合では最終的にヒザで倒してやろうかなと思います」と予告する。
 勝敗の鍵となりそうなのが、やはりブランク明けのデンサヤームのコンディション、久井のスーパーライト級へのアジャスト具合だろう。キレキレのデンサヤームに久井が手を付けられないパターンも想像できるし、代々木大会4戦全勝の久井が今回も波乱を巻き起こす可能性も決して低くない。

 いずれにせよ、以前より確実に注目を集めるようになったKNOCK OUTのリングに、ここ4年、一番コンスタントに上がり続けているのは久井なのは確か。なおかつメインイベンターも度々務めてきた。KNOCK OUTが気になり出した人たちも、久井を知り、試合を見て、これからも追いかけることで、久井らKNOCK OUTファイターたちへの愛着を深めてもらえるとうれしい。


執筆
バウトレビュー
井原芳徳