KNOCK OUT夏の祭典、代々木ビッグマッチ。

本大会の注目試合を 名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、 
今回はバウトレビューの井原芳徳氏によるコラムを公開いたします。

井原芳徳氏には KNOCK OUT-BLACKスーパーバンタム級タイトルマッチ
 「森岡悠樹 vs 晃貴」がどう映るのか。是非ご覧ください。

バウトレビューに掲載のKNOCK OUT記事へのリンクはこちらから
https://www.boutreview.com/3/tag/knock-out

 

「倒し倒され、再び?森岡悠樹と晃貴だからこそ創れる、極上の「THE KNOCK OUT」の世界。

 

KNOCK OUTは後楽園ホール大会を主軸に、福島県の山中の常葉アリーナからの配信特化型大会、さらに今年なら4月18日の沖縄や8月8日の大阪といった地方大会も挟みこまれるが、6月と12月30日のビッグイベントも恒例化しつつあり、6月の代々木競技場第二体育館大会は昨年から「THE KNOCK OUT」の大会名がついている。昨年6月大会の前、山口元気代表は「RED・BLACK・UNLIMITED、全てのKNOCK OUTのルールを並べて『これがKNOCK OUTだ』というものをシンプルにファンの皆さんに見せる」と、大会コンセプトを説明していた。

 KNOCK OUTのスーパーバンタム級でRED・BLACKのベルトを持つ森岡悠樹と、初参戦の他団体王者晃貴は3月14日の後楽園ホール大会でノンタイトル戦で一度対戦済み。前回は「これがKNOCK OUTだ」と言える、倒し倒されの好勝負となったため、6月21日の代々木での「THE KNOCK OUT」でベルトを懸けての再戦が組まれるのも必然だった。
 過去にも森岡は度々、倒し倒されの戦いを繰り広げ、KNOCK OUTのリングを盛り上げてきた。特にKNOCK OUTファンの印象に残っているのが、24年12月30日の横浜武道館大会でのKICKBOXING JAPAN CUPスーパーバンタム級トーナメント決勝の壱・センチャイジム戦だろう。2R、壱にダウンを先取されたが、森岡が右と左のストレートで2ダウンを奪い返し、壱も左ストレートでダウンを奪い返し、両者残り1ダウンでKO負けというスリリングな展開となるも、森岡が壱をパンチ連打でKOし、優勝賞金300万円を獲得した。昨年6月の代々木では壱がREDスーパーバンタム級王座を懸けて再戦し、森岡が累計5ダウンを奪って3R KO勝ち。森岡は9月のBLACK同級王座決定戦でも福田拓海を1R KOし2冠を達成する。11月の常葉大会でもカンボジアのサン・ラデットとダウンの応酬を繰り広げた末に判定勝ちし、必ずダウンを奪った上で勝つ試合を重ねて来た。
 そんな森岡が今年3月の後楽園でのメインイベントで迎え撃ったのが晃貴。K-1 GROUPでは無冠だったが、昨年6月、Bigbangで良星に判定勝ちしスーパーバンタム級王座を獲得し、12月にはサンチャイ・TEPPENGYMに2R TKO勝ち初防衛。他団体参戦をきっかけに勢いづく状況で、今年3月、KNOCK OUTの八角形リングに乗り込み、いきなりインパクトを残した。

 

 

3月の初対決で先にダウンを奪ったのは森岡だった。1R、晃貴がプレッシャーをかけ、長身の森岡が距離を取る、比較的静かな立ち上がりだった。すると森岡が晃貴のパンチのカウンターでの左フックでひるませ、さらに右フックを当てて倒し、一気に試合が動き始める。レフェリーはダウンを宣告したが、晃貴は「効いていなかった」「もう取り返すしかないと思ったので、前に行けました」といい、森岡のラッシュを耐え、再び前に出返すと、パンチの打合いに持ち込む。一旦離れ、森岡が左ミドルを空振りした直後、晃貴が右カーフキックを当てると、流れは晃貴へ。バランスが一瞬崩れた森岡のガードの隙間から、晃貴が左フックをヒット。下がった森岡が右フックを振うと、晃貴がカウンターの右フックをクリーンヒットする。森岡は大の字になって倒れ、レフェリーがストップした。
 KOタイムは1分55秒。短い時間だが、ちょっとした隙やミスが命取りとなり、逆に相手はそこを突いて流れをつかみカウンターを決める。ケンカの延長線上の殴り合いではない、確かな技術のある「プロ」同士が生んだ濃密な倒し合いだった。山口元気も大会後のインタビューで「森岡選手が行ったからこそのあの試合内容になったし、晃貴選手も素晴らしかった。控室で森岡選手に『勝ち負けじゃなくKNOCK OUTを体現してくれた』と言いました」と両者を称えた。

 

 

 そして組まれた森岡のベルトを懸けての6月21日の再戦。前回勝った晃貴だが「前回は前回で別物」「森岡選手も気合いが入っていて別人みたいな感じで考えています」と気を引き締める。「今回は森岡選手との勝負ですけど『THE KNOCK OUT』に出る選手全員との闘いでもあると思ってます」という発言は、K-1では格上だった大雅、木村“フィリップ”ミノル、レオナ・ペタスを意識してのものだろう。4月には先輩の武尊がロッタンを倒し、有終の美を飾ったことからも刺激を受け「武尊君の後を継ぐような選手に自分はなります」と話す。
 森岡は前回「仕留めに行くか少し待つかで迷いが出てしまった」と反省し、「展開は同じで結果だけ変わります」とリベンジに自信。「前回は自分が早く倒されてしまったので、その部分ではちょっと盛り上がりに欠けたかなと思っているんですよ」と、前回以上の修羅場を予告しつつ「もっとお互いが全部を出し切れば、K-1から出る選手とかも関係ないぐらい、最高の試合になると思っています」と、晃貴同様、ビッグネームへの対抗意識を覗かせ、「リマッチでベルトも懸かっていて、そこで勝ちを拾いにいくようなヤツはKNOCK OUTの王者じゃない」とも豪語する。

 二人ともアマチュアからの華麗なキャリアも無かった。プロになってからも順調なキャリアを歩んでこなかった。悔しい想いもたくさんしてきたけれど、今が一番脂が乗っていて、お互いの拳の感触も新鮮なまま覚えている。そんな森岡悠樹と晃貴だからこそ創れる、極上の「THE KNOCK OUT」の世界に、ぜひとも注目して欲しい。


執筆
バウトレビュー
井原芳徳