KNOCK OUT夏の祭典、代々木ビッグマッチ。

本大会の注目試合を 名だたる格闘メディアにコラム執筆を依頼、 
今回はゴング格闘技の熊久保英幸氏によるコラムを公開いたします。

熊久保英幸氏には KNOCK OUT-BLACK-61.0kg契約
 「レオナ・ペタス vs 成尾拓輝」がどう映るのか。是非ご覧ください。

ゴング格闘技に掲載のKNOCK OUTページへのリンクはこちらから
https://gonkaku.jp/events/NCYqSVztJC

 

「レオナ・ペタスと成尾拓輝はキックボクシング他流試合、“今”しか見れない戦いだ

 

“まさか”だった元K-1王者レオナ・ペタスの電撃参戦。近年、K-1から来る選手が増えている(今大会にも多く出場)が、レオナの参戦は意外だった。しかも、対戦相手はMr.フルスイングこと成尾拓輝。想像すらしていなかったカードの実現だ。


 レオナはデトロイトスタイルにも似た、前手を下げる独特な構えから長いリーチで放たれるジャブだけでトップファイターをKOしたことがある他、右のパンチは石の拳と称されるほどの強打。加えて、ただ打ち合いに強いだけのタイプではなく、テクニックを使って相手を追い詰めていくタイプである。


 彼の代表作と言えば、2021年3月に行われた武尊戦だろう。最後は武尊の強打でマットに沈んだものの、ヒットを多く奪って優勢になった場面もあり、壮絶な打ち合いで日本武道館を熱狂の渦に包み込むようなK-1史に残る名勝負を繰り広げた。その後は第5代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントを圧倒的な強さと上手さで制したが、怪我に泣かされ試合間隔が大きく空くことが多く、調子を崩した。


 レオナにしてみれば、今回の試合は調子を見るための再起戦という意味合いが強いのかもしれない。「イージー」という余裕のコメントはその表れか。
 しかし、成尾は危険な相手だ。18勝のうち14勝がKOというフィニッシャーで、ONE Friday Fightsでは中国・ブラジルの選手を相手に3連続KOを飾ったこともある。KOしか狙っていない攻撃特化型のファイターであり、相手が打ち合おうがアウトボクシングをしようがお構いなしに自分の“我”を押し付けるタイプである。


 

 レオナの戦績を見ると、武尊は別格として黒星を喫したのは島野浩太朗、大月晴明、闘士、中村寛と意外とそういうタイプが多いことが分かる。もちろんキャリア初期が多く、朝久裕貴をテクニックで攻略していることからすでに克服していると考えられる。
 それでも、7カ月ぶりの再起戦、そして初のKNOCK OUTという舞台、ワンキャッチワンアタックありの慣れないルールとマイナスに作用するかもしれない要素も多く、簡単には「イージー」とは言い切れない気もする試合だ。KNOCK OUTでは思ったような結果が出せない成尾も、名前も実績もある相手にかつてないほど燃えているだろう。いつものフルスイングに、さらに魂を込めて打ち抜きに来るのではないか。


 KNOCK OUTに来たからには、レオナとKNOCK OUTの上位陣や、レオナが興味を持っているREDルールやWBCムエタイルールでの試合も見てみたいところ。その楽しみをさらに増幅させるためには、成尾を撃破して「やっぱりレオナは強い」とファンを唸らせる必要がある。近年、外に飛び出したK-1ファイターが最初のうちは苦戦を強いられることがあるが、これは“他流試合”だからと考えられる。K-1にはK-1の戦い方があり、KNOCK OUTにはKNOCK OUTの、成尾が主戦場としていたホーストカップにはホーストカップの戦い方があるのだ。


 レオナvs.成尾はその他流試合の雰囲気がある一戦だ。一口にキックボクサーと言っても、育ってきた環境が違う。環境が違えば考え方やスタイルにも影響が出る。レオナが継続参戦するならばこの要素は薄れてくるだけに、“今”しか見れない戦いというわけだ。今まで交わることすら考えられなかった両者の戦いだけに、いろいろな想像が掻き立てられる。勝敗はスーパーフェザー級戦線の今後にも影響してくるため、下半期へ向けても影響のある戦いとなるだろう。

執筆
ゴング格闘技
熊久保英幸