KNOCK OUT夏の祭典、代々木ビッグマッチ。

本大会の注目試合を 名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、 
今回はゴング格闘技の熊久保英幸氏によるコラムを公開いたします。

熊久保英幸氏には KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座決定戦
 「龍聖 vs 小森玲哉」がどう映るのか。是非ご覧ください。

ゴング格闘技に掲載のKNOCK OUTページへのリンクはこちらから
https://gonkaku.jp/events/NCYqSVztJC

 

「龍聖が負のジンクスをぶっ飛ばすか、小森玲哉が2年前の代々木を再現するのか

 

龍聖にとっては拭いたくても拭えない2つの負の記憶。それは、24戦のキャリアの中でたった2つの黒星だ。2024年6月23日、17戦無敗で迎えた初代KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座決定戦。対戦相手は成長著しい久井大夢だった。当初の対戦相手はシュートボクシングの山田彪太朗であったが、試合直前に負傷欠場。そこで用意されたのが、KNOCK OUTの“切り札”とも言えた龍聖vs.久井だった。しかもタイトルが懸けられることになり、この試合にさらに“箔”が付いた。


 当時の下馬評では龍聖が圧倒的に有利。正直、格が違った。KNOCK OUTの切り札的カードではあったが、このカードを切るのはまだ早すぎるのではないかという意見もあったほどだ。もっと久井が経験を積んで成長してから、頂上決戦として実現させるべきカードだ、と。しかし、蓋を開けてみれば久井が2度のダウンを奪って勝利するという大番狂わせの結果に。龍聖が倒れたシーンはいまだ衝撃的な記憶として脳裏に焼き付いている。


 前述の通り、久井vs.龍聖Ⅰは偶然実現したカードだった。それから1年後の2025年6月22日、両者は再びタイトルを懸けて戦うこととなった。今回は両陣営とも準備万端。全てが前回の初対戦とは違った。勝敗予想は五分五分か、龍聖が僅かに優勢だったかもしれない。ところが、勝敗だけは前回と同じだった。龍聖は再び敗れ、キャリア2度目の黒星を久井に付けられることとなった。


 この2試合が行われたのは、いずれも代々木第二体育館。そう、龍聖は2年続けて6月に同じ会場で同じタイトルマッチで勝つことが出来ていないのである。何ともげんの悪い話だ。もちろん、そんなことが勝敗に関係あるわけがなくたまたまなのだが、完璧を求める男・龍聖ならば、そんなジンクスみたいなものはぶっ飛ばしておきたいところだろう。


 逆に、小森玲哉としてはそのジンクスに乗っかりたいところだ。5月15日の『KNOCK OUT.64』で、両者による第2代KNOCK OUT-BLACKスーパーフェザー級王座決定戦が発表されると、小森はリング上でこう言った。「この試合、下馬評が不利なのは私が一番分かっています。ただ、何が起こるのかが分からないのが格闘技の面白いところです。全てを覆します」。このセリフ、今思えば2年前に久井が口にしていてもおかしくないセリフである。
 違いがあるとすれば、「勝ちに徹する」とした久井に対して小森は「判定決着は全く望んでいないので、倒されることを恐れてポイント勝ちに逃げるような、カリスマ性のないようなことは絶対にしないでください。倒し合いましょう」と、倒し合いを望んでいることだ。小森は10勝(3KO)とKOの数は多くないが、勝利した試合でダウンを奪っていることは少なくない。倒せる武器は持っている。龍聖が安易な打ち合いに付き合うとは考えにくいが、危険な要素であることは間違いないだろう。


 龍聖というKNOCK OUTを象徴する選手との試合、ビッグマッチのメインイベント、そしてタイトルマッチと、小森にとってはもしかしたら“ワンチャンス”かもしれない一世一代の大勝負。文字通り格闘技人生の全てを懸けて臨んでくると思われる。
 多彩な技での上中下の散らし、教科書のような美しいキックボクシングが身上の龍聖だが、“令和の暴君”は時に獰猛な姿を見せることがある。その獰猛な姿を見せた時が、小森にとって最大のピンチであり、チャンスにもなる。2年前、代々木で起こったことを小森が再現することが出来るか。それとも龍聖がジンクスをぶっ飛ばし、3度目の正直で2階級制覇を達成するのか。このメインイベント、2人の人生がぶつかり合い、とんでもない熱を発しそうだ。


執筆
ゴング格闘技
熊久保英幸